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2013年12月30日 ザイ編集部

竹中平蔵さんが語るアベノリンピックで
日本経済&日本株が復活する理由とは?!

質問2 成長戦略はうまくいっていないのでは?

A.アベノミクスは唯一無二の政策で、第3の矢の成長戦略はまさにこれから。

 理論的にアベノミクスは、100%正しい唯一無二の政策です。ただし、それを着実に実行できるかどうかは、現時点でまだ定かではありません。

 安倍首相は英国のサッチャー元首相が掲げていたスローガン「TINA」を引用し、「アベノミクス以外、他に方法はない」と力説してきましたが、それは正しいです。「TINA」とは「There is No Alternative(他に選択肢はない)」という意味で、サッチャー元首相はこの言葉の下で構造改革を推進しました。

 それに倣って安倍首相もアベノミクスの手を緩めなければ、構造改革に伴って日本経済も活性化し、長期政権が誕生することになるでしょう。たまたま景気がいい時期に発足して長期政権化するパターンもありますが、安倍政権の場合はその逆です。それを果たすうえでも不可欠となってくるのは、第3の矢である「成長戦略」でしょう。

 私は小泉政権下で4年半にわたって経済政策に携わってきましたが、成長戦略は一切打ち出しませんでした。成長戦略が議論されるようになったのは、私が政界を退いた後のことです。そして成長戦略が作られてから、日本の成長率は低下しました。成長戦略は“打ち出の小槌”ではないのです。結局、規制緩和と減税によって、民間の力を強くしていくしか術はありません。

 たとえば、国から補助金をもらっている日本の大学が、グローバルに強くなるはずはありません。だから、私は東大を民営化し、教育の強化を図るべきだと考えています。世界のトップ10に挙げられる大学に、国立など存在しません。民営化したうえで、補助金ではなく、競争を促すような方向で研究資金を助成すべきでしょう。

 もっとも、規制緩和や減税に関しては利害関係者の抵抗も根強く、ここまでのところ、まったくビクともしていないのが実情です。いわば「岩盤規制」と化し、これをどうやって打ち砕いていくのかが安倍政権の課題です。その意味で、まだ第3の矢は実際に放つ前の準備段階にあると言えます。

 いずれにせよ、安倍政権の成長戦略が結実するには時間を要するので、性急に成否を議論すべきではありません。一般の国民も、しっかりと現実を認識する必要がありそうです。先般、読売新聞が行なったアンケートでは、「アベノミクスを評価しない」と答えながらも、「安倍政権のどこを支持するか?」との問いに「経済政策」を挙げた人がいました。

質問3 4月からの消費増税で景気が冷え込むのでは?

A.一時的には確かに落ち込むが長期ビジョンを示せば大丈夫!

 消費税が引き上げられれば、その直後は間違いなく景気が失速しますから、それを踏まえた経済対策を打つ必要があります。時を同じくして高速道路の料金も引き上げられますし、アベノミクスの行く末を占ううえで14年4月が1つの焦点となってきそうです。

 景気が悪化しそうなら、その可能性を洗い出し、次の手をきちんと指し示しておかなければなりません。その一方で、次の通常国会においてもっぱら何を議論するのかがまだ明確になっていないのも気がかりです。

 こうした場面こそ、環太平洋連帯構想を打ち出したかつての大平内閣のように、長期のビジョンについて議論すべきでしょう。そして、その中間評価の場となるのが20年に開催の東京オリンピックです。

 特に農業と医療の分野では、徹底的な議論が必要です。国土の狭いオランダが農作物で世界2位のシェアを誇っているように、日本も世界に冠たる輸出国となれるはず。医療においても、医師会の圧力で医学部の新設が30年以上も認められなかったことが象徴するように、抜本的な改革が不可欠です。