リストラの嵐が吹き荒れているソニー(6758)の次の一手が市場で注目されている。シャープは台湾の鴻海グループに第三者割当増資を行って、筆頭株主になってもらうことで苦境の打開を図りつつある。ソニーはどうするのか。
シャープはいくつかの事業ドメインを有するものの、「液晶の会社」という分かりやすい業容の会社である。一方のソニーは、電機、金融、ゲーム、映画、音楽と経営内容が非常に多岐にわたる多角化企業であり、ソニー本体の資本提携先を見つけることはシャープほどには簡単ではないだろう。
この15年でほとんど事業領域の拡大はしてない
一番の問題は赤字続きのテレビ事業だが、これをこれまで同様に抱え続けることは厳しくなりつつある。縮小・撤退の方向で動くのか、中国や台湾などの企業に売却するのか。いずれにせよある程度の痛みを伴うリストラが必要となるだろう。
しかし、ソニーはこれまでリストラとはほとんど無縁の企業である。むしろ、これまで買収や新規事業の設立を繰り返すことで事業領域と企業規模を拡大してきた。下図は過去30年間の同社の時価総額推移と主な事業拡大に関するイベントである。

2000年前後のネットバブル期につけた10兆円を超す時価総額はやや異常であったとしても、90年代後半からの10年程度は時価総額が5兆円前後で推移していた。
しかし、その間に同社が事業領域を拡大したのはソニー銀行の設立ぐらいであり、経営戦略的に行なった大きなことは、経営難に陥っていたAV機器メーカーのアイワや、一度は株式公開をさせていたソニーミュージックやソニーコンピュータの完全子会社化などである。完全子会社化は事業領域の拡大というよりは、事業の取り戻しである。
このように90年代後半からのソニーは、90年代半ばまでの事業領域拡大の勢いがややストップしてしまった。それでも、おそらくソニーのDNAには事業領域の拡大は深く刻み込まれているはずであり、事業領域の縮小を行うことは同社にとっては相当な決断になるであろう。ただ、株価は日に日に下げており、株式市場は事業の選別を行うことを期待している。
ソニーの電機事業の価値は3000億円!?
多角化経営をしている企業の株価はディスカウントされるというのはよく聞くことである。いわゆる企業全体の価値<個別企業の価値の総和となるコングロマリットディスカウントだ。
このコングロマリットディスカウントが本当に存在するかどうかは議論の余地があるが、ソニーの場合はどうか見てみよう。
下図はソニーの現在の上場子会社の様子である。パーセント数値は株式の保有割合、金額は現時点での時価総額である。ソニー本体が有するソニーフィナンシャルHD(8729)の時価(5885億円×60%=3531億円)とソネットエンタテインメント(3789)の時価(828億円×58.2%=482億円)を合わせると4013億円である。したがって、ソニーのそれら以外の価値は1兆1337億円となる。

また、上場はしていないが、切り売りしやすいという意味では映画や音楽もその対象となりえる。この二つの事業は直近2年間の営業利益がそれぞれ400億円程度(合計800億円程度)で推移している。この水準が続くと仮定し、事業価値を営業利益の10倍とすれば、これら2つの事業で約8000億円程度の価値となる。
そうなると、ソニーの他の事業、すなわち、テレビをはじめとする電機事業等(おそらくこれらがソニーにとっての本業となる)については1兆1000億円-8000億円=3000億円強の価値ということになる。
この3000億円を高いと見るか安いと見るかは、日産自動車のゴーン社長のようなリストラと事業再生ができる人物が登場するか、あるいは、ソニーを買収したいと思うような企業にとって「ソニーブランド」がどこまで価値を維持しうるのかというあたりにかかってくる。今の時点では明らかにコングロマリットディスカウントが存在するとは言い切れなさそうである。
ソネットを買収すると100億円以上のお釣りがくる
ソニーの上場子会社の上図であるが、ひとつ興味深いのはソネットが保有するエムスリー(2413)の株式である。エムスリーの時価は1686億円。ソネットは56.4%=950億円の株を保有している。つまり、ソネットの時価総額(828億円)よりも高い。ソネットを買収すれば単純に100億円以上のお釣りがくる状況である。
数千億円規模の赤字を計上するソニー本体にとって、ソネット株式を売却したところで得られる現金は十分ではないだろう。また、ソネットはソニーフィナンシャルHDに比べるとソニー本体との関連性やつながりも存在するため、事業面から見た場合はソネット株式を売却するぐらいならソニーフィナンシャルHDの株を売るべきだという議論にもなる。
ただ、一般投資家の観点からしてみると、今のソニーのようにリストラの必要性が高まっている中では、ソネットとエムスリーのような親子の時価総額の逆転現象は投資ネタとしては非常に興味深い。これが何らか解消される可能性(ソネットが売却される、エムスリーが売却される)に投資をしてみるのは一案である。
子会社への投資リスクは子会社化による株式交換
また、以前からソニーフィナンシャルHDに関しては、本業との関連が薄いため、売却の可能性が常に議論および検討されてきた。一時は、外資金融機関に対して売却寸前まで交渉が進んでいたという話もある。
もっとも、最近はかつてに比べると円高傾向であるため、外資金融機関がソニーフィナンシャルHDを買収するハードルは上がっていること、そして、時価総額が大きいため買い手候補となる企業は限られていることなどから、本当に売却をしようとしてもすぐには決まらない可能性もある。ただ、それでも、わかりやすさの観点で行くと、売却候補であることには変わりない。
他社に売却をする場合は当然ながら買収プレミアムが付される。ソニーフィナンシャル、ソネット、エムスリーのどれが売却されても株価よりは高い値段で売却されるであろうから、これら株式を仕込んでおくのはひとつの策である。
ただ、ひとつだけ懸念があるとすれば、ソニーがこれら上場子会社を株式交換で100%子会社化し、それら子会社の収益で本業の赤字を賄おうとすることである。その場合は、それら上場子会社の株主は買収プレミアムを受け取るどころか、あまり欲しくなかったソニー本体の株式と交換されてしまう。この点に対して一応の覚悟ができるなら、ソニー関連株は検討に値しそうである。
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