ナスダックの独歩高の理由は
約6割を占めるITセクター
ナスダック総合指数が、年初来+9.4%と好調です。ちなみにS&P500指数は+2.3%、ダウ工業株価平均指数(NYダウ)は-0.3%ですから、ナスダック総合指数だけ抜きん出てパフォーマンスが良いことがわかります。
ナスダック総合指数チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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S&P500指数チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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ダウ工業株価平均指数(NYダウ)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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なぜ、ナスダック総合指数は独歩高しているのでしょうか? その理由は、IT(情報技術)セクターにあります。
ITセクターはナスダック総合指数の約6割を占めています。具体的には、以下のような銘柄になります。
○アップル(ティッカーシンボル:AAPL)
○アマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)
○マイクロソフト(ティッカーシンボル:MSFT)
○アルファベット(ティッカーシンボル:GOOG)
○フェイスブック(ティッカーシンボル:FB)
○インテル(ティッカーシンボル:INTC)
○シスコ・システムズ(ティッカーシンボル:CSCO)
○ネットフリックス(ティッカーシンボル:NFLX)
○エヌビディア(ティッカーシンボル:NVDA)
そのITセクターですが、足下の業績は極めて好調です。下は、先に発表された2018年第1四半期の1株当たり利益(EPS)がアナリストの予想からどれだけ上振れしたかを示したものです。
ITセクターが+12%と、他をリードしていることがわかります。つまり、ナスダック総合指数のパフォーマンスが良かったのはITセクターの決算が良かったことが原因なのです。
今後の予想ですが、ITセクターの今年の売上高成長率は+11.9%、EPS成長率は+17.2%が見込まれています。向こう12カ月のEPSに基づいた株価収益率(PER)は、18.4倍となっています。
保有している大型IT株は
焦って利益確定せずキープするするのが吉
上に列挙したナスダックの大型IT株は、いずれも過去最高値の近辺で取引されています。つまり「相場の回転が効いている」のです。これは、短期売買で勝ちやすいパターンだと言えます。
したがって、もし皆さんがこれらの銘柄をすでに保有しているのであれば、慌てて売らないでください。なぜなら過去最高値を更新すると売り物が減って株価が面白いように騰がることが多々あるからです。
最近IPOした小型IT株には
有望銘柄が目白押し!
それらのハイテク大型株がコアであることは当然として、新たに注目して頂きたい銘柄群があります。それは、最近新規公開(IPO)された小型IT株です。
なぜそれらの若い企業に注目するかというと、ここ数カ月にIPOされたそれらのIT株には有望な銘柄が目白押しだからです。以下にそれらを紹介します。
【ズオラ】
サブスクリプション・モデルの課金事務を代行
ズオラ(ティッカーシンボル:ZUO)は、サブスクリプション(定期購読・購入)・モデルの採用を検討している企業に対し、クラウドを通じて課金事務を代行する企業です。
サブスクリプションというのはイメージしにくいかもしれませんが、毎月料金を支払うことでサービスのアクセス権を得ることを指します。
たとえば、ネットフリックス(ティッカーシンボル:NFLX)なら、毎月定額を払うことで見たい放題、映画やTVドラマを楽しむことが出来ます。同様に、スポティファイ(ティッカーシンボル:SPOT)では毎月定額を払うことで、聞きたい放題、音楽を楽しむことが出来ます。
新聞、雑誌などの紙メディアも、いまウェブでの閲覧・課金モデルにシフトしているところが多いです。さらに最近では、オンラインサロンのような新しいビジネス形態もサブスクリプション・モデルを採用しています。
ズオラは、セールスフォース(ティッカーシンボル:CRM)の幹部が独立して始めた会社であり、経験豊かなメンバーで固められています。
先週発表された第1四半期(4月期)決算は、EPSが予想-40セントに対し-32セント、売上高は予想4897万ドルに対し5170万ドル、売上高成長率は前年同期比+60.1%でした。IPO後初の決算発表を無難に乗り切ったことで、先週金曜日は+19%の急騰を演じています。
ズオラ(ZUO)チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【ズィー・スケーラー】
クラウド上でインターネット・セキュリティーを提供
ズィー・スケーラー(ティッカーシンボル:ZS)は、インターネット・セキュリティーの会社です。同社はクラウドを通じてインターネット・セキュリティーをSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)として提供します。
かつて企業は、日常の業務で使うエンタープライズ・ソフトウェア(業務システム)を社内でホストしていました。しかし最近では、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のような外部業者を使う企業が増えています。それに応じてインターネット・セキュリティーもクラウドに移した方が良くなっています。同社はそのようなニーズに応えているのです。
ズィー・スケーラーは、IPOして間もなく最高執行責任者(COO)が辞めました。普通、IPO後は同じ経営陣が最低3年間くらい続けるのが暗黙の了解となっていることから「何か悪い材料があるのでは?」と投資家を不安にさせています。
ズィー・スケーラーは6月6日に決算発表する予定で、コンセンサスEPS予想は-8セント、売上高予想は4598万ドルです。COOが突然辞めたという経緯もあることから、まずIPO後初の決算がちゃんと市場予想を上回ったことを確認した上で出動したいと思います。
ズィー・スケーラー(ZS)チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【カーボン・ブラック】
ビッグデータの圧縮技術に強みを持つ
インターネット・セキュリティー会社
カーボン・ブラック(ティッカーシンボル:CBLK)も同じくインターネット・セキュリティーの会社です。同社の場合、まるで監視カメラのように全てのアクセスを常時モニターする手法でハッカーの動きを把握する手法を取り入れています。
それを実現するためには膨大なアクセス・データを効率的に圧縮し、クラウドにどんどんフィードバックすることが必要になります。そのようなビッグデータの圧縮技術が同社のサービスをユニークなものにしています。
カーボン・ブラックは6月7日に決算発表する予定です。IPOされて未だ日が浅いので、アナリスト予想は出揃っていません。
カーボン・ブラック(CBLK)チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【ピボタル・ソフトウェア】
ソフトウェアの開発プラットフォームを提供
ピボタル・ソフトウェア(ティッカーシンボル:PVTL)は、ソフトウェア開発を合理化するためのプラットフォームを、クラウドを通じて提供している企業です。言い換えれば、「ソフトウェア・エンジニアが作業するためのソフトウェア」を提供していると考えれば良いでしょう。
ソフトウェアの開発サイクルが短くなりアップデートの回数が増えてくると、従来のやり方では更新が間に合わなくなります。そこで同社はソフトウェア開発のためのプラットフォームそのものをクラウドに置き、開発をモジュール化することでイテレーション(反復)をやりやすくしています。
ピボタル・ソフトウェアの決算発表は、6月12日でコンセンサスEPS予想は-13セント、売上高は1.4億ドルが予想されています。
ピボタル・ソフトウェア(PVTL)チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【今週のまとめ】
大型IT株に加え、最近IPOしたIT企業が狙い目!
ただしIPO後初の決算発表には要注意
ナスダック総合指数は年初来パフォーマンスで世界の主要株価指数をリードしています。そのけん引役を果たしているのは大型IT株です。
いまそれらの銘柄は調子がすこぶる良いわけですから、慌てて利喰う必要はありません。できるだけ粘ることです。
それらの銘柄群に加えて注目して欲しいグループに最近IPOしたばかりの若いIT株のグループがあります。ここは有望な銘柄が目白押しです。
ただ、IPO後初の決算発表はズッコケが出やすいので、決算発表前に先回りするのではなく、無事最初の決算をちゃんと出した後に出動してください。
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