株ニュースの新解釈
【第131回】 2014年12月10日 保田 隆明

ふるさと納税での資金調達額、
日本トップクラスの北海道上士幌町は
他の市町村となにが違っているのか?

リピーターも毎回特産品を受け取れる

 一人の人が同じ年内に2回目、3回目のふるさと納税をした場合、2回目以降は特産品を提供していない自治体と、2回目以降も毎回特産品を提供している自治体とが存在する。

 特産品を、町を知ってもらう、町を試食してもらうという位置づけであれば、同じ人に何度も特産品を贈る必要はないという判断になるだろうし、お礼の品と位置付ければ毎回送るという判断になる。

 上士幌町の場合は、2回目以降もお礼の品を受け取ることができ、これも人気要因の一つである。

 もし、3万円を1万円ずつに分けて3回ふるさと納税として納めた場合、特産品を3回受け取ることができる。1回につき5000円相当の特産品を受け取ると仮定すると、2000円負担で合わせて1万5000円相当のものがもらえることになる。これは、1万円ずつ3つの自治体にふるさと納税を実施した場合も同じである。

上士幌町のシンボルでもある熱気球。毎年「バルーンフェスタ」も町内で行なわれるが、100万円のふるさと納税で熱気球が全国に出張、搭乗できるプランもある(道内は50万円。納税前に要問い合わせ)*写真はバルーンフェスタの様子

地域おこし協力隊の活躍

 安定供給とも関連するが、納税者に特産品を届けるという行為は通販に似ている。在庫の把握、入金確認、業者への発送依頼などの業務をスムーズに行うには、ある程度の規模になってくるとITシステムが必要となる。

 上士幌町の場合は、このシステム開発を地域おこし協力隊として町に赴任していた人が担当してくれたとのこと。これにより、ふるさと納税の数が大量に増えても対応できている。地域おこし協力隊に関しては、その活用法や効果について様々な議論があるわけだが、上士幌町の場合は見事にハマった事例と言えよう。

 システム開発ができる人材は東京や札幌など都市部では比較的豊富にいるが、なるほど地方では少なく、地域おこし協力隊のあり方としても参考になりうる。

知名度の高くない規模の小さい自治体の方が取り組みやすい?

 北海道上士幌町に限らず、以前当コラムで取り上げた北海道東川町など、ふるさと納税でうまく行っている自治体には規模が小さく知名度自体は高くない自治体が多い。

 その理由の一つは、町政の規模が小さいので、町長のトップダウンで動けることである。

 ふるさと納税は、税収という意味では財政や税金を扱う課の仕事になるが、地域活性化という観点では企画や産業振興、あるいは、観光を扱う課の仕事にもなりうる。ただ、どの課にしてみても経験のしたことのない部類の仕事である上に、役場でよくありがちな「なぜうちの課だけが追加仕事を・・・?」という職員意識になりやすい。

 したがって、町長がトップダウンで「ふるさと納税でまちおこしをするぞ!」と大号令をかけて、関連する課を総動員して役場内で横断的に取り組まないとなかなか動かない。以前の北海道東川町も、今回の北海道上士幌町も、共に町長にヒアリングをさせていただいた際に感じたのが、トップダウンでこのふるさと納税に取り組んでいるということである。

 また、小さい自治体であれば、提供できる特産品の種類も限られるため、町のウリを明確にしやすい。しかし、これが中規模以上の自治体になると、何をふるさと納税の特産品にするかの選択で不平や不公平感が出てしまう可能性がある。役場にとっては、地域住民、地域企業にとって公平であることが重要であるため、そのような状況ではウリとなる商品を恣意的に選ぶことは難しい。

 ふるさと納税は特産品の高級化競争が激化しているが、モノで釣るだけだと単発に終わる可能性が高いので、最終的には役場が横断的に一丸となって取り組んでいるかどうかが重要になる。また、消費者側も、小さな自治体だからこそサポートしたいという思いを抱くことも考えられ、これら要素があいまって自治体の規模に関係なくふるさと納税は成功しうるわけだ。