ネット証券会社比較
【第9回】 2012年4月19日 ザイ・オンライン編集部

「5大ネット証券」の時代は終わった!?

GMOクリック証券が株の売買代金でネット証券3位に

「5大ネット証券」という言葉は、すでに過去のものになったかもしれない。

 株式投資の世界では、店頭販売が中心だった既存の大手証券会社(SMBC日興証券、大和証券、野村證券など)に対して、ネット証券の大手5社(SBI証券カブドットコム証券松井証券マネックス証券楽天証券)を「5大ネット証券」と呼んできた。

 しかし、異変が起きた。

GMOクリック証券が4月10日に発表したニュースリリースによると、同社が独自に算出した2011年度の株式売買代金のシェアで、1位SBI証券、2位楽天証券に続いて同社が3位になっているという。以下4位マネックス証券、5位松井証券、6位カブドットコム証券、7位が岡三オンライン証券となっており、売買代金に関しては、従来の「5社」で括るのはすでにつらい状況になっている。

 上位7社を対象にした集計なので、シェアの数字に意味はないが、順位についてはこの通りで間違いなさそうだ。また3位以下の差は非常に少ないが、GMOクリック証券が事実上「3位グループの中でトップ」となった格好だ。

GMOクリック証券によれば、同じ基準で算出した2010年度の順位は6位で、今回初めて年間で5大ネット証券に食い込んだという。

「GMOクリック証券」とはどんな会社?

 では、GMOクリック証券はどんなネット証券なのか。まだ、なじみがない人もいるかもしれないので紹介しよう。

開業は2006年5月。社名は「GMOインターネット証券」だった。その名の通り、GMOインターネット(9449)のグループ会社としてスタートした。

 このころ、すでに確固たる地位を築いていた5大ネット証券に対抗する新興勢力の登場が話題となっていた。GMOインターネット証券とともに注目を浴びていたのが、ほぼ同時期に開業した野村証券グループの「ジョインベスト証券」だった(現在は「野村ネット&コール」として野村証券の一部門となっている)。

 開業時、雑誌「ダイヤモンド・ザイ」では、GMOインターネット証券の高島秀行代表取締役社長にインタビューしていた。高島社長は、現在もGMOクリック証券の社長である。そのときの取材メモを見ると…

GMOインターネット証券(当時)開業直後の「ザイスポ」記事(2006年7月)

 2006年5月の開業時にザイ編集部が行った取材で、高島社長は、

 「GMOインターネット証券は、“取引の仲介”に特化した証券会社を目指す。そのために取引プログラム(API)を解放して、個人投資家に自由にトレードプログラムを書いてもらい、自分なりに分析したツールを自由に使った自動売買、プログラムトレードができる環境を作る」と語っていた。ネット技術に精通した高島社長の下、システムを自社開発していたことも特徴だった。

「低コストだけど機能は少ない」の独自路線から変更?

「取引環境だけを低コストで提供するので、ニュースやテクニカルツールは各自で仕入れてほしい」というGMOインターネット証券の主張は、日本の個人投資家にはレベルが高かった。また、開業当初はジャスダック銘柄の取引ができなかったことなども影響し、すぐに投資家の支持を集めたとは言えなかった。ただ、取引手数料は当初から業界最低水準だったことで、徐々にその名を知られていく。

 2007年には、GMOインターネットグループの熊谷正寿会長が個人大株主となる形で独立。社名を「クリック証券」に変更した。その後はFXを中心にサービスを拡充。FX界でも新興勢力として低スプレッド競争を仕掛け、取引高を急拡大した。株式取引でも、2009年にジャスダックに対応し、手数料も常に業界最低水準を維持してきた。

GMOクリック証券の現在のトップページ。株とFXなどが1つのIDで取引可能。(画像のクリックでザイ・オンラインの「GMOクリック証券詳細ページ」にジャンプします。)

 その後2010年10月、クリック証券は再びGMOインターネットの100%子会社となる。2011年4月に社名を現在の「GMOクリック証券」に変更した。

 現在のGMOクリック証券の印象を、何人かの個人投資家に聞いてみると、「取扱い商品すべてで手数料が安い点がメリットだが、ツールはシンプルで機能が少ない」と答える人が多かった。

 株式取引のシェアの拡大に伴って同社では、シンプルすぎる路線からの変更も進めているようだ。4月16日には、シンプレクス・コンサルティング社の取引システムを採用したフル機能のツール「スーパーはっちゅう君」をリリースした。(このツールの詳しいレポートは後日公開予定。)

 大手5社に新興勢力が入り交じって混戦模様のネット証券界。昨年以降、マネックス証券カブドットコム証券も、現物株式手数料を業界最低水準に近いところまで値下げしていて、もはや新興勢力も手数料の安さを売りにするのが難しい状況だ(ネット証券の手数料比較はこちら)。

 今後は取扱商品の品揃え強化やツールの無料化など、サービス面での競争が激しくなりそうだ。競争によって、低コストはそのままでさらに便利になるなら、投資家にとってはうれしい限りだ。