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「IR(カジノを含む統合型リゾート)」関連銘柄を紹介! あえて「IR関連」“ど真ん中”の銘柄を避け、複合商業施設の企画・施工を手掛ける企業に注目!

2019年9月26日公開(2022年3月29日更新)
村瀬 智一
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 9月4日、政府は「IR(Integrated Resort:カジノを含む統合型リゾート)」を整備するための基本方針案について意見募集(パブリックコメント)を開始しました。この基本方針案は、全国で最大3カ所のIR区域を認定するための評価基準などを示したものであり、募集期間は10月3日までの約1カ月間となります。

 今回は、このパブリックコメントにより再び注目が高まりつつある「IR関連銘柄」を取り上げます

東京、横浜、名古屋、大阪、長崎など、
数多くの都市が「IR(カジノ)」誘致を狙う

 観光庁は、IRの誘致意向を尋ねるアンケート調査を、9月9日から19日にかけて全都道府県などを対象に実施しました。このアンケート調査は、IRの誘致について「予定している・検討している」か「予定していない」のどちらかを選ぶものです。

 その結果、東京都、横浜市、名古屋市、大阪府・市、和歌山県、長崎県、北海道、千葉市の8地域がIRの誘致を「予定している・検討している」と回答しました

 東京都に関しては、2018年7月の時点で、築地、晴海、豊洲、有明、台場、青海を総合的にまとめる「東京ベイエリアビジョン(仮称)」を策定すると発表しています。そのため、東京都もいずれ「IR誘致」に名乗りを上げるとみられていましたが、今回のアンケートでその可能性がより高まったと言えるでしょう。

 横浜市は、今年8月、IRの誘致に乗り出すと正式に表明して話題になりました。羽田空港からのアクセスもいい「山下ふ頭」を候補地として、2020年代後半の開業を目指すとしています。

 大阪は、「夢洲(ゆめしま)」がIRの建設場所として有力視されていますが、横浜の参加表明を受け、米国カジノ最大手の「ラスベガス・サンズ」が大阪での事業者募集の入札に参加しない方針を表明しました。東京や横浜での開発に注力する狙いのようです。

 北海道では「苫小牧」が有力であり、すでに米国カジノ大手のモヒガン・ゲーミング・エンターテインメント(MGE)がIR事業の構想案を発表しています。また、和歌山では、フランスの大手カジノ事業者であるグループ・ルシアン・バリエールが、和歌山市内に事務所を開設しています。

 このように、今や日本列島の北から南まで、多くの自治体が自分たちの街にカジノを誘致しようと積極的に活動しています。今回のパブリックコメントにより、IRへの注目度はますます高まっていくことが予想されます

「IR」により、雇用創出や消費拡大などの効果が継続的に発生!
シンガポールではIR開業により観光収入が9割増に

 IRによる経済効果は、「建設による経済効果」と「運営による経済効果」が見込まれます。特に運営による経済効果として、雇用創出や消費拡大などの効果が継続的に発生するでしょう。さらに、カジノ施設の収益により、政府や自治体の財政の改善にも寄与することが期待されています。

 なお、シンガポールでは、2つのIR施設の開発で計約1兆円の民間投資が実現。さらに、IR開業後4年で、国全体の観光客数が6割、観光収入が9割増加しました

今回は、カジノ機器など“ど真ん中”の銘柄ではなく、
複合商業施設などの企画・施工を手掛ける企業に注目!

 今後、IRの開発が具体的になってくると、カジノ機器を手掛けている以下のような銘柄に関心が集まるとみられます。

コナミホールディングス(9766)
バンダイナムコホールディングス(7832)
セガサミーホールディングス(6460)
ユニバーサルエンターテインメント(6425)
ピクセルカンパニーズ(2743)

 その他、IRの誘致が決定すれば、その地域の企業への関心が集まりやすいでしょう。例えば、北海道の苫小牧へのIR誘致の報道が出たときは、地元企業であるフジタコーポレーション(3370)が一時人気化する場面がありました。

 「IR関連銘柄」というと、こうしたカジノ機器や決済システムなどを手掛けている企業、「IR」を誘致する地域の企業が注目されやすいでしょう。しかし一方で、これらは「IR関連」として“ど真ん中”の銘柄であり、すでに多くの投資家に知られています。

 そこで今回は、あえて“ど真ん中”を外して、複合商業施設などの企画・デザイン・施工などを手掛ける企業に注目しました

 IRは「統合型リゾート」と呼ばれるように、カジノだけではなく、ホテルや会議場、ショッピングモールなど、幅広い施設が含まれます。東京五輪のように既存設備を有効に使うのではなく、一から大規模なリゾートを建設する訳です。そのため、物色対象に関しても幅広い波及効果が期待できます。

 「カジノ」は富裕層がメインターゲットになりますが、「IR」全体でみると、ホテルやさまざまなショップなども多く、幅広い客層がターゲットとなり、それらの商空間を手掛ける企業へのメリットも大きいと考えられます。

 今回は複合商業施設などの企画・デザイン・施工などを手掛ける企業を取り上げますが、その他にも幅広い銘柄が「IR関連銘柄」の一角として考えられることを意識しておくといいでしょう。

 今回は、具体的な「IR関連銘柄」として、以下の5銘柄を紹介します。

【インターライフホールディングス(1418)】
アミューズメント施設や商業施設内の内装工事を手掛ける

 インターライフホールディングス(1418)は、商業施設内の店舗をはじめ、飲食店舗、アミューズメント施設、ホール、ホテルなどの内装工事や音響照明設備工事などを手掛ける企業です。

 前出のセガサミ-ホ-ルディングスが大株主という面でもカジノ関連銘柄として注目されているので、低位材料株として個人主体の資金が入りやすいでしょう

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インターライフホールディングス(1418)インターライフホールディングス(1418)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【船場(6540)】
イベント施設、宿泊施設など、事業領域を拡大

 船場(6540)は、商業施設の企画、設計、施工・監理などを手掛けています。国内のショッピングセンターなどの大型商業施設では、イオングループ向けの案件に強みがあります。

 注力分野として、学校・教育機関、クリニックなどの医療・福祉機関、銀行や会社のオフィスのデザイン、さらに、駅・道(道の駅など)・空港などの交通インフラ施設、エンターテインメント・イベント施設、公共施設・公園、宿泊施設など、事業領域を拡大していますので、IRの開発による需要拡大が見込めます。

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船場(6540)チャート/日足・6カ月船場(6540)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【新日本空調(1952)】
空調設備では東京ミッドタウンなど幅広い実績が

 新日本空調(1952)は、空調設備等の設計、監理並びに工事請負を手掛けており、東京ミッドタウやホテルオークラ東京、ミレニアム 三井ガーデンホテル東京などの実績があります。

 室温を自動で上下させて省エネを実現する空調制御システムや、一年を通して空調設備内の病原性微生物の繁殖を抑える空調システムなど、空調に関するさまざまな技術を保有しているのが強味です。

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新日本空調(1952)チャート/日足・6カ月新日本空調(1952)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【スペース(9622)】
商業施設や専門店など、商空間の企画、設計、施工監理を手掛ける

 スペース(9622)は、商業施設や専門店など商空間の企画、設計、制作、施工監理を行っています。最近では、長期目標としている「商空間プロデュース企業」の実現に向けて、商業施設以外の取組みを強化。石川PA(パーキングエリア)下り、横浜駅東口地下街「ポルタ」、京都駅ビル専門店街などの実績があります。

 IR開発による直接的な需要のほか、交通インフラの整備にともない、隣接する駅や道路においても商空間の需要が期待されます。

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スペース(9622)チャート/日足・6カ月スペース(9622)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【CSS(2304)】
ホテル・レストランを中心に、食器洗浄や管理業務を全国展開

 CSS(2304)は、ホテル・レストランを中心として食器洗浄や管理業務を全国展開している「スチュワード事業」と、従業員食堂・レストラン運営の受託、高齢者福祉施設向け食材販売および受託給食事業を展開する「フードサービス事業」、BGMや映像・音響・放送・セキュリティーに関する「空間プロデュース事業」を展開しています。

 IRには、ホテルや会議場などさまざまな施設が含まれるので、「スチュワード事業」とカジノにおける「空間プロデュース事業」の両方で成長が期待できます。

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 現在、「ラグビーワールドカップ2019日本大会」が開催されています。まだ開幕したばかりですが、日々の報道でも、ワールドカップを目的とした訪日客の多さが伝えられています。

 こういった状況を目にすると、多くの訪日客が見込めるIRの誘致を目指す自治体や政府の意気込みが高まり、それにともなって「IR関連銘柄」が盛り上がることも期待できるでしょう。

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