“アフターコロナ”で想定される、株式市場の3つのシナリオとは? どのシナリオになっても慌てないように、計画的に投資しよう!
発売中のダイヤモンド・ザイ7月号の大特集は「コロナ禍でも株価が上がる!【逆襲の日本株】厳選96銘柄」! 株式市場は「コロナ・ショック」で大きな打撃を受け、株価が急落した銘柄が多い。しかし、こんな状況下でも、株価上昇が期待できる銘柄は存在する。そこで、この特集では、新型コロナウイルスの感染が拡大しても業績を伸ばせる株や、収益力が揺るがない安定感のある株、「コロナ・ショック」で売られすぎた優良株など全96銘柄を紹介。さらに、“アフターコロナ”の投資戦略も解説しているので必見だ!
今回は特集の中から、“アフターコロナ”の投資戦略の一部を抜粋! ストラテジストやエコノミストといった専門家5人に話を聞いているので、投資の参考にしてほしい!
“企業の景況感の底打ち”が株価の転換点になる!
二番底の可能性も根強く、安易に「買い」と判断するのは危険
「新型コロナウイルスの感染拡大はピークを越えた」という見方が主流になってきている。それならば、今こそ日本株は「買い」ではないか。しかし、取材で話を聞いたストラテジストやエコノミストなどの専門家は、口を揃えて「先行きはまだ不透明」と話す。
「残念ながら、まだ『買い』とは言い切れません。感染がピークアウトしたとしても、その後にやってくるのは企業業績の悪化です。2020年4~6月期は、経済活動の低迷の影響をフルにくらうことになります」(UBS証券・ジャパン・エクイティリサーチ・ヘッドの居林通さん)
居林さんは、2020年4~6月期のTOPIX500構成銘柄(金融を除く)の売上高が、前年同期比でマイナス18%になると予測する(上の図を参照)。「リーマン・ショック」後のマイナス20%にほぼ匹敵するインパクトだ。
一方で、市場はすでに今後の企業業績の悪化を織り込んでいる。日経平均株価のPBRは1倍を割っており(5月11日時点)、株価は割安感が強いようにも見える。しかし、それだけで判断してしまうのは早計だと、専門家たちは指摘する。
「その先の業績回復が見えていれば、株価は“安い”と言えるので、出遅れ銘柄を買いに行くタイミングです。ただ、現状ではまだ回復は見通せません」(居林さん)
「業績が悪いことはわかっていますが、どこまで悪いのかはわからない」(ニッセイ基礎研究所・チーフ株式ストラテジストの井出真吾さん)
逆に、景気と企業業績の悪化度合いの見極めさえつけば、市場の不安が消えて、株価は上昇に向かう可能性があるだろう。今のところ「2020年の4~6月期が底になる」というのがメインシナリオだが、新型コロナウイルスの感染の状況次第では、7~9月期までずれ込むことも考えられる。
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感染の再拡大を封じ込められていない段階では
株価の本格的な回復は考えづらい
株価の動向を見極める手立てとして、一般の投資家でも簡単にチェックできるのが、製造業の景況感を示す「世界製造業PMI(購買担当者景気指数)」だ。
「この指標は、株価と高い相関があります。特に日本は、製造業の景況感が株価を左右する傾向が強いので、有効だと思います」(第一生命経済研究所・主任エコノミストの藤代宏一さん)
2020年2~4月の「世界製造業PMI」は、「リーマン・ショック」直後以来の低水準となっている。景気先行指標とも言われる「世界製造業PMI」を見ていれば、たしかに株価の動きを予測する手がかりとなるだろう。ただし、今は“非常時”であるため、それだけではまだ確実ではない。
「経済活動を再開した結果として、感染者数がまた拡大する可能性も否定できません。もしそうなれば、景気と企業業績がV字回復するというシナリオが崩れます」(大和証券・シニアストラテジストの石黒英之さん)
株価上昇の足取りを確かなものとするためには、「下の図の“3つの段階”をクリアする必要がある」と石黒さんは指摘する。
「市場が描いているとおり、6~7月頃には第1段階、第2段階のクリアが見えてくるかもしれません。しかし第3段階がどうなるかに関しては不透明です。期待通りにいかず、長期戦になるとの見方が広がれば、株価も厳しい展開になるでしょう。秋頃までは様子を見る必要があります」(石黒さん)
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メインシナリオ・悲観シナリオ・楽観シナリオの3つが考えられる
決め打ちせず、タイミングを分散させながら投資しよう
以上を総合すると、基本的には「今はあせらず、見極め」というのが賢明な選択だろう。この記事でも紹介しているが、過去の金融危機の例に倣うとすると、今後、日経平均株価は二番底をつけて、1万8000円程度までは値下がりする可能性も高い。「もし1万7000円になるような局面があったら“買い”」(居林さん)と判断することもできる。
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また、あせらず見極めをしている間に、新型コロナウイルスの感染が再拡大することなく収束へ向かい、株価は二番底をつけることなく上昇する可能性もある。このケースだと、「市場は変化を先取りするうえに、大規模な金融緩和や財政支出を行っているため、状況が落ち着いたときには株価は上がっていて、買い時を逃す恐れもあります」と、野村證券エクイティ・マーケット・ストラテジストの若生寿一さんは指摘する。
つまり、投資家は今、「3つのシナリオ」に備えなければならないのだ。
まずは、「6~7月頃に景気と企業業績の反転が見え、秋頃には感染の再拡大がないことも確認できる」という、現段階でのメインシナリオ。この場合、「景況感や決算を見極めつつ、買い下がり気味に投資する」(若生さん)、つまり株価が下がったときに少しずつ買っていくのがベターということになる。
次に、「収束が予想より大幅に遅れる、または秋以降に感染が再拡大する」という悲観的なシナリオ。“下がったら買う”というのはメインシナリオの場合と同様だが、逆張りの要素がより強くなる。「中長期で見れば割安だと腹をくくり、さらに下げたときに怖くなって売らないことが重要」(井出さん)となる。
3番目は、「予想以上に順調に回復が進む」という楽観的なシナリオ。このシナリオを想定するなら、なるべく早めに仕込む必要がある。上昇局面でも順張りで買っていけばいいだろう。
だが、現実問題として、どのシナリオになるかを予想するのは極めて難しい。そのため、どんな展開になっても対応できるように、「こんなときこそ、何度かに分けて買う“時間分散”を徹底するのが重要」(若生さん)というのが、プロたちが揃って強調するアドバイスだ。
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さて、ここまで“アフターコロナ”の投資戦略について紹介してきた。ダイヤモンド・ザイ7月号の大特集「コロナ禍でも株価が上がる!【逆襲の日本株】厳選96銘柄」では、不安定な相場環境の中で、今だからこそ注目すべき銘柄も紹介しているので、誌面も併せてチェックしてほしい!
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