「お宝銘柄」発掘術!

不安定な相場環境だからこそ、割安に放置されている優良銘柄を探せ! ROEや年初来高値からの下落率、営業利益伸び率などで、成長銘柄をスクリーニング!

2019年5月29日公開(2022年3月29日更新)
村瀬 智一
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G20や参院選を控え、日本市場は、
底堅いながらも方向感のない相場展開が継続

 “令和相場”がスタートしてからずっと調整が続いていた日経平均株価は、2万1000円での底堅さが意識されつつも、足元ではこう着感の強い相場展開を続けています。

 5月27日(月)の東証1部の売買代金は、米国の3連休の影響があったとはいえ、5営業日ぶりに2兆円を下回り、今年最低の数字となりました。28日(火)は底堅い動きをみせていましたが、積極的には上値を買いづらい状況でしょう。

 懸念要因である米中貿易摩擦については、6月下旬に開催予定の主要20カ国・地域(G20)首脳会議で米中首脳会談を予定していることから、それまでは大きな進展をみせてくることは考えづらい状況です。

 また、日米の貿易交渉に関しても、トランプ大統領の「Much will wait until after their July elections where I anticipate big numbers!(7月の選挙後に、大きな数字を期待している)」というツイッター発言から、参院選通過までは合意締結はないでしょう。

 さらに、イギリスのメイ首相が6月7日に与党・保守党の党首を辞任する考えを表明したことで、英政治が混沌とするのは避けられない情勢にあることから、欧州情勢についても買い控えムードになっています。

 こうした状況から、大きく方向感が出てくるのは6月に入ってからと予想されますので、底堅さが意識される中でも積極的な売買は手控えられます。上にも行けない需給状況となるため、消化不良の相場展開が継続することになりそうです

VIX先物におけるショートポジションの増加も、
積極的な売買を減少させる要因に!

 また、VIX先物のショート(売り)ポジションが再び積み上がってきています。ショートポジションの解消は株式市場の下落要因になるとの見方から、これも積極的な物色を手控えさせる一因になりそうです。

 VIX指数とは、ボラティリティ(株価変動率)指数であり、株安予想が増えるとVIX指数は上昇し、株高予想が増えると下落する傾向があります。つまり、VIX先物の売りが増えているということは、将来的な株高予想が増えていることを意味します。

 しかし、ポジションが大きく傾くと、その反動も警戒されます。何らかのきっかけでVIX指数が上昇した場合、海外ファンドなどは大きく積み上がったショートポジションの買い戻しを迫られることになり、これが株安につながると警戒されるのです。

 さらに、売買動向を見ると、外部環境の影響を受けづらいディフェンシブ色の強い銘柄のほか、需給面での重石が限られている直近IPO銘柄、さらに短期資金が集中しやすい新興市場のバイオ株などに短期資金が日替わり的に集中する状況がみられます。

不安定な相場環境だからこそ、
割安に放置されている優良銘柄を拾うチャンス!

 こういった不安定な状況の中では勢いのある銘柄を探すのは難しいのですが、逆の見方をすれば、割安に放置されている銘柄も多いと言えます。今回はそういった銘柄に注目してみました。

 タイトルを付けるのであれば「不安定な相場環境の中で、割安な成長銘柄を探る」といったところでしょうか。

 とはいえ、株価の推移だけで判断するのは禁物ですので、今回は業績などを考慮した銘柄スクリーニングを行ってみました。具体的なスクリーニング条件は、以下の通りです。

(1)実績ROE(自己資本利益率)が8%以上
(2)今期営業利益伸び率が2ケタ成長
(3)時価総額が250億円以上
(4)年初来高値からの下落率が10%以上
(5)実績PBR(純資産倍率)が2倍以下

 ROEは、以前の記事でも書きましたが、「企業が自己資本をどれだけ有効に活用して利益を上げているか」を示す指標であり、自己資本に対する「経営の効率性」を示しています。機関投資家は、企業に対してはROEが最低限8%を上回る水準を求めています。
【※ROEについて解説している関連記事はこちら!】
⇒「自社株買い」を発表し、株価が上昇しそうな銘柄を探せ! 「コーポレートガバナンス・コード」改定でGWの10連休明けに「自社株買い」の発表が相次ぐ!?

 業績面については、今期営業利益伸び率が2ケタ成長を条件にしました。時価総額を250億円以上としたのは、先日、情報漏洩もありましたが、東証が進める市場再編によって、現時点で東証1部維持が見込まれる基準が「時価総額250億円以上」だからです
【※東証の市場再編に関する関連記事はこちら!】
⇒「東証1部の上場基準見直し」で注目度が高まる銘柄はコレだ!「1部昇格」や「1部維持」を目指す銘柄を、時価総額やROEなどによるスクリーニングで探そう!

 さらに、年初来高値からの下落率の大きさの基準として「10%以上」としました。

 最後に、株の割安さを測る上で実績PBRを考慮していますが、「PER1.0倍以下」にすると条件に見合う銘柄数が限られてしましましたので、今回は「PER2倍以下」にしました。

 今回のスクリーニングによって発掘できたので、以下の銘柄です。

■不安定な相場環境により“割安”になった成長銘柄

(2019年5月27日時点)
銘柄名
(コード)
時価総額
(億円)
年初来高値比騰落率(%) 実績PBR
(倍)
営業利益伸び率予想(%) 実績ROE
(%)
最新株価
芙蓉総合リース(8424) 1626 -12.7 0.61 10.5 10.1
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コスモエネルギーホールディングス(5021) 1831 -20.5 0.64 15.2 20.4
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三井製糖(2109) 686 -20.5 0.74 36.3 8.2
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関電工(1942) 1831 -16.9 0.76 10.0 8.5
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ベルーナ(9997) 781 -25.2 0.77 16.6 10.8
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トーセイ(8923) 441 -16.6 0.82 10.8 14.0
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三井化学(4183) 4871 -19.6 0.84 12.4 14.3
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SECカーボン(5304) 374 -24.5 0.85 17.0 31.5
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ユアサ商事(8074) 690 -14.1 0.85 11.8 12.2
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銘柄名
(コード)
時価総額
(億円)
年初来高値比騰落率(%) 実績PBR
(倍)
営業利益伸び率予想(%) 実績ROE
(%)
最新株価
コジマ(7513) 395 -26.3 0.88 48.3 8.4
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オカムラ(7994) 1224 -25.3 0.92 12.7 8.0
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第一工業製薬(4461) 309 -24.8 0.93 17.5 8.4
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オリエントコーポレーション(8585) 1976 -16.1 0.96 13.8 11.2
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イオンモール(8905) 3733 -13.4 0.97 17.0 8.9
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出光興産(5019) 9269 -28.3 1.06 22.7 9.5
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TDK(6762) 9642 -25.6 1.07 11.3 9.7
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学研ホールディングス(9470) 488 -25.0 1.09 15.0 8.1
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デンカ(4061) 2825 -10.8 1.12 11.0 10.3
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銘柄名
(コード)
時価総額
(億円)
年初来高値比騰落率(%) 実績PBR
(倍)
営業利益伸び率予想(%) 実績ROE
(%)
最新株価
日本カーボン(5302) 476 -30.1 1.13 20.1 31.8
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トクヤマ(4043) 1758 -14.7 1.14 10.6 24.6
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ニチハ(7943) 1095 -11.5 1.23 14.0 11.8
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日本水産(1332) 2084 -22.7 1.41 10.7 10.8
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富士通ゼネラル(6755) 1650 -11.9 1.44 20.0 8.3
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ヒューリック(3003) 5908 -19.4 1.46 12.5 12.8
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マルハニチロ(1333) 1859 -13.6 1.48 17.2 13.9
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ツバキ・ナカシマ(6464) 708 -21.4 1.53 17.7 15.2
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日特エンジニアリング(6145) 471 -15.0 1.67 10.4 10.5
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銘柄名
(コード)
時価総額
(億円)
年初来高値比騰落率(%) 実績PBR
(倍)
営業利益伸び率予想(%) 実績ROE
(%)
最新株価
東芝テック(6588) 1605 -18.1 1.68 11.2 12.9
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イオンディライト(9787) 1779 -24.6 1.69 10.0 11.0
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ジャパンインベストメントアドバイザー(7172) 578 -57.0 1.76 36.5 22.2
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ダイセキ(9793) 1158 -12.7 1.77 10.9 9.7
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三菱ロジスネクスト(7105) 849 -27.2 1.78 14.0 11.2
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ナブテスコ(6268) 3346 -26.0 1.85 37.1 12.1
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大日本住友製薬(4506) 9406 -39.2 1.88 19.2 10.2
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横河電機(6841) 5711 -10.7 1.95 15.6 10.1
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日置電機(6866) 497 -30.2 1.98 16.2 11.8
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 資本市場は、しばらくの間、こう着感の強い相場展開が続きそうです。薄商いの中で報道などにも影響されやすい状況ですが、大きな方向感が出てくるのは様々なイベント通過後でしょう。

 こういった状況の中では、株価だけではなく業績などを考量した割安銘柄を、やや中長期スタンスで拾ってみるもの良さそうです。

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