11月30日開催のOPEC総会で
減産合意がなされる?
11月30日(水)に、ウイーンで石油輸出国機構(OPEC)の総会が開かれます。市場参加者のコンセンサスは「OPEC総会では減産合意には到達できない」というものです。
そういう私も、「OPECメンバー各国の思惑が食い違い過ぎているので、意見調整はムリだろう」と、考えてきました。
しかし、先週から突然、減産機運が盛り上がっています。
そこで、今日はこの問題について書きたいと思います。
減産機運が高まった理由はトランプが発表した2人の人事に
1人はCIA長官のマイク・ポンペオ
先週、OPECメンバー各国が、「もう一度、自分たちに何ができるか、しっかり考えてみよう」と思い始めた背景には、11月8日の米国大統領選挙で当選したドナルド・トランプが主要ポストの人事を発表したことがあります。
特にOPECとの絡みでは、CIA(中央情報局)長官にマイク・ポンペオが推挙されたことと、国家安全保障補佐官にマイケル・フリンが抜擢されたことが重要です。
まずCIA長官に選ばれたポンペオですが、彼は共和党の下院議員で、ウエストポイント(陸軍士官学校)をトップで卒業、従軍したあと、ハーバード・ロースクールを卒業しました。ハーバード・ロースクールでは、オバマ大統領と同じように、学生団体が発行する法律評論誌「ハーバード・ロー・レビュー」の編集長を務めました。これは大変名誉ある地位です。
そのポンペオは、イランの核開発を制限する「6か国核合意文書」に強硬に反対する立場を取っています。
「6か国核合意文書」は、イランに対する経済制裁を解除する代わりに、イランが核開発をスローダウンするという取決めです。この合意に基づき、1979年のイラン革命以来、アメリカが凍結してきたイランに対する過去の支払いが、ようやく再開されたばかりでした。
しかしCIA長官になる人が「6か国核合意文書」に反対の立場を取っていることで、「来年から、そろそろイランとの商取引を再開しよう」と思っていた米国企業や米銀は、出鼻を挫かれた格好になります。
なるほど、イランに対する経済制裁は大筋では解除されているわけですが、欧州とアメリカでは国内法が違うので、現状ではアメリカ企業はイランとの商売を再開しにくい状況に置かれているのです。
イランの原油生産は経済制裁解除後着実に増加しており、現在は369万バレル/日と、ほぼ経済制裁以前の水準まで戻っています。
一方、イラクも戦争の後、原油の増産を急いでおり、両国はOPECの中で最も「足並みを乱す」原因を作っている国だと言えます。
イランは長年、石油生産設備に新規投資できない環境に置かれてきたので、設備が老朽化しています。これ以上増産するには、世界最先端の技術を持つアメリカの石油探索生産機器を導入する必要があります。
しかし上に書いたような事情で、アメリカ企業が尻込みすると増産できなくなるのです。
このような背景から、イランは先週になって突然、「OPEC減産に合意してもよい」と言い始めています。すでに生産能力の限界まで増産しているわけだし、今後、アメリカと「6か国核合意文書」に基づく商取引の正常化を交渉してゆく上で、「OPEC減産カード」を持っていた方が交渉を有利に進めることが出来るからです。
イスラムに対してタカ派のマイケル・フリンが
国家安全保障補佐官に抜擢されたのがもうひとつの理由
次に国家安全保障補佐官に抜擢されたマイケル・フリンですが、彼は陸軍中将としてアフガニスタンなどで従軍しました。
彼はトランプと違い、民主党の党員です。オバマ大統領から国防情報局長官に任命されたのですが、アメリカのイラク政策が「ぬるすぎる!」と批判したことからオバマ大統領から疎まれ、解任された経緯があります。
このように、フリンはイスラム(回教)に対してタカ派であり、「そもそもイスラムに良いイスラムとか悪いイスラムという区別は無い。イスラムに対しては徹底的に戦わないといけない」という過激な意見の持ち主です。
アメリカは、これまで中東諸国と接するに際し、「この国はアメリカの友達。この国は敵」という風に、同じ回教国でも注意深く選別し、パートナーを選んできました。
しかしフリンは、「イスラムは、全部ダメ」という極論の持ち主なのです。
すると回教国が多いOPECのメンバー間では、「俺たち、反目し合っている場合じゃない!」という危機感が醸成されつつあるのです。
先週以降、OPEC内部で減産合意気運が俄然高まっているのは、そのような理由によります。
もしOPECで減産が発表されたら、
石油関連株が狙い目に!
11月30日のOPEC総会で減産が発表されたら、原油価格は55ドル前後まで上昇する可能性があります。
その場合、まずは石油株が買われるでしょう。銘柄としては、大型株ではエクソン・モービル(ティッカーシンボル:XOM)が割安放置されていると思います。配当利回りは3.5%あります。
エクソン・モービルが出遅れている理由は、大手の中で、同社だけが最近の原油安で確認埋蔵量の下方修正をしていないことから、「資産毀損による赤字を計上するのではないか?」という不安がつきまとっているからです。
はっきり言って、そのような下方修正は帳簿上の評価を減じるだけのものであり、キャッシュロス、すなわち実際の営業ベースで赤字を出すということではありません。だから評価損を計上するなら早く計上してしまった方が良いし、実際に計上されたとしても日々の業務や同社に対する信用には何ら影響はありません。
次にシェール株では、キャロン・ペトロリウム(ティッカーシンボル:CPE)が妙味だと思います。同社は、西テキサスのパーミアン・ベイシンで操業している業者のひとつです。
石油サービス株の中では、ドリルビットなどを作っているベーカー・ヒューズ(ティッカーシンボル:BHI)が面白いでしょう。同社は最近、ゼネラル・エレクトリック(ティッカーシンボル:GE)の石油機器部門と経営統合すると発表しており、これを機にGEのグループ企業入りを果たします。
GEは「モノのインターネット(IoT)」でリードしており、石油探索機器はその中でも最も有望な分野です。従って、GEが「モノのインターネット」を押し進める際の戦略企業としてベーカー・ヒューズを取り込んだというわけです。
【今週のまとめ】
中東産油国の不安から減産合意が発表されれば
石油関係の株が狙い目に!
「減産合意は無理」とおもわれてきたOPECですが、ここへきてムードは変わっています。トランプ政権の閣僚人事が、中東産油国を不安に陥れているのが、そのキッカケです。
もし11月30日、本当に減産が発表されたら、原油は急騰するでしょう。原油急騰局面ではエクソン・モービル、キャロン・ペトロリウム、ベーカー・ヒューズなどに投資したいと思います。
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