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なぜ米国議会の交渉進捗のために株式市場の急落が必要なのか?

【第286回】 2013年10月15日公開(2022年3月29日更新)
広瀬 隆雄
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【今回のまとめ】
1.債務上限引き上げ問題を巡る話し合い開始のニュースで先週の市場は高かった
2.しかしオバマ大統領は下院案をあっさり退けた
3.新しく上院案が練られているが、交渉は難航中
4.Xデーは、17日か、22日から31日の間
5.この間も米国政府機関の一部閉鎖は続いている
6.財政の三重苦はじわじわと米国経済に悪影響を及ぼす
7.ジャネット・イエレンが次期FRB議長に指名されたのは相場にプラス
8.交渉が前進するためには株式市場急落などのショックが必要

先週は債務上限引き上げ問題の対話開始で相場は高かった

 先週10月10日(木)に米国債務上限引き上げ問題を巡って下院共和党とオバマ大統領が話し合いを開始すると報じられ、ダウ工業株価平均指数が+323ポイント急騰しました。週間ベースではダウ工業株指数が+1.0%、S&P500指数が+0.75%と堅調でした。この中でナスダック総合指数だけが-0.4%とマイナスを記録しました。

下院案は頓挫

 しかし金曜日の引け後にオバマ大統領が下院案のほとんど全ての項目に対し不服を表明し、話し合いは物別れに終わりました。

 このため上院が下院案とは別の案をまとめることになりました。共和党の中では穏健派と言われるスーザン・コリンズ上院議員が中心となって、上院案がまとめられている最中です。民主党は「この際、歳出一斉削減の取り決めを白紙に戻せ」と主張しており、合意への道のりはいっそう険しくなった観があります。

 デフォルトの期限が迫ってきているので、急いで法案を通過させる必要があります。ちなみに米国財務省は10月17日前後に政府の手持ちキャッシュが底をつくと試算しています。これとは別に超党派政策センターによる試算では下のグラフのように最悪のシナリオでは10月22日、ベストのシナリオでは10月31日までにキャッシュがなくなると試算されています。

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