世界投資へのパスポート
【第415回】 2016年4月25日 広瀬 隆雄

【米国有名企業の決算】マクドナルドは本格回復も
グーグルの親会社アルファベットは低調など、
成長株に陰りが見える中での今後の投資戦略とは?

 米国企業の決算発表が相次いでいます。そこで今回は先週の決算発表の中で特に印象に残ったものを紹介します。

グーグルの親会社アルファベットは
「成長率が10%台の下の方」の会社になりつつある

アルファベット(ティッカーシンボル:GOOGL)は、グーグルの親会社です。同社の第1四半期決算は、悪い内容でした。

 EPS(一株当たりの利益)は予想7.96ドルを大幅に下回る7.50ドルでした。売上高も予想の203.8億ドルを下回る202.6億ドルに終わりました。

 今期の売上高成長率は17.4%でした。デジタル広告市場の7割は、グーグルとフェイスブック(ティッカーシンボル:FB)の2社が牛耳っています。その関係で、グーグルがこれ以上、マーケットシェアを伸ばすのは、かなり困難だと思います。

 一方で広告主の予算は儲けに応じてしか増えないので、デジタル広告市場のパイそのものは、10~15%程度の成長率にとどまると思います。

 グーグルの場合、モバイル広告が広告売上高に占める割合が高いのです。モバイル広告はTAC(トラフィック・アクイジション・コスト=パートナー企業への割り戻し)の割合が高く、モバイルへの移行が進めば進むほど、コスト増になるというわけです。

 今期のTACは+18%でした。つまり売上高より費用の方が速いペースで増えてしまっています。今期のEPS成長率が+14%と、売上高成長率を下回った一因は、そこにあるのです。

 アルファベットは、これまで野放図に費用の増大を許してきました。現在、同社では6万4000人の従業員が働いています。その社員の多くがクラウドならびにアプリ開発に投入されています。しかし同社の売上高に占めるクラウドの貢献は、微々たるもので、R&D(研究開発)の生産性は低いのが現状です。

 アルファベットは将来の新規事業を「アザー・ベッツ」というカテゴリーにまとめています。そのアザー・ベッツは、大赤字です。同部門は利益に直結しない長期的な事業ばかりを集めているので、赤字なのは驚くに値しませんが、それも程度問題です。今期のアザー・ベッツの営業赤字は8億ドルでした。

 つまりアルファベット自体が「10%台の下の方」の成長率の会社になろうとしているのに、いつまでも道楽のような事業で大赤字を垂れ流しているわけには行かなくなっているのです。

 先日、同社が「蹴られても倒れないロボット」の事業を処分すると決めたのはそのためです。

 アルファベット株は現在、過去12ヵ月のEPSに基づくPERで、31倍で取引されています。これは「10%台の下の方」の成長率に照らして割高です。

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ポイント・サービス・プログラムを“正しく”改変した
スターバックスは来期以降の決算に注目

スターバックス(ティッカーシンボル:SBUX)の第2四半期(3月期)決算も、いまひとつでした。

 EPSは予想と一致する39セントでしたが、売上高は予想50.3億ドルを下回る49.9億ドルにとどまりました。売上高成長率は前年比+9.4%でした。

 注目された既存店売上比較は、予想+6.7%に対し+6%でした。内訳は+4%がチケット(顧客単価)、+2%がトランザクション(来店客数)でした。

 同社は先ごろ、ポイント・サービス・プログラムの内容を変更しました。これまでは一度の購入金額に関係なく、10回買い物をすると1ドリンクが無料になるというシステムでした。

 しかしこれだと1回の来店で、わざと2回に分けて買い物する客や、単価の安いドリンクを注文することで回数を稼ぐ客などが出ます。

 そこでポイント・サービス・プログラムを金額ベースに修正したというわけです。

 この改変は、金額の高いドリンクやフードを沢山購入するカネ離れの良い来店客を厚遇することになり、「スターバックスの利益」という視点からは、まことに正しい戦略です。

 しかしそれは「おこづかいが限られているファンを、ないがしろにしている」という批判を浴びる結果となっています。

 今回のポイント・サービス・プログラムの改変は、当然、来店客数を圧迫し、顧客単価の伸びを助長するという効果があると予想されます。その片鱗はすでに今回の決算にもうかがわれます。

 来期以降、この微妙なバランスが失われてしまわないかどうかに注意を払う必要があると思います。

 ちなみにスターバックスは今回の決算発表に際して、今後の見通しを少しだけ下げています。具体的には第3四半期はEPS予想49セントに対し、新ガイダンス48~49セントが提示されました。

 また2016年通年EPSは予想1.89ドルに対し、新ガイダンス1.88~1.89ドルが提示されました。さらに2016年通年売上高は予想215.4億ドルに対し、新ガイダンス215億ドルが提示されています。

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本格的な業績回復を証明したマクドナルド
来店客の満足度指数も改善中

マクドナルド(ティッカーシンボル:MCD)の第1四半期決算はこのところの同社の業績回復が本物であることを物語る、良い内容でした。

 EPSは予想1.17ドルを上回る1.23ドル、売上高は予想58.2億ドルを上回る59億ドルでした。また既存店売上比較は予想+4.5%を上回る+6.2%でした。

 「オールデイ・ブレックファスト」が寄与したことに加え、バリューを強調した「マクピック2」の導入が寄与しました。

 来店客の満足度指数は改善中です。

 マクドナルドは自社所有店舗をフランチャイズへ譲渡することを押し進めています。ゆくゆくは店舗の95%をフランチャイズ化する計画です。去年は700店舗をフランチャイズへ譲渡しました。

 特に中国、韓国、香港では現在、70%が自社店舗となっており、これらの地域でのフランチャイズ化を急ぐ計画です。

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リストラ真っ最中のゼネラル・エレクトリック
継続事業部門の決算は良い内容だった

ゼネラル・エレクトリック(ティッカーシンボル:GE)の第1四半期決算は良い内容でした。

 同社は現在リストラクチャリングの真っ最中であり、決算の評価に際しては、今後の継続事業である工業ならびに垂直事業部門の業績だけが重要となります。

 そのベースでみるとEPSは予想19セントを上回る21セントでした。売上高は予想279.7億ドルに届かない276億ドルでした。売上高成長率は前年比+6.4%でした。

 同社の新しいコア事業のうち発電のビジネスは出荷が下半期に集中すると見込まれます。買収したアルストームの統合は上手く行っており、引き合いは増えています。

 航空機エンジンのビジネスは長期の上昇トレンドに入っており、今後も息の長い需要が見込まれます。

 現在の全社受注残は3160億ドルで、これは前年比+18%でした。

 2016年通年のEPSは予想1.50ドルに対し、これまでのガイダンス1.45~1.55ドルを堅持します。

 GEキャピタルの売却は、1660億ドルの資産のうち、これまでに1460億ドル完了しています。売却で受け取ったキャッシュは、自社株買戻しと配当に投入されます。

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【これからの投資戦略】オールド・エコノミーの株、
素材、エネルギー、工業株などに注目

 これまでの決算では上で紹介したアルファベットやスターバックスに代表されるように、成長株の決算が芳しくない例が目立ちました。これらの株は去年までヘッジファンドが好んで投資する投資先でした。その関係で、「買われ過ぎ」になっているという指摘もあります。

 このところナスダック銘柄から資金の流出が顕著で、その資金の一部はバリュー株へと流れています。

 したがって、引き続きオールド・エコノミーの株、素材、エネルギー、工業株などをオーバー・ウエイトすべきです。