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定年後の継続雇用で得する給付金制度の裏ワザとは?「高年齢雇用継続給付金」など3つの給付金の活用で60~64歳の5年間で受け取るお金に350万円も差が!

2017年8月8日公開(2022年3月29日更新)
ザイ編集部
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60歳からの働き方で、もらえるお金が百万円単位で変わってくる!? 50代のうちに知っておきたい、定年後5年間で得するための制度と裏ワザを紹介!

ダイヤモンド・ザイでは、特集「定年後の5年間でトクするための制度と裏ワザ!」で、定年後にもらえるお金や、お得な制度について紹介している。60歳以降も働く人が増えているが、実は無理をして長時間働くよりも、自分に合ったペースで給付金を受け取りながら働いたほうが、手元に入ってくるお金が多くなることも多い。

この点を知らない人は多いにもかかわらず、役所も会社もきちんと教えてくれないので、定年前までに自分でリサーチすることが重要だ。ここでは、特集の一部を抜粋し、定年後の5年間にもらえるお金の違いについて、2人の男性を例に挙げながら紹介していこう!

60歳以降の月給が25万円のA男と35万円のB男、
受け取れるお金が多いのはどっち!?

 年金生活になって生活費に困窮する、「老後破綻」が話題だ。その回避策の一つが、60歳で定年を迎えた後も、勤めていた会社で働き続ける継続雇用。実際、2015年6月までの1年間に定年を迎えた人の約83%が、継続雇用で仕事を続けている。

 ただし、60歳以降で仕事を続けると、年齢や給料の額によって、給付金がもらえたりもらえなかったり、逆にもらえるはずの年金を削減されたりなど、様々な制度の落とし穴がある。

 そこで、下の図を見てみてほしい。これは、1957年4月20日生まれの営業マンA男さんとB男さんの継続雇用後5年間の年収を示したものだ。

 2人とも定年前の月給は50万円。しかし、定年後、A男は営業補助で残業もない月給26万円の働き方を、B男はノルマがあり、場合によっては残業も辞さない月給35万円の働き方を選んだ。

 月給に約10万円の差がある2人だが、実は60歳から62歳の手取りは、A男が約24万9000円に対し、B男は約27万3400円と、さほど差がない。年金がもらえる63歳以降は、A男が29万6200円なのに対し、B男は29万1400円と、手取り額が逆転してしまう。

 これは、A男のほうが60歳から65歳に適用される社会保険制度を上手に利用した結果だ。給料以外にもらえる給付金などのお金は、A男のほうが5年間で約350万円近く多いのだ。

 A男が社会保険からもらうお金には、大きく3つの制度がある。以下のとおりだ。

(1)高年齢雇用継続給付金
(2)在職老齢年金
(3)失業給付

 「高年齢雇用継続給付金」は、定年前に比べ給料が下がった場合に、雇用保険から補填の目的で給付されるお金。「在職老齢年金」は、65歳に年金がフル受給される前にもらえるお金。「失業給付」は、雇用継続を終了した際に申請する給付金だ。

 どれも60~64歳の時期にしか適用されない条件があり、定年前にこれらの制度を熟知しているかどうかで、60歳代前半の働き方が変わってきてしまうのだ。ダイヤモンド・ザイでは、3つの制度の基礎知識や、受け取る際の注意点、活用したい裏ワザなどを紹介しているが、ここではそのなかの一つ、「高年齢雇用継続給付金」に関する内容を抜粋したい。

給料の大幅ダウンはかえってお得なことも! 
給料を61%未満にして「高年齢雇用継続給付金」をフルで受給!

 2013年4月に「高年齢雇用安定法」が改正施行され、希望者全員が65歳まで継続雇用を受けられることとなった。ただし、継続雇用の場合、定年前に比べて給料が大幅にダウンするのが通常。月給が半額になることもよく聞く話だ。

 こうした給料のダウンを補填するため、雇用保険には60歳から64歳を対象にした「高年齢雇用継続給付」という制度がある。これは、「現役時代の月給に比べて75%未満」にダウンした場合に、再雇用後の月給の最大15%がもらえるという仕組みだ。

 再びA男とB男の例を見ると、A男は月3万9000円を受給できるのに、B男は1銭も受給できない。B男の場合、50万円が35万円に下がり、単純に計算すると月給は70%にダウンしているので「現役時代の月給に比べて75%未満」という「高年齢雇用継続給付金」の受給条件を満たしているように見える。

 しかし、ここに落とし穴がある。計算上、現役時代の月給の上限が44万5800円というルールがあり、B男のダウン率は78%と計算されてしまう。つまり、「75%未満にダウン」という条件をクリアしておらず、受給0円となってしまうのだ。

 さらにチェックすべきなのは、75%未満にダウンする場合でも、一律で新月給の15%がもらえるわけではないという点。新月給が以前と比較して61%未満に減った場合は、その15%相当額が毎月支給される。しかし、61%を超えると徐々に支給率の割合が小さくなり、75%以上で支給されなくなる。

 A男は44万5800円という上限額と比べても、58%にダウンしており、十分条件を満たしている。26万円の月給の15%にあたる3万9000円をフル受給できるのだ。

縦横のクロスの数字が「高年齢雇用継続給付金」の支給額。赤枠は定年前の月給から換算して最も多い給付。そこから横にたどると、定年後のオトクな月給がわかる。
拡大画像表示

 また、「高年齢雇用継続給付金」は非課税な点も見逃せない。そのため、A男は月給26万円の手取り額約21万円に、給付金の3万9000円がまるまる上乗せされ、約25万円を受け取れる。定年前は月給50万円から課税され、手取りは約36万5000円だったが、定年後は月給がその約半分になっても、手取りは約10万円しか下がらないのだ。

 以上をまとめると、「高年齢雇用継続給付金」をもらえる人・もらえない人は以下のとおり。

<こんな人がもらえる>
□ 退職時に5年以上雇用保険に加入している人
□ 雇用継続後も雇用保険に加入し続けている人
□ 月給が退職時から75%未満になっている人(上限44万5800円の75%未満の人)

<こんな人がもらえない>
□ 役員だった人(雇用保険に加入していないから)
□ 雇用継続後の勤務が週2~3日などで、1週間20時間未満の人(雇用保険非加入になる)
□ 雇用継続後の月給が33万9560円以上の人

 継続雇用後の月給が、退職時の月給から75%未満になっていない人に加え、そもそも雇用保険に加入していない人、雇用継続後に雇用保険非加入になる人などは「高年齢雇用継続給付金」をもらえないので、注意しよう。

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