「成長株」に投資するコツを、成長株に精通するスゴ腕ファンドマネジャーが伝授!
ダイヤモンド・ザイでは、特集「5年で2倍上昇の成績を叩き出す! 最強投信に学ぶ 日本株入門」を掲載。この特集では、好成績で人気の投資信託を運用するファンドマネジャーに、「高配当株」「割安株」「成長株」「新興市場&IPO株」「低位株」という5ジャンルの日本株で、きっちり勝つためのコツを聞いている。
今回は、その中の「成長株」部門を抜粋して紹介。教えてくれたのは、「インベスコ・ニッポン新興成長株ファンド」のファンドマネジャーである、インベスコ・アセット・マネジメントの得能修さん。プロが成長株を見極めるときに注目するポイントを知って、成長株探しの目利きになろう!
今後数年の間、営業利益が20~30%で成長する会社に注目!
業績が成長していく会社を探し出し、株価の上昇を期待するのが、「成長株」投資だ。
「インベスコ・ニッポン新興成長株ファンド」や「いちよし・インベスコ中小型成長株オープン」の運用担当社であるインベスコ・アセット・マネジメントの得能修さんは、「成長株」の定義について、次のように語る。
「継続的に市場平均以上の利益成長を達成することが見込まれる会社を、成長株と位置づけています。注目しているのは、営業利益が20~30%で成長し続ける、と予想できる株です」(得能さん)
得能さんによると、成長株に必要な条件は2つあるという。
「1つは、展開するモノやサービスの潜在需要が大きいこと。たとえば、『任天堂(7974)』がファミコンを開発したとき、日本全国の小学生・中学生という大きな潜在需要があり、長期で業績が成長しました。また、ユニクロ(『ファーストリテイリング(9983)』)のフリースがヒットしたときも、5人に1人がフリースを買った場合の市場規模は大きく、成長が続いたのです。そして、成長株のもう一つの条件は、誰にも真似できない技術を持っているなど競争優位性があるか。この条件を兼ね揃えていると、強気の値付けができるからです」
営業利益率が10%以上の製造業は競争力が高い
潜在需要の大きさは、古いプレイヤーから新しいプレイヤーに取って代わる場合にわかりやすい。たとえば、ここ10年で旅行代理店で旅行パッケージを予約していた人が、ネット旅行会社を利用するようになった。ネット旅行会社は旅行代理店の市場を奪って成長を遂げることができ、その結果、今や既存の旅行市場の62%をネット旅行会社経由での予約が占めている。
「新しいサービスや技術が出てきたとき、誰が市場のルーザー(敗者)となるかを考えるとイメージしやすいと思います」(得能さん)
また、競争優位性があるかは、営業利益率で大まかに判断できる。これが高いと、ある程度強気の値付けができているということで、「業種により平均は違いますが、設備投資などが大きい製造業であれば、10%以上だと強いでしょう」(得能さん)。
成長が短期的であれば、株価の成長も長く続かないので、来年、再来年も利益が伸びているかが重要なポイントだ。さらに、一人よがりに成功している事業ではなく、社会の役に立ち、社会的に継続可能なビジネスかどうかも確認したい。
「株式市場はせっかちなので、2~3年先の成長を短期間で織り込むという特徴があります。予想PERやPBRが平均値より割高でも、成長性を織り込んでいる結果なので、あまり気にしません。ただ、投資家の期待や落胆で買われ過ぎたり、売られ過ぎることもあり、値動きが大きい点には注意です」(得能さん)
では、期待で買われ過ぎたり、売られ過ぎてしまう特徴がある成長株は、いつ買っていつ売ればいいのか。
注目度が低いときに買って、過熱感が大きければ一旦売却も!
景気好調時には安定した大型株が買われ、中小型の成長株は、景気悪化時に買われる傾向がある。
「いくら将来の成長性が高くても、PERが50倍以上になるなど、株価に明らかに過熱感があるときは買いタイミングではありません。市場からの注目度が低いときに買うのが鉄則です。成長株は、材料などが出て急に注目されて資金が流入し、株価が急上昇することもあるので要注意。値動きが大きいので、高値掴みをしてしまうと、大幅下落の憂き目に遭いかねません。また、買った後は、短期での値動きに一喜一憂せず、3~4年の長期スパンで取り組むことをおすすめします」(得能さん)
とはいえ、将来の利益成長以上に大きく上昇してしまった場合、欲張らずに一旦は利益確定するのも手だ。長期で成長が続くのであれば、株価が落ち着いた後に、再び買い直せばいいからだ。
「また、買うときの理由となった利益の成長シナリオが崩れたり、競争優位性がなくなった場合は、いつまでも保有せず潔く売ること。会社予想の上方修正など、いい材料が出ても、株価が上がらなくなったら一旦利食いを考えてもいいです」(得能さん)
以下は、「朝日インテック(7747)」の値動きを表すチャート。営業利益率が高いわりに注目度が低い時期に買って、割高感が出たときに売れば、高値掴みをすることなく成長の波に乗れることがよくわかる。
最強投信の上位組入銘柄から、注目の2銘柄を紹介!
なお、成長株を投資対象とする主要な投資信託の上位組入銘柄は、以下のとおり(※投資信託の組み入れ銘柄上位は2月末~3月末時点のもので、運用レポートから抜粋)。
得能さんが運用する「インベスコ・ニッポン新興成長株ファンド」の組み入れ銘柄1位は、「ペプチドリーム(4587)」。製薬会社のサポートをする会社で、独自技術の「特殊ペプチド」で安く効率よく薬を開発でき、海外の製薬会社とも契約し潜在需要は大きい。2位の「トプコン(7732)」は、建設機械に搭載する位置情報を測る機械を開発しており、これまで労働者が担っていた部分に置き換えていくため、成長性が高い。
もちろん、この2銘柄も注目だが、そのほかに注目したい2つの銘柄を、マーケットコメンテーターの岡村友哉さんに教えてもらった(※銘柄のデータは4月5日現在)。
まずは、「インベスコ・ニッポン新興成長株ファンド」の組入銘柄でもある「フェローテックHD(6890)」だ。アップルの新型スマホにも採用される予定の有機ELパネル。この製造工程において使用される「真空シール」 の需要が伸び盛りだ。 2018年3月期も3割増益が有望。
続いては、「夢の街創造委員会(2484)」。上場から10年が経過したタイミングで「出前館」が開花した。加盟店は1万4000店を超え、目下、営業職の採用を強化中。LINEとの資本業務提携で、更なる業績拡大も見込まれる。
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