「社宅」関連銘柄を解説！ 福利厚生が「コスト」から「人的資本への投資」へと認識が変わる中、社宅業務代行サービスなど「社宅」関連事業の需要増に期待！

バブル崩壊以降、縮小が続いていた企業の「社宅制度」が
近年になって「企業価値を高める施策」として再評価される

　バブル崩壊以降、コスト削減のため社宅制度の縮小が続いていましたが、近年、人材確保の競争激化や都市部の住宅費高騰を背景に、社宅や社員寮を見直す動きが出てきています。

　企業には、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値を向上させる経営が求められます。福利厚生は「コスト」ではなく「人的資本への投資」ととらえるよう価値観が変化しつつあります。

　福利厚生のなかでも社宅制度の整備は、単に従業員に住居を提供するだけでなく、彼らの健康促進にも寄与し、従業員エンゲージメント（会社への愛着や貢献したい気持ち）や生産性の向上などにもつながると言われています。例えば、社宅や社員寮に食堂を設置したり、睡眠の質の向上を促す寝具を導入したりすることで、従業員の健康促進をうながすことができます。

　社宅制度は社員同士の交流の面でもメリットがあります。特に新入社員にとっては、先輩社員と同じ社宅に住むことで年代や部署を越えたコミュニケーションが取れ、社内人脈の形成や社会人としての成長が期待できます。

　今や社宅制度は「人と不動産の両面から企業価値を高める」施策として、「時代遅れの福利厚生」から「戦略的投資」へと位置づけを転換させつつあるのです。

物件探しから契約、入退去時の立ち会いまで、社宅に関する業務を
アウトソースできる「社宅管理代行サービス」の需要が増加

　社宅制度の整備が進むなか、自社保有の社宅・社員寮を廃止し、賃貸物件を借り上げて従業員に提供する「借り上げ社宅」を導入する企業が増えています。借り上げ社宅は、企業にとって土地・建物の購入といった初期投資が不要なうえ、固定資産税の負担もなく、さらには賃料の会社負担分が損金扱いになるなど費用面での優位性があります。従業員にとってもプライバシー確保が期待できることから、近年、もっとも増加している社宅の形態です。

　さらには「社宅管理代行サービス」を活用すれば、物件探しや契約、入退去時の立ち会いなどの業務をアウトソースが可能で、社宅制度を維持しつつ、社内リソースをコア業務に集中させることができます。

　そこで今回は「社宅」関連銘柄に注目しました。具体的な銘柄としては、社宅に付随するビジネスを幅広く展開している企業を選定しました。

【共立メンテナンス（9616）】
社員寮や学生寮、国際交流寮などを全国に500棟以上展開

　共立メンテナンス（9616）は学生向けや社員向けの寮事業のほか、ビジネスホテル、リゾート事業などを展開しています。創業時より運営する学生寮・社員寮事業では、国際交流寮や各種コンセプト寮など幅広いスタイルで全国に500棟以上を展開しています。また、全国約200カ所で寮や食堂、保養所、研修センター、社員クラブなどの施設の運営・管理代行を行っています。株価は2024年8月の安値2078円をボトムに、上向きで推移する13週移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドが継続しているので、押し目狙いのスタンスでのぞみましょう。

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【レオパレス21（8848）】
グループ会社が社宅に関する業務の代行サービスを提供

　レオパレス21（8848）はアパートの賃貸と管理を展開。グループ会社のレオパレス・リーシングでは、レオパレスグループのネットワークを生かし、借り上げ社宅の物件探しから各種契約、支払い、解約業務など、賃貸借契約に関わる業務の代行サービスを幅広く提供しています。株価は、2020年12月の安値117円をボトムとした上昇トレンドが続いており、長期的には2018年5月の高値1023円がターゲットになりそうです。

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【LIXIL（5938）】
グループ会社のLIXILリアルティが社宅代行サービスを展開

　LIXIL（5938）は、住宅設備機器など建設資材を総合的に展開しています。LIXILのグループのなかで唯一の不動産事業会社であるLIXILリアルティが、社宅代行サービスを提供。さらに社宅に関わる付帯サービスとして、借上社宅管理WEBシステムや引っ越し会社の手配、家具レンタル手配、インターネット回線取次サービスなどを提供しています。株価は、6月下旬以降の強い上昇により52週移動平均線を突破し、3月の高値1873円が射程に入りました。その後、52週移動平均線を割り込んでおり、26週移動平均線辺りでの押し目を狙いたいところです。

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【スターツコーポレーション（8850）】
社宅関連業務のアウトソーシングから売買仲介までワンストップで対応

　スターツコーポレーション（8850）は、不動産管理事業や賃貸・売買仲介事業などを手掛けています。法人向けに特化したグループ会社のスターツコーポレートサービスでは、社宅関連業務のアウトソーシングから一棟借り、売買仲介、人材派遣までワンストップで対応しています。寮の運営管理では、寮を借り上げて借主にあわせてカスタマイズ。管理人の派遣から食事提供、清掃まで、各社にあった寮運営をサポートします。株価は上昇トレンドが続いているため、短期的な過熱感からの一時的な押し目を狙いたいところです。

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【積水ハウス（1928）】
「社宅が必要な会社」と「不動産を活用したい地主」をマッチング

　積水ハウス（1928）は、戸建住宅やアパート・マンションなどを扱う住宅メーカー大手。住まいづくりのノウハウを活かして、社員のライフスタイルや人事戦略に応える社員寮や社宅を提案します。費用を抑えて寮や社宅を整備するため、希望エリアに土地を所有するオーナーと企業をマッチング。希望する建物を土地オーナーに建築してもらい、長期賃貸するスキームも提供しています。株価は下落トレンドを形成していますが、足元のリバウンドで上値抵抗線として機能している13週移動平均線をとらえており、上昇トレンドへの転換が期待されます。

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【サンネクスタグループ（8945）】
社宅管理事務代行サービス「しゃたくさん」を提供

　サンネクスタグループ（8945）は、アウトソーシングを基軸に社宅マネジメント事業を手掛けています。社宅管理事務代行サービス「しゃたくさん」では、社宅や寮、駐車場に関する事務業務全般を代行。その他、企業の住宅制度改革を支援する「住宅コンサルティング」、クラウド型の社宅管理システム「しゃたくさんLite」など、複数の企業向けサービスを展開しています。株価は、6月下旬の急落から52週移動平均線を割り込んでの推移が続いていますが、1000円前後で底堅さが見られます。流動性の低さを意識しながら、押し目を狙いたいところです。

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　以上、今回は「社宅」関連銘柄を発掘しました。

　社宅制度の復活は、大企業だけではなく、中堅・中小企業にも及んでいます。特に地方に拠点を持つ企業や専門人材の確保に苦戦する企業では、住宅支援を厚くすることが生き残りの鍵となると見込まれています。最近では、「社宅代行会社」が中小企業向けに安価なパッケージを提供するなど、社宅制度を導入しやすい環境が整いつつあるようです。

　また、派生テーマとして「福利厚生」関連銘柄も人気なので、気になる人はそちらもチェクしてみるといいでしょう。
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