住宅ローン金利はこれからどれくらい上昇するのか? 利上げ時代に備えて、今できることを解説!
発売中のダイヤモンド・ザイ2023年3月号は、特集「【住宅ローン】お悩み相談室」を掲載。日銀が実質利上げを発表し、住宅ローンとの向き合い方について悩む人が増えている。実際、すでに住宅ローンを借りていて、変動金利タイプを選んでいる人や、これから住宅ローンを借りようとしている人は、不安が尽きないだろう。そこで、この特集では住宅ローンに関するさまざまなお悩みを、住宅ローンアドバイザーなどの専門家に聞いている。
ここでは「今後の住宅ローン金利の展望」や「変動金利の住宅ローンをどうすればいいか」というお悩みへの回答を紹介!
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【住宅ローンに関するお悩み その1】
今後、住宅ローン金利は上がっていきますか?
低金利時代が長く続き、住宅ローン金利も低水準であることが当たり前のようになっていたが、ここへ来て、日銀が実質利上げを発表。長期金利や短期金利に基づいて決められる住宅ローン金利への影響は免れない。
とはいえ、金利の正確な予測は不可能。よって、住宅ローン金利がこの先どうなるか、ということも誰にも明言はできないのだ。
わからないことを不安がるよりも、まず取り組んでおきたいのは、下の表にまとめた「住宅ローンの変動金利と固定金利が決まる仕組み」の理解と、足元の状況の把握だ。
まず、固定金利の元になる長期金利は市場で決まるが、ここ数年は日銀が市場に介入し、0.25%以上にならないよう抑えていた。しかし、超低金利で円安や物価高騰が誘発され、限界に達したことを背景として、0.5%まで許容することに。これが2022年末の「実質利上げ」の正体である。
一方、変動金利の元になる政策金利(短期金利)についてはノータッチで、2016年に導入したマイナス金利を継続。これにより、実質利上げ後に発表された大手銀行の最新の固定金利は、長期金利の上昇を受けて軒並み上昇。逆に、変動金利はマイナス金利の維持により変動しない、もしくは、金利に敏感となった顧客を獲得するチャンスと見た数行が引き下げており、固定金利とは対照的な動きになっている。
一段の低下を見せた変動金利が上がるのは、政策金利が上昇するときだ。日銀が政策金利を上げるにあたっては、いくつかの条件が設定されている。その一つである賃金の上昇は未達だが、物価が上昇に転じていることなどを理由に「転換点が近い」と見る専門家は多い。
当面の注目点は、4月の黒田日銀総裁の任期満了だ。マイナス金利を導入した総裁に代わり、方針が異なる新総裁が就任すれば、マイナス金利解除も視野に入る。その場合、変動金利も0.25%程度は上がる可能性があるだろう。
【住宅ローンに関するお悩み その2】
金利上昇への対応は? 変動金利の人は固定金利に借り換えるべき?
すでに住宅ローンを組んでいて、変動金利を選択している場合、固定金利に借り換えるかどうかが悩みどころだ。
本格的な利上げが始まると、変動金利もどんどん上がってしまう可能性があるので、返済額を膨れ上がらせないために、利上げが始まる前から固定金利に借り換えておいたほうがいい、という説もある。しかし、今のように変動金利が下がり、逆に固定金利が上がっている中で、結論を下すのはなかなか困難だ。
そもそも、昨年末に実質利上げがあったからといって、変動ローンの適用金利がすぐに上がることは想定しづらい。住宅ローン評論家の千日太郎さんは「日銀が変動金利の元になる政策金利を利上げできない状況になる可能性は、十分ある」と分析。一方で「日銀には、将来は利上げしたい意思があることも顕在化してきた」とも指摘する。つまり、金利上昇を想定した点検と備えはしておくべきなのだ。
まずは、金利が上昇しても毎月の返済額アップに耐えられるか、あるいは、返済額軽減型の繰り上げ返済で、毎月の返済額がアップしないようにできるか試算してみよう。
仮に、金利0.4%で3000万円借りていた場合、金利が0.5%上昇したら、月額で約5000円の負担増。2%上昇すると、約2.4万円の負担増となる。ただ、返済額軽減型の繰り上げ返済に回せる貯蓄などが約630万円あれば、たとえ金利が2%上昇しても、毎月の返済額は増やさずに済む。
「プチバブル」と呼ばれた2000年代後半でさえ、変動金利は2%未満だったので、2%上昇したケースでも耐えられるなら、当面のリスクは低いと考えていいだろう。
また、残債が1000万円以下だったり、返済の残り期間が10年以下だったりする場合も、一般的に借り換えは不要とされる。手数料など借り換えのコストで損する場合も多いし、仮に元金の返済が進んだ数年後に金利が1~2%上昇したとしても、返済額の増額はわずかなので、ちょっとした節約で乗り切れる可能性が高いからだ。
ほかにも、遠くない将来に自宅の売却を予定している人や、いざとなれば自宅を売却して完済できる人も、金利上昇リスクに耐えられるので、積極的な借り換えは不要だろう。むしろ、今借りている変動の低金利の恩恵を享受するべきだ。
逆に、点検の結果、将来的な金利上昇リスクに耐えられそうにないと判断した人は、今すぐに家計改善や貯蓄の充実を図るほか、固定金利の住宅ローンへの借り換えも検討し始めるようにしたい。
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