ザイスポ!
2013年9月30日 ザイ・オンライン編集部

消費増税をして日本はどこに進むのか?
高橋洋一氏が増税後の日本政府にモノ申す

取りっぱぐれている税金、保険料で10数兆円は確保できる

――消費増税は低所得者層にとって不公平な税制という声もありますが、これに対する解決策はないのですか?

 消費税は低所得者層に不公平な税制だ。だから現金給付という発想になるのだが、税の不公平感を言うのであれば、徴収漏れをおこしている社会保険料と税金をなんとかすべきだ。国税庁と年金機構が把握している法人は年金機構のほうがずっと少なく、国税庁と80万件の差がある。この差が社会保険料の徴収漏れにつながり、その額は年間10兆円程度ではないかと推測できる。

 所得税なども国民総背番号制がないために、補足できずに税の不公平感を生んでいる。これがきちんと徴収できれば5兆円規模の増収が期待できる。消費税にしても、欧米では当たり前になっている「インボイス制」が導入されていないために3兆円程度の徴収漏れがあると思われる。社会保険料、所得税、消費税などの合計で10数兆円程度の不公平がある。これだけでも、消費税増税による税収8兆円を上回るのだ。それも恒久的な財源になる「埋蔵金だ」。

 個人番号制度の導入には個人情報の侵害につながるのではと根強い反対があるが、ようやくこの5月に法案が可決成立し、2016年1月から運用が開始されることになった。しかし、これだけではダメで、個人番号制度をもとに国税庁と年金機構の徴収部門を統合した「歳入庁」を創設することが重要だ。

 歳入庁で税と保険料の徴収を一元化するのは世界の流れであるし、行政の効率化にもつながる。システムの運用が懸念されるが、システムの構築がうまくいけば、預金の資金トレースが簡単にでき、脱税を見つけるのは今より、各段にラクになるはずだ。個人番号制度の導入は、消えた年金問題の記憶や大して利用できない住民基本番号など、悪い印象が国民のなかにあったからだが、当の財務省が大反対して前に進まなかった一面もある。国税庁を意のままに使いたいという思惑があるからだ。

 ここでも、財務省のカベがある。歳入庁の創設は、税収を増やす有意義な考え方なのだが、それよりも自分たちの権益が優先する。消費税増税は、財務省の思惑どおりに進むだろう。しかし、埋蔵金や隠れ資産の温存をわれわれ国民は許しておくべきでないのだ。