2022年4月1日から、コード決済のPayPayで貯まる「PayPayボーナス」の名称が変わり、「PayPayポイント」になりました。PayPayポイントは、街中のお店やネットサービスなどで、コード決済のPayPayや、クレジットカードの「PayPayカード(旧ヤフーカード)」を使って支払いをしたときに貯めることができます。
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PayPayは、大手のコンビニや総合スーパー、ディスカウントストア、ドラッグストア、飲食店、百貨店、家電量販店などで利用でき、非常に幅広く普及しています。2021年の10月から、PayPay加盟店には決済システムの導入手数料が課されるようになりましたが(それ以前は無料)、事前に危惧されていたほど有料化による加盟店の減少は目立たず、個人商店を含め、PayPayの利用可能範囲は広がり続けています。
なお、さまざまな場所で“提示するだけ”でポイントが貯まり、それをあらゆる場所で使うこともできるポイントを「共通ポイント」と呼びます。従来、共通ポイントといえばTポイント、Pontaポイント、楽天ポイント、dポイントが“4強”とされてきました。
PayPayポイントは決済することで貯まるポイントであり、今のところ提示するだけでは貯められないので、厳密には共通ポイントとは言えません。ただ、最近は「多様な加盟店で利用できるポイント=共通ポイント」と定義されている場合もあり、PayPayポイントが共通ポイントの一つとして紹介されるケースも増えました。また、貯められる場所が多い“7大ポイント”として、共通ポイント4つに加え、LINEポイント、JREポイント、PayPayポイントが紹介されることもあります。
ほかにも、WAONポイントやnanacoポイントなど、ユーザー数が多いポイントはたくさんあるため、ポイント群雄割拠の時代であることに変わりはありませんが、その中で今後、PayPayポイントがどれほど勢力を伸ばしてくるかが見ものです。
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PayPayの基本還元率は0.5%だが、条件クリアでさらに還元率アップ!
PayPayポイントの台頭でTポイントは苦戦中
ここからは、そんなPayPayポイントの特徴について、もう少し詳しく見ていきましょう。
繰り返しになりますが、PayPayポイントはコード決済のPayPayを使ったときと、クレジットカードの「PayPayカード(旧ヤフーカード)」を使ったときに貯めることができます。PayPayの基本還元率は0.5%。「200円以上の支払い30回以上、かつ合計支払い金額10万円以上」などの諸条件をクリアすることによって、最大2%までアップします。
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そもそも「PayPayカード」の前身は、すでに新規募集を停止しているヤフーカードでした。発行済みのヤフーカードは、今後「PayPayカード」に順次切り替えられます。これまでヤフーカードは、Tポイントを貯めやすい年会費無料カードとして人気がありましたが、発行済みのヤフーカードでも、今ではTポイントではなくPayPayポイントが貯まるようになっています。
以前、TポイントはYahoo! Japanと密接に連携しており、ヤフーショッピングなどの各サービスでもTポイントを貯めたり、利用したりすることができました。ただ、PayPayの運営会社は、Yahoo! Japanも傘下に置くZホールディングスなので、PayPayポイントの本格始動とともに、Yahoo! JapanとTポイントの蜜月関係は終了。Yahoo! Japanの各サービスでも、一部を除いてPayPayポイントが付与されるようになり、Tポイントの存在感がなくなりました。
Yahoo! Japanとの連携でPayPayポイントを貯めやすく、使いやすくなった反面、これまでTポイントを貯めてきた人にとっては利便性が損なわれた状況です。そもそも、数年前からTポイントの加盟店は減少しつつあり、弱体化の懸念がありました。運営元のCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)がYahoo! Japanと袂を分かったことで、ますます苦戦の様相を呈してきた印象です。利用範囲が狭まってくると、貯めるメリットが薄くなり、共通ポイントとしての魅力は低減します。
現状、Tポイントは、たとえばドラッグストアチェーンのウエルシア薬局では、買い物100円につき1ポイントのTポイントが貯まり、毎月20日には200ポイント以上の利用で1.5倍分の買い物(=実質33%引き)ができる、通称「ウエル活」がお得ということで人気です。「ウエル活」をしょっちゅうするなら、今後もTポイントを貯めたり、別のポイントをTポイントに交換して使ったりするのも手でしょう。ただし、「ウエル活」のほかには、目立ってTポイントがお得と言える店舗・サービスが見当たらないのが実状で、Yahoo! JapanやPayPayとの連携がなくなった今、Tポイントの魅力は低下しているのは間違いないでしょう。
2022年4月1日から、TポイントをPayPayポイントに等価交換できるようになったので、使い道に悩むようになったら交換を検討するのがいいかもしれません。
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楽天ポイントは条件改悪が続く中で、dポイントは攻勢を強める状況。
PayPayポイントはいずれ「PayPay経済圏」の構築も!
ちなみに、Tポイント以外の共通ポイントも、このところさまざまな動きを見せています。まずは、これまで貯まりやすさ・利便性などの面から「王者」と見なされてきた楽天ポイントですが、すでによく知られているとおり、2022年4月1日からいくつかの楽天グループのサービスにおいて、ポイント条件を変更しました。
たとえば、楽天市場でのショッピングでのポイント付与対象金額が、税込価格⇒税抜価格に。1100円(消費税100円)のものを買った場合、これまでは税込価格1100円に対してポイントが貯まり、1%還元なら11ポイントついていたところ、これからは税抜価格1000円に対してポイントが貯まり、もらえるポイントは10ポイントにダウン。ほかにも、「楽天カード」で投資信託の積立をした場合の還元率引き下げなどが発表されました。公共料金の支払いによる還元率も昨年6月から低下していて、こちらの影響も大きいですね。
一方、楽天ポイントのライバル的存在であるdポイントは、2022年6月に「dポイントクラブ」を新体制にすると発表。細かい内容は割愛しますが、運営元のNTTドコモは「ドコモ史上、最高に貯まりやすい」とアピールしており、ライバルが足踏み状態のところに、攻勢を強めている印象です。
楽天ポイントとdポイントのバトルからは少し離れた立ち位置にいるPontaポイントは、2020年からau Payで貯められるようになったほか、三菱UFJ銀行での取引でも貯められるようにするなど、ほかの共通ポイントとはやや異なるアプローチで利便性を高めています。
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結論として、Tポイント以外の共通ポイントは、今のところPayPayポイントの出現による影響をそれほど受けていません。ただ、PayPayポイントと楽天ポイントは、大手ITコングロマリットが手掛けているという点で共通しており、両者には類似性があります。今後、PayPayポイントのサービスがますます広がり、いずれは「楽天経済圏」のように「PayPay経済圏」が構築される可能性も考えられるでしょう。
PayPay経済圏の誕生が楽天経済圏にどんな影響を与えるかは、現段階では未知数です。とはいえ、楽天のサービスよりもYahoo! Japanのサービスをよく使うなど、PayPayポイントが貯めやすい環境にあるのならば、これからPayPayポイントをメインで貯めていくのもいいと思います。コード決済だけでもいいですが、本格的に貯めるのであれば、「PayPayカード」も検討してみるのがおすすめです。
なお、PayPayは「あなたのまちを応援プロジェクト」と銘打ち、さまざまな地方自治体と提携してキャンペーンを行っている点なども特徴的です。キャンペーンの内容は、各市町村のPayPay加盟店のうち、指定された店舗で買い物をすると、最大30%相当などの還元を受けられるというもの。キャンペーンに参加している地方自治体は限定されますが、こうした使われ方が定番化していく可能性もあります。
また、最近ではスマホ決済として初めてNetflixの料金支払いに対応するなど、サービスの幅が広がっています。キャッシュレス決済はPayPayしか使えない、という場所も増えているので、これまで使ってこなかった人は、そろそろ利用を検討してもいいかもしれませんね。
(取材/元山夏香)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士。会社員だった26歳のとき、貯蓄80万円でありながら自宅用としてマンションを衝動買い。物件価格以外にも費用がかかることを知り、あわててお金の勉強と貯蓄を開始。年間貯蓄額を一年で6倍まで増やす。その後、自身の体験を活かしてマンション販売会社に転職。年間売上一位の実績を上げる。2013年、ファイナンシャル・プランナーとして独立。著書は『超ど素人がはじめる資産運用』(翔泳社)、『デキる女は「抜け目」ない』(あさ出版)、『ケチケチせずにお金が貯まる法見つけました!』(王様文庫)など多数。日常の記録にお金の情報を織り交ぜる「FUROUCHI vlog」を更新中⇒https://www.youtube.com/c/FUROUCHIvlog/
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