アマゾンなどのネット通販の台頭により、
百貨店は厳しい経営環境に置かれている
百貨店はいま厳しい経営環境に置かれています。その理由は、アマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)に代表されるネット通販企業がシェアを奪っているからです。
事実、百貨店セクターは年初来-15.6%で、数ある米国株のセクターの中で最下位に近いです。
ネット通販でショッピングモールへの客足が遠のいたことを受けて、百貨店大手のメーシーズ(ティッカーシンボル:M)は2016年に67店舗を閉鎖しました。また、ノードストローム(ティッカーシンボル:JWN)も、ロスアンゼルスに「商品を置いてない百貨店」をデビューするなど、各社生き残り戦略を模索しています。
小売り各社は、いわゆるオムニチャンネルと呼ばれる戦略でネット通販に対抗しようとしています。オムニチャンネルとは、実店舗とネット通販を両方推し進めることで実店舗を実質的に配送センターとして利用するだけでなく、顧客がネット通販で購入した商品を返品する窓口とする戦略を指します。
しかし全体としては、縮小均衡を目指す企業が多いです。
また、コールズ(ティッカーシンボル:KSS)などの百貨店は、低価格で勝負する戦略に出ています。つまり、百貨店全体が「下へ、下へ」とシフトしているのです。
「下へ、下へ」とシフトする百貨店業界の中で、
ディラーズだけが高級化を目指している
そうした中で時代の流行にわざと背を向け、ワンランク上の顧客を取り込みに行っている百貨店があります。それが、ディラーズ(ティッカーシンボル:DDS)です。
ディラーズは、いまから80年前にアーカンソー州リトルロックという地方都市で創業された百貨店です。同社は、ディラード一族の家族経営の会社と考えて良いと思います。現在も取締役にディラード家の親類縁者が8名も名を連ねており、財務部以外はほぼ一族が切り盛りしていると言えます。
ディラーズは、他の百貨店がネット通販からの競争に対抗すべく、どんどん売り子などのサービスの質を落として行くのに対し、逆にセールス・スタッフの質を向上し、上質な接客サービスをすることで常連客を増やす戦略を打ち出しています。
また、他の百貨店がファッションから家電などに軸足を移す中で、ディラーズはあくまでも婦人服、紳士服などファッションで勝負する戦略を明確にしています。
他社が店舗への投資を削減する中で、ディラーズは新規出店こそ抑えるものの、既存店舗の改装などを積極的に行って“ゴージャスな雰囲気”の維持に努めています。
ディラーズの総店舗数は291店舗で、そのうち20%がテキサス州、14%がフロリダ州にあります。つまり、アメリカ南部を中心に店舗展開しているわけです。
ディラーズは、在庫戦略の面でも、ファッション性を重視したフレッシュで高品位な商品ばかりを目利きすることで、主に価格で勝負しようとする他社と明確に差別化しています。
このため、ディラーズのブランドの位置づけは、最高級のノードストロームやブルーミングデールズにはやや劣るものの、メーシーズよりは上の位置につけていると思います。
つまり、ディラードのブランド・イメージはじりじりと向上しているのです。
売り場そのものに経営資源を注ぎ込むことで、
イメージを向上させる戦略を選択!
ディラーズの売り場面積当たり売上高は、他社に比べるとやや弱々しいです。
しかし、粗利益率では他社と比べても遜色ありません。
ディラーズの場合、むやみな特売セールを控え、売れ残り品を捌くアウトレットにもあまり依存していません。つまり、安売りする業者だというイメージを消費者にもたれないように普段から気をつけているわけです。
ディラーズは、ファッション雑誌やテレビ広告には余り力を入れず、むしろそれで浮いたお金で商品の取り揃えを充実させると同時に、商品知識をしっかり持っている売り子を確保しています。つまり、売り場そのものに経営資源を注ぎ込むことでイメージの向上を図っているというわけです。
この地道で王道のやり方が実を結び、いまでは数少ない「ショッピングしていて楽しいストア」になっていると思います。それを反映して、既存店売上高比較も改善基調にあります。
ディラーズは、近年負債をどんどん返済すると同時に自社株を買い戻しています。それが1株当たりの業績の伸長に寄与しています。
なお、ディラーズの会計年度末は2月末であり、上のチャートで「2018年」とは2019年2月末で〆た会計年度を指します。
【今週のまとめ】
リアル店舗からネット通販へのシフトが続く中、
あえて実店舗の売り場コストをかけるディラーズの将来に期待
ディラーズは百貨店という業態全体が朽ちてゆく中にあって、ファッション性、品質、接客態度など、昔ながらの王道のアプローチによりイメージアップしている珍しい存在です。
ネット通販へのシフトという業界全体のトレンドはまだ続くと思われますが、逆にすべてがネットになり、実店舗がゼロになるということも非現実的な予想でしょう。実店舗でのショッピングを楽しみたいという消費者は、一定数残ると思われます。
その場合、ワクワクするショッピング体験を提供できる高品位な百貨店が減っているということは、頑なにそれを貫いているディラーズが見直される日がいずれ来ることを暗示していると思います。
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