トランプ大統領は議会に送った
拍子抜けするほど軟弱な書簡
先週、トランプ政権が、米国通商代表部(USTR)を通じ、議会に対して北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉に関する書簡を送りました。
その書簡は、驚くほど事務的で淡々としていました。普段、トランプ大統領がギャアギャアわめいている「アンフェアな貿易協定は破棄する!」、「メキシコ製品に35%の関税をかける!」、「米企業がメキシコに工場を建てるのは許せない!」というような過激なトーンはどこにも見当たりません。
その代り、現行のNAFTAの規定を殆ど是認するような淡々とした内容になっており、あまりの軟弱さにメキシコ側もアメリカ側も拍子抜けしました。
今週はいよいよ米中トップ会談だが、
トランプ大統領の要求は?
今週、中国の習近平中央委員会総書記がフロリダの「冬のホワイトハウス」と呼ばれているマー・ア・ラーゴでトランプ大統領と会談します。
しかし、これまでのところ財務省は中国を「為替操作国」に認定していませんし、具体的に中国に対し、どのような要求を行うかも明らかにしていません。
先週の書簡がトランプ政権の貿易問題に対する取り組みの基調になるのであれば、中国との貿易交渉も淡々としたものになるのかも知れません。
対中強硬派は、トランプ政権内で
早くも影響力が低下か
トランプ政権内には、貿易問題で強硬派と穏健派の二つのグループが形成されています。
強硬派の代表は、ピーター・ナヴァロ国家通商会議委員長です。一方、穏健派の代表はゲイリー・コーン国家経済会議委員長兼経済担当大統領補佐官、ならびにウィルバー・ロス商務長官です。
これまでのところトランプ大統領は、実務経験豊かで、洞察に富む穏健派の意見を重用しています。ナヴァロ国家通商会議委員長は、大統領から「こいつはあんまり使えないな」と思われているふしがあります。
もちろん、このままトランプ政権が、貿易問題に関して柔軟かつ協力的に振舞い続ける保証はありません。
しかし当初懸念された、トランプ政権が世界貿易をメチャクチャにするシナリオは遠ざかったと考えて良いでしょう。
トランプ大統領の態度軟化で
もっとも恩恵をこうむるのは?
こうしたトランプ大統領の態度軟化で一番恩恵をこうむるのは、下のグラフに登場する貿易相手国でしょう。
具体的な銘柄としては、まず中国に投資するETF(上場型投資信託)の代表格であるアイシェアーズ・チャイナ大型株ETF(ティッカーシンボル:FXI)になります。
アイシェアーズ・チャイナ大型株ETFの費用比率は0.74%、株価収益率は11.1倍、株価純資産倍率は1.3倍、配当利回りは2.4%です。
次に、メキシコに投資するETFとして、アイシェアーズMSCIメキシコ・キャップトETF(ティッカーシンボル:EWW)が挙げられます。
アイシェアーズMSCIメキシコ・キャップトETFの費用比率は0.49%、株価収益率は21.1倍、株価純資産倍率は2.2倍、配当利回りは1.5%です。
【今週のまとめ】
今週の米中トップ会談における
トランプ政権のスタンスは要チェック!
アメリカの投資家は、現在のようにドル安の局面では新興国に積極的に投資することで知られています。しかし、中国とメキシコに関してはトランプ政権の出方がわからなかったため、二の足を踏んできました。
しかし、今週の米中トップ会談でトランプ政権の柔軟な姿勢が確認されれば、これらの国が見直される可能性があります。
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