2020年の株主総会は“オンライン”で参加しよう! 新型コロナウイルスの影響で急増している「オンライン株主総会」や「スマホでの議決権行使」を解説!
ダイヤモンド・ザイでは、記者が集めたマネー・経済関連の最新トピックを「ZAi NEWS CHANNEL!」で毎号紹介している。今回は発売中のダイヤモンド・ザイ7月号から、「コロナ禍で【株主総会】はオンライン参加が増加!」と題した記事をピックアップ!
日本は3月決算の企業が多く、その影響から、株主総会の開催時期は6月に集中する。今年も株主総会シーズンに突入したわけだが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、株主による“株主総会への参加の仕方”に変化が生じている。というのも、通常の株主総会は密閉された空間に多くの人が集まるため、いわゆる“3密(密閉、密集、密接)”の状況になってしまうからだ。
そこで、今回はコロナ禍によって注目され始めた「オンライン株主総会」をピックアップ! ひと口に「オンライン株主総会」と言ってもいくつかの種類があるので、その違いを整理するとともに、参加にあたって知っておきたいことを紹介していこう。
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“3密”になりやすい株主総会のオンライン開催が加速!
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3月25日に東京・目黒区で開催されたブイキューブ(3681)の株主総会。会場には100席ほど用意されていたが、出席した株主は、たったの14人だった。
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3月25日といえば、まだ「緊急事態宣言」が出される前だが、すでに新型コロナウイルスの感染は拡大しつつあり、世の中は外出自粛モードに。株主総会の会場は、集団感染を引き起こしかねない“3密”の要素が揃うだけに、足が遠のいた人が多かったようだ。
一方、パソコンやスマホなどを用いて、オンライン上からブイキューブの株主総会の様子を視聴していた人は、120人にも上った。新型コロナウイルスで“巣ごもり”を余儀なくされたことから、在宅ワークやオンライン会議が脚光を浴びているが、今年以降は株主総会に関しても、オンライン化の流れが加速しそうだ。
これまで「地方在住」や「面倒」といった理由で、会場まで足を運ぶことがなかった人も、オンラインなら手軽に参加できるので、株主総会デビューを果たすいい機会になるだろう。
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「オンライン株主総会」の最先端は「出席型」
日本では導入企業が少ないうえに、まだ「参加型」が多い
ひと口に「オンライン株主総会」といっても、以下の4種類に分かれている。
まずは「出席型」と呼ばれるタイプ。オンラインで株主総会の様子をリアルタイムで視聴しながら、会場に出席している株主と同じように議決権行使をしたり、質問したりもできる。
これに対して「参加型」は、リアルタイムで株主総会の様子を視聴できるものの、その場で議決権行使をしたり、質問したりはできない。名前は似ているが、「出席型」と「参加型」は、この点が大きく違う。ただし、「参加型」でも、議決権行使は総会当日にできないだけで、事前に済ませることが可能。また、チャットなどを通じて“コメント”という形で質問を投稿すると、それに応じて経営側に回答してもらうことができ、ある程度の臨場感は味わえる。
そのほか、株主のみならず、広く一般に株主総会の様子を配信する「ライブ配信」という形態をとる企業も。この場合、オンラインでは株主総会の様子を傍聴することしかできない。また、総会後に株主総会の様子を「事後配信」する企業もあるので、これを傍聴するという手もある。
企業によって「オンライン株主総会」の形態は異なるので、送られてくる株主総会の招集通知などをチェックする必要がある。株主総会の参加が株主だけに限られる場合は、発行されたIDやパスワードを入力して参加することに。事前に視聴用動画のテストを済ませておくと、当日スムーズに参加できるはずだ。
株主総会に詳しい森・濱田松本法律事務所の澤口実弁護士によると、米国では以前から「オンライン株主総会」が普及しつつあり、特に「出席型」が増えているという。
対する日本においては、まだ「オンライン株主総会」を実施する企業のほうが少数派だが、昨年までの数少ない事例を見る限り、「参加型」で実施している企業がほとんどだった。しかし、これからは流れが変わっていく可能性が高い。
先ほど「オンライン株主総会」実施企業として名前を挙げたブイキューブは、ウェブ会議などのテレワークに対応する各種サービスを手掛けているが、「オンライン株主総会」の開催を支援するシステムの提供も行っている。ブイキューブによると、今は「出席型」の「オンライン株主総会」に関する問い合わせが増えているとのことだ。
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「オンライン株主総会」が開催されないなら事前の議決権行使を!
QRコードの読み取りだけで済むスマホ経由が簡単
ただ、現段階では、まだ「オンライン株主総会」を開催していない企業も多い。「オンライン株主総会」がなければ、総会の会場に足を運ぶしかないが、今年に関しては出席を断念して、事前の議決権行使だけで済ませる人が増えるだろう。
議決権行使の方法は、以前は郵送が主流だったが、最近はオンライン、特にスマホで済ませる人が増えている。2018~2019年の1年間だけでも、スマホ経由で議決権行使をした人が4倍に増えた。スマホだと、議決権行使書に印刷されたQRコードを読み取るだけで済み、IDやパスワードの入力が不要で、手軽な点が受けているようだ。
パソコン経由の議決権行使の場合、ログイン後もさらにパスワードの再設定が必要となるなど、手続きが煩雑。その代わりに関連資料をくまなく閲覧できるほか、一度議決権行使をした後も、再度やり直すことができる。株主総会にかけられる議案をじっくりチェックしたい人にはおすすめだ。
また、株主総会といえば、「総会みやげ」と呼ばれるお土産を楽しみにしている人も多いだろう。基本的に、「オンライン株主総会」に参加してもお土産はもらえないが、企業の中には今年ならではの取り組みを行っているところも。
たとえば、資生堂(4911)は例年、株主総会で自社製品のお土産を贈呈することで知られている。2020年の3月25日開催の株主総会では、当日に会場でお土産を配ることはなかったが、後日、オンラインなども含めて、議決権行使をした株主全員に自社製品を郵送した。今年はほかにも、同様の取り組みを行う企業が出てくる可能性がありそうだ。
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