世界投資へのパスポート

NYダウが2万ドルを突破した中、スターバックス、
アルファベット(グーグル)、インテルが決算発表!
インテルが発売する「半導体のイノベーション」とは?

2017年1月30日公開(2017年11月29日更新)
広瀬 隆雄
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NYダウが史上初の2万ドルを達成するも
それほど深い意味合いはない?

ダウ工業株価平均指数(NYダウ)は、1896年にデビューした歴史の古い株価指数ですが、先週、初めて2万ドルの大台に乗りました。

ダウ工業株価平均指数チャート(日足・6カ月)
*チャート画像をクリックすると最新のチャートがご覧になれます。SBI証券HPより
拡大画像表示

ダウ工業株価平均指数は過去に51回、銘柄の入れ替えが行われてきました。頻繁に銘柄入れ替えを行う理由は「その時々のアメリカ経済をもっとも良く表す」指数にするためです。しかし、それでは強い会社ばかりを選んでしまうことになるので、指数としての一貫性には疑問が挟まれています。

 実際、2004年以降、8銘柄が入れ替えられているのですが、それらの入れ替えがなかったとすれば、現在のダウ工業株価平均指数はわずか1万2885ドルにとどまっていた、という指摘もあります。

 それからダウ工業株価平均指数は、「単純株価平均」という指数計算方法を採用しています。これだと、株価が大きい銘柄ほど指数に対するインパクトが大きくなります。

 一例ですが、ゴールドマン・サックス(ティッカーシンボル:GS)はダウ構成銘柄の中で最も値嵩(ねがさ)の236.95ドルしているので、いちばん株価が小さいゼネラル・エレクトリック(ティッカーシンボル:GE)の30.01ドルより7.9倍も指数に対するインパクトが大きくなります。

 しかし時価総額という視点からは、ゴールドマン・サックスは951億ドル、ゼネラル・エレクトリックは2650億ドル。つまり、時価総額ではGEの方が2.8倍も大きいのです。

 本来、遥かに大きい会社であるGEが、ゴールドマン・サックスの7.9分の1のウエイトしか与えられていないのは、どう考えてもおかしいわけです。

 これらの理由から、ダウ工業株価平均指数は機関投資家の運用の際のベンチマークとしては、殆ど参考にされていません。

 ただ、歴史が古い株価指数であり、個人投資家にはいちばん馴染みがある指数なので最も頻繁にメディアに登場するというわけです。

 言い換えれば「ダウ2万ドル達成!」は確かに喜ばしいことなのですが、それはあくまでも通過点に過ぎず、それ以上の深い意味合いは無いということです。

 さて、ここからは先週発表が行われた、アルファベット(ティッカーシンボル:GOOGL)スターバックス(ティッカーシンボル:SBUX)、インテル(ティッカーシンボル:INTC)の決算の内容を解説していきます。

【アルファベット】
アグリゲート・ペイドクリックの成長率が過去1年でも最高に

 グーグルの親会社、アルファベットが先週発表した第4四半期決算では、EPSが予想9.62ドルに対し9.36ドル、売上高が予想251.4億ドルに対し260.6億ドル、売上高成長率は前年比+22.2%でした。

 一見するとEPSの数字が悪いように見えるのですが、これはデータセンター内の資産の一部を評価損として計上したという特殊要因があるためです。したがって、アルファベットの営業内容そのものは、第一印象より遥かに良い内容でした。

 実際、最も重要な経営指標である「アグリゲート・ペイドクリック」は、予想+25%に対し+36%でした。これは過去1年で最も高い成長率でした。

 アグリゲート・ペイド・クリックとは、「自社運営のグーグル・ウェブサイトにおけるペイド・クリック(広告クリック数)」とアドセンス広告など「メンバー・サイトにおけるペイド・クリック」を足し上げ(アグリゲート)た独自の指標です。

 アグリゲート・ペイドクリックが好調だった理由は、広告主がYouTubeに動画広告を出す際に行われるプログラムによる最適化が好評だったためです。

【スターバックス】
既存店売上げ比較の伸び悩みがマイナスポイント

 一方、先週発表されたスターバックスの第1四半期(12月期)決算は、がっかりさせられる内容でした。

 具体的には、EPSが予想に一致する52セント、売上高が予想58.5億ドルに対し57.3億ドル、売上高成長率は+6.7%でした。

 また、グローバルの既存店売上比較は+3%で、内訳はチケット(1回の購入での支払い代金)が+4%、トランザクション(来店頻度)が-1%でした。

スターバックスは、来店前にスマートフォンからドリンクを注文し、お店に着いたらレジを素通りしてドリンクを受け取れるというサービスを始めています。しかし、このドリンクを受け取る際に待ち時間が発生してしまい、来店客から不評だったと伝えられています。この問題は、スマートフォンからの受注に慣れてしまえば、いずれ解決すると思われます。

 しかし、既存店売上比較が+3%でしか成長していないということは、投資家が同社に求めている高い成長率を実現するのが、だんだん達成しにくくなっていることを示唆しています。

【インテル】
半導体の“7つ目のイノベーション”となる
「3Dクロスポイント」に要注目!

 先週の決算発表の中では、インテル(ティッカーシンボル:INTC)の好調が目を惹きました。

 同社の第4四半期決算は、EPSが予想75セントに対して79セント、売上高が予想157.5億ドルに対し164億ドル、売上高成長率は前年比+10.1%でした。

 第1四半期のEPSは、予想61セントに対し新ガイダンス65セント、売上高は予想145.1億ドルに対して新ガイダンス148億ドルが提示されました。

 インテルは、マイクロン・テクノロジー(ティッカーシンボル:MU)とジョイント・ベンチャーを設立し、今年から「3Dクロスポイント(3D Xpoint)」と呼ばれる、まったく新しいタイプのメモリー半導体を出荷しはじめます。

 1947年に半導体が発明されて以来、メモリー半導体はこれまでに6種類しか出ていません。それらはPROM(1956年)、SRAM(1961年)、DRAM(1966年)、EPROM(1971年)、NOR Flash(1984年)、NAND(1989年)です。

 3Dクロスポイントは2015年に発明されたばかりの「7つ目のイノベーション」になるわけです。

 3Dクロスポイントは、直近の発明であるNANDの1000倍の処理速度を持っています。また、集積度は10倍。レイテンシー(遅延時間)が小さく、途中で電源が切れてもデータは失われません。さらに、電子(エレクトロン)を保存するのではなく、素材そのものの変質を保存するという、全く新しい書き込み方法を採用しています。

 このような3Dクロスポイントが持つ特徴は、データセンター、音声認識、自動運転車などのアプリケーションに適しています。

 2020年までに、世界では44ゼタバイトのデータが保存されると言われています。ゼタバイトはテラバイトの10億倍、テラバイトは1000ギガバイトです。つまり、保存されるデータの量は、これからも等比級数的に増えるということです。

 しかし、保存されたデータは、それを活用するプロセッサーの近くに設置されなければ意味がありません。折角、プロセッサーを速くしても、保存されたデータが莫大な量の関係でプロセッサーから遠いところに置かれると、出し入れに時間がかかってしまいます。たとえば、音声コマンドでAI(人工知能)を動かすというような場合にも、愚図愚図した反応しか得られなくなってしまうのです。

 そうした不満にこたえる切り札として、3Dクロスポイントに今後注目が集まる可能性があります。

 次に、今週、決算発表が行われる注目企業を紹介します。

【アップル】
iPhone8への期待が、消費者の買い控えにつながる

アップル(ティッカーシンボル:AAPL)は、1月31日(火)引け後に決算発表します。コンセンサス予想はEPSが3.23ドル、売上高が771.1億ドルです。

 今年、iPhoneは今年10周年を迎えます。その関係でiPhone 8はかなり力の入った新製品になるだろうと期待されています。それ自体はわくわくすることなのですが、その分、現在の主力機種iPhone 7の売れ行きは、消費者の買い控えで鈍くなることが懸念されています。

 また、トランプ政権が中国に対し関税を引き上げるなどの措置を取った場合、報復としてアップル製品が狙い撃ちされるリスクがあります。

【フェイスブック】
今後、売上げ高成長率の鈍化が予測される

フェイスブック(ティッカーシンボル:FB)は、2月1日(水)引け後に決算発表します。コンセンサス予想はEPSが1.31ドル、売上高が84.9億ドルです。

 経営陣は「12月期の売上高成長率は鈍化するし、フィー収入は去年の同期より低くなるだろう」としています。その理由は、広告表示頻度を上げることによる売上成長が、今後あまり見込めないことによります。

【アマゾン】
決算発表は今週末に延期される

 なお、先週紹介したアマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)の決算発表は、2月2日(木)引け後になりました。コンセンサス予想は、EPSが1.42ドル、売上高が446.9億ドルです。

【今週のまとめ】
決算では、各企業が予想数字をクリアできるか注目したい

 トランプ政権への期待から、ダウ工業株価平均指数は2万ドルの大台に乗せました。しかしダウ工業株価平均指数は指数の一貫性という点で疑問がありますし、単純株価平均という性格上、マーケット全体の姿を正しく伝えていない面もあります。

 いま決算発表シーズンの真只中であり、今週も重要決算が目白押しです。それらの企業が、ちゃんと予想数字をクリアできるか注目したいと思います。

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