「東芝(6502)」を「要注意株」として、ダイヤモンド・ザイの"辛口"人気連載「月刊 闇株新聞」が名指し! 気になるその理由とは?
ダイヤモンド・ザイでは、人気連載「月刊 闇株新聞」の拡大版として、「2018年・夏の要注意株10」を掲載。知名度が高いものの、実は業績が頭打ちになっていたり、将来性に陰りが見えていたりする10銘柄を、闇株新聞がズバリと名指ししている。
今回はその中の一つ「東芝」に関する分析を抜粋(※2018年7月10日までの情報に基づくもの。それ以降の情報は反映していない)。投資の参考にしてみてほしい!
債務超過はすでに忘れたか? 呆れた大盤振る舞い

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「東芝(6502)」は、6月13日の午前11時(立会中だ!)に7000億円の自社株買いを発表した。7000億円の自社株買いは2013年度以降で3番目の規模だが、一度は債務超過に陥った会社がここまで巨額の自社株買いを行った例はない。
「東芝」は2017年3月末時点における5529億円の債務超過を解消するために、海外のヘッジファンドや「物言う株主」に対して6000億円もの第三者割当増資を強行せざるを得ず、かつ営業利益の大半を稼いできた半導体事業を日米韓連合に2兆円で売却してしまう必要に迫られたはずだ。が、そんな不祥事を早くも「すっかり忘れてしまった」ような大盤振る舞いには呆れてしまう。
今後も物言う株主に、東芝は搾り取られ続ける

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第三者割当増資を引き受けた海外ヘッジファンドや「物言う株主」は揃って巨額の株主還元を求めていた。自社株買いで、その圧力に屈した形となったわけだ。
自社株買いの発表後(繰り返しになるが発表は11時で市場は開いていた)、「東芝」の株価は後場には一時、351円をつけて、始値の316円から11%も上昇した。
もちろん、株価上昇の恩恵は東芝の全株主に及ぶが、同社の株価は2015年の不正会計発覚前は500円を超えており、まだ多くの株主が損失を抱えたままのはずだ。しかも、2017年12月に海外のヘッジファンドや物言う株主「だけが」応じることができた第三者割当増資の払い込み価格は262.8円だった。まさに、彼らのために行われた自社株買いだったといえる。「東芝」は、今後も、折に触れてヘッジファンドや物言う株主から搾り取られることだろう。
天然ガスの液化事業では1兆円規模の損失の恐れも!

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普通なら自社株買いは大いに歓迎すべきことだ。だが、今回の「東芝」に関しては、まだ潜在的に残る数多くのリスクを考え合わせると、7000億円は手元資金として確保しておくべき資金のはずだ。
だいたい、自社株買いを発表した当のリリースでも、「天然ガスの液化に関する加工委託契約等今後顕在化しうるリスク」があると明記されている。この天然ガス事業とは、2019年から20年間、年220万トンの天然ガスを米国の会社から「東芝」が引き取り、日本で販売するというものだ。米国から天然ガスを日本に運ぶ際は液化する必要があるが、その液化費用は20年間で1兆円と見込まれており、全額、「東芝」が負担する。つまり、このガスが全く売れない場合には、1兆円の損失が発生する恐れがある。

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電機メーカーの「東芝」に、ガス販売のノウハウはない。しかも、天然ガスは供給が増加しており、ちょうど2019年あたりから過当競争に入るとの見方もある。そうしたリスクに備えようとしない「東芝」の姿勢には大きな疑問が残る。
半導体事業会社を売却してしまい、いよいよ中核事業がなくなってしまった「東芝」。株主の過半は物言う株主で、今後も強く株主還元が求められるはず。これからもその意向に影響される、不安定な経営が続くだろう。