個人投資家の「株で勝つ!」投資手法を徹底解剖!
2013年8月22日 ザイ・オンライン編集部

資産2000倍の元カリスマ個人投資家・五月さんは
なぜ「ひふみ投信」に入ったのか?

なぜ、カリスマ個人投資家・五月さんは機関投資家になったのか(その1)

二人のカリスマが2009年にツイッターで出会った

 まずは、「ひふみ投信」の運用チームに個人投資家・五月さんを採用した、藤野さんにその経緯を聞くと、実は藤野さんと五月さんが初対面したのは、4年前の2009年。藤野さんが五月さんと知り合ったきっかけはツイッターだったという。

「もともと、五月くんとは4年前くらい前からツイッターでつながっていました。当時、まだ東北地方に住んでいた彼に『今度、東京に来る機会があれば話しましょう』と声をかけて、僕らが毎月行っている運用報告会『ひふみアカデミー』に来てもらって、その後に焼肉を食べながらいろいろ話をする、ということが何回かありましたね。その後もツイッターでフォローもしていましたし、ブログも読んでいたので、幅広い意味で『投資業界の仲間』として、ずっと見守っていました」

 その当時、五月さんの投資資金はまだ5000万円程度。もちろん、20代中盤の個人投資家としては優れた成績だが、「カリスマ個人投資家」として知られるようになるずっと以前のことだ。藤野さんはなぜ、その時点で五月さんに興味を持っていたのだろうか?

「僕は時間があれば、プロアマ問わず、そういうミーティングをして、自分の中で人材のポートフォリオをつくっているところがあるんです。だから、彼だけに声をかけたというわけではなくて、実際、何人か一緒にご飯を食べた中に彼がいた、という状況でした」

 しかし、藤野さんは当時から五月さんに特別な「センス」を感じていたという。

藤野さんが感じた五月さんの「投資のセンス」とは?

 「彼はツイッターでのつぶやきでも投資について真摯で、真剣で、ある面でセンスを感じたという面はありますね。当初はデイトレっぽかったんですが、だんだん彼の投資スタンスも変化していって、粉飾決算にダマされそうになった経験などもあったようで『会社の中身をよく見よう』というファンダメンタルズ重視に変わっていったのもわかっていました。別にファンダメンタルズ重視がよくて、(テクニカル分析中心など)ファンダメンタルズを重視しないのがダメ、というわけではなくて、そういう変化が彼の中であったというのを見ていました」

 前述したように五月さんの投資スタンスは2009年前半あたりにデイトレ主体の短期売買から、中小型株の中長期の売買に変化していった。2011年4月号のダイヤモンドZAiの取材でも「少し資金が増えて、相場が上昇に転じていたので、デイトレからスイングに切り替えて、リスクを取って値幅を狙う」ような取引を目指すために、もともと好きだった企業分析にさらに力を入れるようになったと答えている。その五月さんの投資スタンスの変化は、藤野さんが今回、彼を採用する際には重要な変化だったようだ。

「彼のことが『いいな』と思ったのは、割とワザが多いんですよね。明確な『五月流』というような勝ちパターンがあるわけではなくて、チャートも読むし、ファンダメンタルズも見るし、その企業の成長ストーリーも考える。それが彼の魅力、強みじゃないかな。まだ30歳と若いんですが、そういう懐の深い『勝ち方』は横綱相撲っぽいんですよね」

「君を採用するとしたら、一番の候補は藤野さんだ」というひと言

 では、実際に採用に至った経緯はどのようなものなのか。

「今回は僕たちから声をかけたわけではないんです。彼が今年の2月に『しばらく投資を辞める』と宣言したんですが、その後に彼が知り合いのファンドマネジャーと話をしたら、『君の実力ならプロで十分通用するからやってみたらどうか』と言われたみたいで、彼も『今後の人生を考えるときに、今までは個人で投資をしてきたけれども、今後はプロでも仕事をしてみたい』と思ったようです」

 しかしこれまで、短期売買が中心の個人投資家が証券会社などで自己売買を行う「ディーラー」として採用されるケースは珍しくなかったが、主に中長期投資を行う個人投資家が投資信託の運用に携ったという例は聞いたことがない。

「そうですね。だから、同時にそのファンドマネジャーは『ただ、今の運用業界であなたを採用する可能性がある会社は数社しかないだろう。君を採用するとしたら、その一番の候補は藤野さんだ』と言われたと。実際、僕も五月くんから話を聞いて、『面白いじゃないの』と思ったんですよね。彼みたいな人が入ってくると、運用業界も活性化するし、銘柄選択に強い人が運用チームに入ってくるのは、すごくいいことだなと。それで、3月後半くらいに彼と話をして、『五月くんだから5月から』というのは偶然だったんですけど(笑)、5月に入社して、運用チームに加わってもらいました」