今ひとつ盛り上がりに欠けているところもありますが、来たる7月21日、参議院選挙の投開票が行われます。
7月4日の公示後、最初の週末に各メディアが一斉に実施した全国情勢調査によると、自民・公明の与党で改選議席の半数を超える見通しと伝えられています。選挙戦の中盤から終盤にかけて情勢が変化する可能性はあるものの、与党勝利を意識した上で、自民党の政策への期待が次第に高まってくることが考えられます。
そこで今回は、自民党の参院選公約から投資テーマを探してみました。
自民党の「参議院選挙公約」には、
有力な投資テーマが眠っている!
自民党のホームページに行けば、「令和元年 参議院選挙公約」を読むことができます。主なところでは、以下のような内容が書かれています。
・日米同盟をより強固にし、ゆるぎない防衛力を整備する【外交】
・領土・領海・領空を断固守る【安全保障】
・デフレ脱却、国内総生産(GDP)600兆円経済を実現する【経済再生・成長戦略】
・人手不足の解消に向け生産性向上などの【中小企業】
その他にも、「財政・税制」「女性活躍」「社会保障・子育て」「地方創生」「農林水産業」「社会資本整備」「防災・減災、国土強靱化」「観光」「憲法」などの項目に関して公約が挙げられています。
例えば「地方創生」では、「IoT」や「AI」「5G」などの先端技術を活用して地域の抱えるさまざまな課題の解決を目指す、としています。また、「農林水産業」では、スマート農業を推進し、「ロボット」「AI」などの導入を加速するとのことです。さらに「観光」では、訪日外国人旅行者数の増加を図るほか、「日本型IR(統合型リゾート)」をつくり上げるとしています。
これらの公約からは、「IoT」「AI」「5G」「カジノ関連」といった投資テーマを考えられるでしょう。
「防災・減災、国土強靱化」は、「IoT」「5G」などに比べ、
株価への影響が素直に出やすい投資テーマ
このように多くの投資テーマを見つけ出せる自民党の公約の中から、今回は「防災・減災、国土強靱化」に注目しました。この投資テーマを選んだ理由は、株価への影響が素直に出やすいからです。
「IoT」「AI」「5G」なども投資テーマになりやすいのですが、電子部品などのハイテク企業が中心になるため、海外の影響を受けやすい面があります。ファーウェイ問題も依然として燻ぶっており、米中貿易問題の行方も予想が難しいので、今回は外しました。
「カジノ関連」に関しても、ギャンブル依存症などの課題が残っており、具体的な話に進展するにはまだ時間がかかりそうです。
一方で「防災・減災、国土強靱化」は、全般的に海外情勢に影響を受けづらいと言えます。また、災害により全国で大きな被害が頻発している状況から、防災のための重要インフラ、国民経済・生活を支える重要インフラとして、体制強化が急がれています。
「防災・減災、国土強靱化」に関しては、すでに以下のような緊急対策が挙げられています。
・全国の河川における洪水時の危険性に関する緊急対策
・農地被害を防止するための緊急対策
・電力インフラの強靭化対策
・航空輸送では護岸嵩上げ・排水機能強化
・滑走路の耐震対策
こうした緊急対策は全部で160項目あり、それらが2年間(2018~2020年度)で集中的に実施される予定です。また、その他にも「TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)」の体制・機能の拡充なども計画されています。
このように具体的な計画が数多く立てられている点からも、「防災・減災、国土強靱化」は魅力的な投資テーマだと考えられます。
売上の国内比率や株価などをもとに
「防災・減災、国土強靱化」関連銘柄を絞り込む
関連銘柄の探し方としては、まず「防災・減災」「国土強靱化」などの関連するキーワードで検索しました。また、強みのある技術や特殊製品で高いシェアを持っている企業を見つけるために、「シェアトップ」「強み」「特化」といったキーワードも併せて検索しています。
そこからの絞り込みとしては、まず海外情勢に影響されないよう、グローバル展開をしている企業よりも売上の国内比率が大きい企業を選びました。
次に、比較的株価が安く、1単元10万円以下で取得できる銘柄としました。現在のように外部環境の不透明感から売買が膨らみづらく、市場参加者が限られている市場環境において、中小型の値がさ株はいったん値動きが鈍ると資金の逃げ足が速く、価格変動が荒くなると考えたからです。
さらに、株価が緩やかながらも足元でリバウンド基調にある銘柄を選びました。
それらの作業の結果、見つけ出したのが以下の5銘柄です。
【巴コーポレーション(1921)】
立体構造物技術や鉄塔関連技術に強み
巴コーポレーション(1921)は、鉄塔の製作をはじめとして、立体構造・特殊鉄骨、ビル鉄骨、橋梁、総合建設と、事業を拡大。国内に3工場を持ち、特殊鉄骨を主とした、高品質で高性能の鉄骨製品を安定的に供給しています。学舎や体育館など、立体構造物技術や鉄塔関連技術に強みを持ちます。
株価は、5月15日の安値321円を底値に緩やかなリバウンド基調が継続しており、25日移動線が支持線として意識されています。
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【日特建設(1929)】
法面工事のトップ企業を目指す
日特建設(1929)は、ダム基礎工事から創業し、環境防災、維持補修、都市再生分野などの専門工事に特化した地質に強い特殊土木大手です。中期経営計画では、法面(のりめん)工事のトップ企業を目指すとともに、地盤改良工事および法面補修工事の受注拡大などを目標としています。
株価は調整トレンドが継続していますが、ここにきて25日移動平均線のほか、13週移動平均線、26週移動平均線を突破しており、トレンドが好転しています。
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日本コンクリート工業(5269)
「NC式」鋼線コンクリートポールで国内トップシェア
日本コンクリート工業(5269)は、コンクリート製品の総合メーカーです。学校、マンション、大型倉庫、ショッピングセンターなどの重量のある建築物を支えるため、また地震時の被害を抑えるために、建築物の基礎に使うパイル(杭)の製造・販売・施工をしています。「NC式」という鋼線コンクリートポールでは、国内シェアトップです。
株価は足元で緩やかなリバウンド基調にあり、下値支持線だつた5日移動平均線を割り込んできましたが、25日移動平均線が新たな下値支持線として働いています。
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イトーヨーギョー(5287)
無電柱化製品の引き合いが増加
イトーヨーギョー(5287)は、コンクリート2次製品の製造・販売を行っている企業です。コンクリート製組立マンホールや小型水路内蔵型歩車道境界ブロックのほか、無電柱化製品では水路付小型ボックス、埋設型小型ボックスなどを手掛けています。交通事故対策として、自転車通行の優位性強化製品や無電柱化製品の引き合いが増えています。
株価はやや荒い値動きが見られますが、急伸後の調整局面において、25日移動平均線割り込んだことで直近で空けたマドを埋めています。調整が一巡したと判断されてからの仕切り直しに期待したいところです。
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地盤ネットホールディングス(6072)
地震などの災害から人々を守るための消費者向けサービス
地盤ネットホールディングス(6072)は、住宅地盤補償業界におけるトップシェア企業です。「地盤カルテ」や「地盤安心マップ」など、地震などの災害から人々を守るための消費者向けサービスを展開し、不透明で分かりづらい住宅地盤業界の「見える化」を推進しています。
株価は、5月半ばにつけた安値162円を底値にリバウンドが強まり、5月末には218円まで上昇。その後は調整をみせていましたが、75日線を支持線に底値としたリバウンドへの期待が再び高まっています。
⇒地盤ネットホールディングス(6072)の最新株価はこちら!
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米中貿易問題やイラン核開発問題の影響を受けづらい、
「防災・減災、国土強靱化」関連銘柄に注目!
先のG20大阪サミットにおいて米中首脳会談が行われ、米中協議の再開で合意しましたが、対立の構図は変わらず、先行きは楽観できない状況です。また、イランが核合意で定められた濃縮度の上限を超えるウラン濃縮の作業に着手したことによる地政学リスクの高まりなども手控え要因になっています。さらに、参院選後は日米通商協議が再開することから、外部環境に振らされやすい市況が続きそうです。
そんな状況では、政策の後押しがあり、なおかつグローバルなニュースの影響を受けづらい「防災・減災、国土強靱化」関連は、非常におすすめの投資テーマなので、ぜひ参考にしてください。
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