フィデリティ投信に入社し、初めてFIREを意識。それからわずか12年、42歳でFIREを達成
マース・アンド・コーを退社したあと、2005年、ポール氏はついにフィデリティ投信に転職した。本記事ではポール氏の生い立ちをたどってきて、ここまでいろいろなことを書いてきた。そのため、もう相当な歳月が経っている感じもしてしまうが、フィデリティ投信に転職した時、ポール氏はまだ30歳の若さだった。
フィデリティ投信ではまず株式アナリストとして、海運業界、化学業界、金融業界などを担当した。
「アナリストといっても、ただ、銘柄を分析していればいいというわけではありません。フィデリティの場合、買い推奨したら、それはきっちりトラッキングされ、給料の6割はそのパフォーマンスで決まるのです。だから、アナリストでも、いつ推奨するかというタイミングは重要であり、シビアに考えていました」
ポール氏の以下の連載記事では、そういったアナリスト経験で実感した銘柄の見極め方が書かれている。
[参考記事]
●私の歩んできた道(3) アメリカの名門投信会社フィデリティで経験したシクリカル銘柄の見極め方。銀行株はもう追いかけない方がいい。その理由とは?
ポール氏はフィデリティ投信で、ファンド・マネージャーを務めたこともあったし、同社におけるキャリアの後半では、中国株調査部長、日本株調査部長を歴任した。
そんなポール氏がFIREということを考え始めたのはフィデリティ投信に入ってからのことだった。
「金融業界に入ると、そこはすごく不安定な場所ということがわかります。また、金融業界で50歳以上で働いている人はいないに近いと言ってもいいぐらいです。50歳よりも前に、早めに経済的自由の基盤を作らないといけないと思いました。
フィデリティ投信の給料は良かったですが、派手にお金を使うことはなく、投資に回しました。一番成功したのは実は不動産投資ですが、インデックスファンドなどを含めて株にももちろん投資してきました」
こうして資産を増やしていったポール氏は、2017年、フィデリティ投信を辞めてFIREを実現。まだ42歳だった。フィデリティ投信に入社し、本格的にFIREを志向してからわずか12年しか経っていない。それとともに、ポール氏は日本からアメリカのシアトルへ移住した。
ただ、シアトルを本拠地としながらも、キャンピングカーでグランド・キャニオンへ行ったり、ヨットでカリブ海を航海したり、日本へ行ったり、欧州へ行ったり、ポール氏は世界をゆったり駆け巡って、FIRE生活を満喫している。
[参考記事]
●欧米流FIREのライフスタイルを2つ紹介。キャンピングカーで砂漠旅! ヨットで世界旅行! 費用をかけずに会社勤めではできない体験をしよう
●経済番組に、カリブ海のヨットから生出演! スペースXの衛星サービス「スターリンク」で、世界中どこでもインターネットができる
FIREするにあたっては、人生の意義についてもポール氏は考えをめぐらせた。「子どもともっといっしょに時間を過ごしたい」。中心にあったのはそんなシンプルな思いだった。
[参考記事]
●私の歩んできた道(4) 中国株には素人とプロの間に情報格差がかなりある。中国株はガバナンスに注意! 怪しい会社も多い!
長期のスパンで堅実にやっていく投資のエッセンスを伝えていきたい
FIRE生活の中で、社会貢献していきたいという気持ちもポール氏にはある。日本は金融教育が充実しておらず、正しい金融知識が十分に普及しているとは言い難い。だから、金融のノウハウをみんなに伝えたいということがポール氏が社会貢献したいと考えたことの1つだった。
「最初は自宅にいて、非営利で金融教育のことをやってもおもしろいかなと思っていたこともあったんです。ただ、メルマガのお誘いがあったので、やってみようと思いました。
投資の世界では、センセーショナルなことを言ったり、議論が割れるような事柄について強く断定したりして、多くの人の注目を集める人もいます。それが悪いと言うわけではないのですが、私自身はそういうことは目指していません。
自分のメルマガでは、無責任に煽ったりするようなことはなく、中長期のスパンで堅実にやっていく投資のエッセンスを伝えていきたいと思っています」
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(取材・文/フリーライター・井口稔)
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。
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