闇株新聞[2018年]

トランプ相場は新大統領就任でどうなる?
2017年はバブル!急落の可能性は!? 闇株新聞が予測する米国経済

2017年1月12日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

いよいよ20日に米国にトランプ新大統領が誕生します。当選直後から世界の金融市場は大きく動いているものの、まだ然るべき水準や位置関係を模索している様子。「現時点では厳密に各相場の方向や予想レンジを決めつけることは控え、柔軟に考えてみることが必要」という刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が、トランプ新政権の経済政策と日本株の行方を考えます。

1月20日、トランプ新大統領誕生
新政権の陣容からわかる基本政策とは

 いよいよトランプ氏が大統領に就任します。議会でも共和党が多数を占め、ねじれは解消されます。大統領と共和党(主流派)とのギクシャクは残ったままですが、とりあえず最初の100日間は正面衝突はないでしょう。

 新政権は、通商代表部(USTR)代表に米国鉄鋼業界の利益代表ともいえるロバート・ライトハイザーを指名しました。レーガン政権時の対日鉄鋼協議で日本に輸出自主規制をのませた敏腕弁護士で、今回は世界を席巻する中国鉄鋼メーカーに強硬姿勢で臨むことになります。国家通商会議トップには既にピーター・ナバロを指名しており、通商関係は対中国強硬派が揃うことになります。

 金融行政面でも証券取引委員会(SEC)にウォール街と関係が深いジェイ・クレイトンを指名、デリバティブ分野を管轄するCFTC委員長にもクリストファー・ジャンカルロ委員の昇格が確実視されており、一気に規制緩和の方向に進みそうです。

 最重要の銀行規制に関してはFRB銀行監督担当副議長がキーマンになりますが、その前にFRB理事に2つの空席が残ったままです。理事は大統領が指名できるためやはり規制緩和派の理事が指名され、その1名が銀行監督担当副議長となるでしょう。金融行政面では規制緩和(あるいは規制強化の後退)の方向がはっきりします。

経済政策は(フォードやトヨタへの対応を見てわかる通り)どこまでも「米国優先」となり、そのしわ寄せは日本、中国、中東、新興国など全世界に(ロシアだけは比較的優遇されるかもしれませんが)押しつけられることが、いよいよハッキリしてきたようです。

米国経済は昨年夏からずっと上向き
世界の「伸びしろ」が米国に向かう

 米国経済は大統領選前の2016年7~9月期から「はっきり」と上向いており、同期の実質GDPは前期比年率で3.5%も成長していました。

 しかし、中国ショック、資源価格の急落、英国ショック、そして「トランプ大統領懸念」で世界の株式市場が必要以上に神経質となり、金融緩和・量的緩和が必要以上に維持され、株価が急反発する「下地」は出来上がっていたのです。

 つまり、もともと米国経済は雇用を含めて比較的順調でしたが、数々の先行き不安から株価の上値は抑えられ(かつ資金は潤沢に供給され)ていたところに、当選したトランプが「生産・雇用・資金すべての米国回帰」と打ち出したので、市場心理が一気に好転したこという流れです。

 トランプ新大統領の政策は米国の貿易赤字を減少させることになり、米国以外の国の経済活動にはマイナス効果となります。世界経済の「伸びしろ」が米国に移転しますが、ではその分だけ米国経済が上向くのかというと、物価上昇(とくに賃金上昇)で相殺されてしまうかもしれません。

 先週末(1月6日)に発表された12月の雇用統計では、雇用者数は15万6000人増と予想を下回りましたが、早くも時間当たりの賃金が前年比2.9%と7年半ぶりの上昇となっていました。FRBのイエレン議長はこの賃金インフレを最も気にしており、利上げ路線は継続されるはずです。

トランプバブルで日本株も上がる
投資家が警戒しておくべきことは?

 新大統領の経済政策で世界中に過剰供給されている資金が、米国に集中することになります。また、米国企業が海外に滞留させている2兆ドル以上の資金が軽減税率により米国に還流することにもなると、利上げ継続と合わせてドル高を持続させることになるでしょう。

 そうした資金が設備投資など生産性を向上させる方向に向かうならまだしも、どうしても安直な(汗をかく必要のない)株式投資・不動産投資・自社株買いなどに向かうため、リーマンショック以降の世界的傾向である「実体経済と株式など資産価格のギャップ」をさらに拡大させる傾向は続くことになります。

 とくに本年はその傾向がさらに加速しそうなので「今年はバブル元年になる」と予想するわけです。バブルとは実体経済と遊離して株価などが上昇することであるため、トランプの経済政策に何の恩恵も受けない日本株も上昇することになりそうです。

 株価は上昇しても、米国の保護主義はもともと潜在成長率がゼロ近辺の日本経済に、さらなるマイナス効果を与えます。そこへドル高(円安)や原油価格上昇などが加わると、物価だけが上昇することになり、実質賃金は低下、消費は減退、日本経済のさらなる低迷となってしまうでしょう。

 それでも、ひとたびバブルとなれば、消費が減退しようが経済が低迷しようが、株価は外部要因(悪材料)にはますます鈍感になりますから、一時的な急落があってもすぐに上昇基調に戻るでしょう。日本の投資家が備えておくべきは、急激な円高(ドル安)くらいと思われます。

 米国内の状況からは急にドル安になる可能性はありませんが、トランプ新政権がドル高に耐えきれなくなると、ある日突然に中国と日本を「為替操作国」に認定し、円高に転じるシナリオが想像できます。あと半年~1年は大丈夫だと思いますが、頭の片隅に入れておく必要はありそうです。

本連載は刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』の配信から一部を抜粋して掲載しています。今回のトランプ新政権と市場の行方に関する記事は、さらに「急激な円高(あるいはドル高)になる可能性とその要因」「新興国通貨が急落する可能性」「中国から外貨の流出が止まらない理由」そして「日本株にとっての最大のブラックスワン(事前予測できず発生したときの衝撃が大きい事象)は何か?」など、あらゆる角度から深い解説がなされています。本連載の紙面に収まり切らない深くて熱い解説をお読みになりたい方は、この機会にぜひ刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』の購読を御検討ください。
 

闇株新聞PREMIUM

闇株新聞PREMIUM
【発行周期】 毎週月曜日・ほか随時  【価格】 2,552円/月(税込)
闇株新聞PREMIUM 闇株新聞
週刊「闇株新聞」よりもさらに濃密な見解を毎週月曜日にお届けします。ニュースでは教えてくれない世界経済の見解、世間を騒がせている事件の裏側など闇株新聞にしか書けないネタが満載。
お試しはコチラ

 

DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)

●DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)とは?

金融・経済・ビジネス・投資に役立つタイムリーかつ有益な情報からブログに書けないディープな話まで、多彩な執筆陣がお届けする有料メールマガジンサービス。
初めての方は、購読後20日間無料! 


世の中の仕組みと人生のデザイン
【発行周期】 隔週木曜日  【価格】 864円/月(税込)
世の中の仕組みと人生のデザイン 橘 玲
金融、資産運用などに詳しい作家・橘玲氏が金融市場を含めた「世の中の仕組み」の中で、いかに楽しく(賢く)生きるか(人生のデザイン)をメルマガで伝えます。
お試しはコチラ

堀江 貴文のブログでは言えない話
【発行周期】 毎週月曜日、水曜、ほか随時  【価格】 864円/月(税込)
堀江 貴文のブログでは言えない話 堀江 貴文
巷ではホリエモンなんて呼ばれています。無料の媒体では書けない、とっておきの情報を書いていこうと思っています。メルマガ内公開で質問にも答えます。
お試しはコチラ

 


太田忠の勝者のポートフォリオはこちら!
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

配当&株価が10倍株!
NISA投信グランプリ
ふるさと納税

6月号4月19日発売
定価780円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[配当&株価が10倍になる株!]
◎第1特集
配当&株価が10倍になる株!
10年持ちっぱなしで「配当が10倍」になる株や「株価10倍」になる大型優良株を発掘
・誰もが知ってる大型株・優良株で実現
・新興国に進出/AI・半導体/
高齢化・人手不足/環境・EV
・番外編:1年で株価2倍になる株


◎第2特集
ダイヤモンド・ザイ
NISA投信グランプリ2024

2回を迎える、投資信託のアワードを発表!
NISAの投信選びや保有投信のチェックに最適

・NISAで運用できる投資信託のみが対象
・個人投資家が選びやすいよう、本数は30本のみ!
・個人投資家がわかりやすい部門で表彰


◎第3特集
ふるさと納税 日本3大グルメ&生産地
返礼品60 

日本3大和牛、3大地鶏、といったブランド食品や、日本3景、3名泉のベストグルメ、大注目の魚介、フルーツの3大産地の返礼品などを紹介

◎第4特集
FXで1億円!
年億稼ぐトレーダーの「神トレ」大公開!

ドル/円が34年ぶりの安値更新など、活況の為替市場。
FX界隈では、1年で「億」を稼ぐ「年億」の個人投資家が続々誕生しています。その手法を、わかりやすくお届け


◎【別冊付録】

いつまでたっても始められない人に贈る
新NISA「超ラク」スタートBOOK
完ペキさを求めてなかなか始められないより、「ラク」に「早く」始めたほうが、結果的にオトク
なかなか始められない人向け、ぐうたら指南書


◆出遅れJリートに投資チャンス! 利回り4~5%台投資判断&オススメJリート 
◆おカネの本音:渋澤 健さん
◆10倍株を探せ! IPO株研究所
◆マンガ恋する株式相場「コンビニがGAFAの一角に!?」
◆マンガ「昭和のボロ空き家はそのまま貸せばいい!?」
◆人気毎月分配型投信100本の「分配金」速報データ!


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!



「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報