「お宝銘柄」発掘術!

「自社株買い」を発表し、株価が上昇しそうな銘柄を探せ! 「コーポレートガバナンス・コード」改定でGWの10連休明けに「自社株買い」の発表が相次ぐ!?

2019年4月10日公開(2022年3月29日更新)
村瀬 智一
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「自社株買い」を発表した企業の株価は上昇する傾向あり!

 今回は「自社株買い」に焦点をおいて銘柄選びを行いました。

 自社株買いとは、企業が発行した株式をその企業が市場の時価で買い戻すことです。自社株買いを発表した企業の株価は、これを評価材料として資金が流入し、高いパフォーマンスにつながる傾向にあります

 企業は、買い戻した自社株を「株式消却」することで、発行済み株式数を減らすことができます。その結果、1株当たりの利益やROE(自己資本利益率)などの財務指標を改善させることになり、経営指標を良くすることができるのです。一方、投資家にとっても、発行済み株式数が減ることで1株当たりの配当金の増加などが期待できるので、株主還元の一つとなります。

「コーポレートガバナンス・コード」の改定により、
最近は企業の「自社株買い」が増加中!

 最近、この「自社株買い」を実施する企業が増えてきています。その背景には、上場企業の「コーポレートガバナンス・コード」が改定されたことが影響しています。

 そもそも「コーポレートガバナンス」とは、「会社が、株主をはじめ顧客、従業員、地域社会などの立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み」を意味します。そして「コーポレートガバナンス・コード」とは、企業が「コーポレートガバナンス」を守るための「原則」として、東京証券取引所が定めたルールです。

 2018年6月、東京正面取引所が「コーポレートガバナンス・コード」を改定したことで、上場企業の株主への利益還元を手厚くする姿勢が強まりました。これにより、従来は一般的だった「安定配当」を止め、利益の一定割合を配当に充てる「業績連動型配当」を採用する企業が増えています。

 また、経営目標として「ROEの向上」を目指す動きも強まっています。実際、「株主から調達した資金をいかに効率よく用いて利益を上げているか」を計る指標であるROEへの株主の関心は高いとみられます。

 足元で2月決算企業の決算発表がピークを迎えていますが、大型連休前の4月第4週(4月22~26日)には3月決算企業の決算発表が本格化します。4月26日には260社超と第一弾のピークを迎え、さらに、連休明け5月2週(5月6日~10日)には約1100社もの決算発表が予定されています。

 自社株買いが増えている最近の流れを考えると、このゴールデンウィーク開けの決算発表のタイミングで、いくつかの企業が「自社株買い」を発表する可能性がありそうです

自己資本比率とROE、自己資本比率、
さらに過去の「自社株買い」の実績の有無で銘柄を抽出!

 それでは、3月期決算企業の中で、自社株買いの実施が予想される銘柄を探りたいと思います。抽出方法として、以下の条件でスクリーニングしました。

【自社株買いが期待できる3月決算企業を探し出す条件】
(1)3月決算企業
(2)自己資本利率が50%以上
(3)実績ROE8%以上
(4)時価総額は500憶円以上、1兆円以下
(5)過去に「自社株買い」を実施

(2)の自己資本利率は、一般的に40%以上であれば倒産しにくいといわれており、以下の式で計算されます。

自己資本比率
=自己資本÷総資本
=自己資本÷(自己資本+他人資本)

(3)のROEについては、「8%以上であることが望ましい」というコンセンサスを採用しました。これは、2014年8月に経済産業省から公表された「『持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~』プロジェクト」の最終報告書(通称:伊藤レポート)に書かれている、「最低限8%を上回るROEを達成することに各企業はコミットすべきである」という部分が基準となっています。

(4)の時価総額は、あまり規模が小さい企業では個人主体の売買が中心となって方向性が定まりづらいことから「500億円以上」としました。一方で、規模が大き過ぎる企業は株価の反応が鈍いと判断して「1兆円以下」としています。

(5)は、過去に自社株買いを実施している企業のほうが、実施していない企業と比べて、自社株買いの可能性が高いと考えたからです。

 これらの条件によりピックアップされたのが、以下の銘柄です。

■ゴールデンウィーク明けに「自社株買い」発表が期待できる銘柄

銘柄名(コード) 時価総額
(億円)
自己資本比率
(%)
実績ROE
(%)
最新株価
ソフトバンク・テクノロジー
(4726)
509 54.0 11.8
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アドヴァン
(7463)
551 77.3 11.6
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ソースネクスト
(4344)
622 74.3 21.4
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じげん
(3679)
631 66.8 24.1
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WDBホールディングス
(2475)
633 70.9 26.8
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ゲオホールディングス
(2681)
659 53.4 9.2
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ドウシシャ
(7483)
672 76.5 8.8
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ミロク情報サービス
(9928)
997 61.3 18.5
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デジタルアーツ
(2326)
1,302 76.7 22.5
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サカイ引越センター
(9039)
1,456 73.5 14.1
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エレコム
(6750)
1,500 58.6 23.0
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ミライト・ホールディングス
(1417)
1,771 61.9 8.8
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JCRファーマ
(4552)
2,010 71.8 11.3
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コーエーテクモホールディングス
(3635)
2,654 92.1 11.7
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太陽誘電
(6976)
3,176 61.2 10.1
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第一興商
(7458)
3,217 70.0 10.9 
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カプコン
(9697)
3,293 74.1 13.4
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サンドラッグ
(9989)
3,560 64.5 17.1
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協和エクシオ
(1951)
3,658 72.4 10.8
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アズビル
(6845)
3,958 67.6 10.5
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カカクコム
(2371)
4,538 80.4 45.7
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セイコーエプソン
(6724)
7,098 50.8 8.3
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株価上昇が期待できる「自社株買い」銘柄を
今のうちからチェックしておこう!

 GWの10連休が終わると、すぐに3月決算企業の決算発表がピークを迎えます。市場の関心は決算に集中しますが、決算内容が思わしくない企業については、株価対策などの観点から「自社株買い」を発表してくる可能性は十分にありそうです。

 前例をみても、「自社株買い」を発表した銘柄の株価は上昇しやすいので、参考銘柄としてチェックしておくといいでしょう。

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