「伝え方の技術」その3
「ギャップ法」

 今回の会見での名言に

 「政治家として悔いはない。本当に幸せな7年半」

 「叩きつぶすと言って、こちらが叩きつぶされた」

 というのがあります。
 こちらは、共通点があります。どちらも正反対の単語が入っているのです。

 「悔い」←→「幸せ」

 「叩きつぶす」←→「叩きつぶされた」

 これは強いコトバをつくる技術で「ギャップ法」と言います。世の中にある数多くの名言がこの技術でできています。

 「最高で金、最低でも金」田村亮子選手

 「天は人の上に人を造らず 人の下に人を造らず」福沢諭吉

 「人生はクローズアップで見れば悲劇、ロングショットで見れば喜劇だ」チャールズ・チャップリン

 ここに強いコトバをつくるヒントがあります。正反対のコトバを組み合わせてつくれば、誰であっても強いコトバをつくることができます。このギャップ法と似たものに心理学の「ゲイン・ロス効果」という法則があります。コミュニケーションにおいて「最初の評価がマイナスで、思わぬ+のことを見ると評価がぐっと上がる」と説明されています。

人を動かす人物は
「強いコトバ」を必ず持っている

 歴史上の人物にしても、現代の起業家やリーダーにしても、全員が強いコトバを持っています。何かをなし遂げるためには賛同してくれる人が必要で、それには心を動かすコトバが絶対に必要なのです。

 有名な人たちのコトバなんて、とてもマネすることはできなそうでした。ですが、コトバをひとつひとつひも解くと、実は法則性が見えてくるし、応用がきくのです。今回見た橋下徹さんの名言も、歴史上の人物の名言も技術で説明することができました。強いコトバは、センスがなくても、技術を知っていたら誰であってもつくることができるのです。もういちど言います。あなたも名言をつくることができるのです。

なぜ橋下徹さんの伝え方が、人の心を動かすのか? <br />そこに使われていた「伝え方のレシピ」。

佐々木圭一(ささき・けいいち)
コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師 上智大学大学院を卒業後、97年大手広告会社に入社。後に伝説のクリエーター、リー・クロウのもと米国で2年間インターナショナルな仕事に従事。日本人 初、米国の広告賞One Show Designでゴールド賞を獲得(Mr.Children)。アジア初、6ヵ国歌姫プロジェクト(アジエンス)。カンヌ国際クリエイティブアワードでシル バー賞他計3つ獲得、AdFestでゴールド賞2つ獲得、など国内外51のアワードを獲得。郷ひろみ・Chemistryの作詞家としてアルバム・オリコ ン1位を2度獲得。twitter:@keiichisasaki Facebook:www.facebook.com/k1countryfree HP: www.ugokasu.co.jp