保守的に設定された期初予想と比べ、第1四半期の業績は想定以上に絶好調の滑り出し。今後の中間決算で上方修正を発表する企業を探そう!
対通期の進捗率23.5%は、
ビジネスの閑散期の割に出来過ぎ!
3月期決算企業の第1四半期(4~6月)の決算発表が始まった。楽天証券経済研究所の窪田真之さんによると、7月31日までに第1四半期決算を発表した主要113社の今通期の経常利益予想に対する第1四半期の進捗率は23.5%。1年の4分の1が経過した時点で25%に達していないため若干不安なスタートか? と思いがちだが、窪田さんは否定する。
「例年4~6月はビジネスの閑散期。売上高や利益は4~6月よりも7~9月、10~12月、1~3月と次第に大きくなる傾向があります。第1四半期の進捗率は22%程度で合格点。つまり今期は出来過ぎとも言えるのです」(窪田さん)
日本電産やホンダが上方修正、商船三井は下方修正を発表。 ミクシィは売上げが5倍超に! 昨年に続き自動車と電機が好調発進! |
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評価 |
売上高 伸び率 |
前年同期 営業利益 伸び率 |
今通期 営業利益 進捗率 |
前年同期 営業利益 進捗率 |
予PER | PBR | 銘柄コメント | 株価 |
弱 | 【会社名(コード)】イオン(8267) | |||||||
17.2% | -35.3% | 11.2% | 20.3% | 20.4倍 | 0.87倍 | PB商品約5000品目の値下げ、電子マネ-を活用した販促も、消費増税の影響は大きい。 | ||
買 | 【会社名(コード)】鹿島(1812) | |||||||
8.4% | 142.8% | 23.6% | 11.8% | 30.2倍 | 1.37倍 | 受注拡大とともに22%営業増益を見込むが、労務費、資材費高騰を価格転嫁するステ-ジに。 | ||
強 | 【会社名(コード)】大和ハウス工業(1925) | |||||||
4.6% | 16.5% | 19.6% | 17.5% | 13.1倍 | 1.39倍 | 消費増税直後でこの数字は立派。子会社フジタとの新興国、北米市場開拓など収益源を多様化。 | ||
買 | 【会社名(コード)】ミクシィ(2121) | |||||||
493.1% | 黒字 転換 |
- | - | - | 4.53倍 | スマホゲ-ムの大ヒットで売上げが5倍以上に。中間期を上方修正したが上ブレ余地が残る。 | ||
中 | 【会社名(コード)】三越伊勢丹HD(3099) | |||||||
-6.1% | -40.1% | 18.1% | 30.5% | 24.9倍 | 0.95倍 | 4~6月は減益も7月の売上高は前年同月比プラス。消費増税の悪影響は解消。夏物販売が好調。 | ||
強 | 【会社名(コード)】武田薬品工業(4502) | |||||||
0.2% | 11.3% | 42.5% | 40.1% | 43.7倍 | 1.50倍 | 主力が相次ぎ特許切れも営業利益の進捗率42%と好調。外国人社長率いる新体制の行方に注目。 | ||
強 | 【会社名(コード)】オリエンタルランド(4661) | |||||||
-2.6% | -4.2% | 29.8% | 22.6% | 31.6倍 | 3.27倍 | 昨年「30周年」の反動で第1四半期は3年ぶり営業減益。入園者数は増えており、影響は限定的。 | ||
中 | 【会社名(コード)】ヤフ-(4689) | |||||||
2.8% | -0.5% | - | 27.7% | - | 4.07倍 | ディスプレイ広告の売上高が大幅増。検索連動型広告もスマホの普及とともに伸びる。 | ||
中 | 【会社名(コード)】新日鐵住金(5401) | |||||||
5.8% | 6.4% | - | 18.8% | - | 1.07倍 | 中国の鉄鋼過剰生産のあおりで第1四半期は経常減益。公共工事の増加や製造業の需要回復に期待。 | ||
中 | 【会社名(コード)】コマツ(6301) | |||||||
1.1% | 21.1% | 26.1% | 21.8% | 14.7倍 | 1.60倍 | 中国の建機需要の落ち込みを欧州でカバ-。円安効果も表れ前年同期比20%超の営業増益に。 | ||
強 | 【会社名(コード)】日立製作所(6501) | |||||||
2.6% | 44.5% | 14.3% | 10.4% | 16.5倍 | 1.43倍 | ビッグデ-タの活用でIT機器販売が好調。エレベ-タ-などビル用インフラ設備も伸びる。 | ||
買 | 【会社名(コード)】日本電産(6594) | |||||||
13.7% | 41.6% | 24.3% | 21.2% | 28.4倍 | 3.59倍 | 第1四半期決算発表で営業利益を5%上方修正。原価改善と円安で収益力高める。追加上方修正も。 | ||
強 | パナソニック(6752・東1・100) | |||||||
1.5% | 28.2% | 26.5% | 21.0% | 22.0倍 | 1.87倍 | 消費増税で国内の家電需要が落ち込むも、住宅関連や車載製品の海外販売が好調で増収。 | ||
買 | 【会社名(コード)】ファナック(6954) | |||||||
53.5% | 91.7% | 32.5% | 21.1% | 29.4倍 | 2.95倍 | 第1四半期利益は前年の約2倍も予想は据え置き。スマホの金属ケ-スを加工するドリルが牽引役。 | ||
強 | 【会社名(コード)】三菱重工業(7011) | |||||||
15.0% | 58.7% | 22.4% | 17.1% | 17.3倍 | 1.45倍 | 火力事業をはじめとするM&A効果で2ケタ増収。機械・設備システムなどが営業増益をもたらす。 | ||
強 | 【会社名(コード)】トヨタ自動車(7203) | |||||||
2.2% | 4.4% | 30.1% | 28.9% | 11.7倍 | 1.33倍 | 消費増税の影響がある中で営業増益は立派。進捗率も高く、連続で最高益更新が濃厚に。 | ||
買 | 【会社名(コード)】ホンダ(7267) | |||||||
5.4% | 7.1% | 25.7% | 24.7% | 10.9倍 | 1.10倍 | 7月29日に今期業績予想を上方修正。それでも進捗率は25%超で、再度の上方修正が濃厚。 | ||
中 | 【会社名(コード)】三菱商事(8058) | |||||||
0.4% | -20.2% | - | 22.3% | 8.8倍 | 0.70倍 | 資源安で苦しいが会計基準をIFRSに変更し、資源関連の減損の反動などで通期は増益へ。 | ||
中 | 【会社名(コード)】三菱UFJフィナンシャルG(8306) | |||||||
-1.2% | -6.1% | - | 31.3% | - | 0.69倍 | 昨年のアベノミクス効果の反動で株のトレ-ディング利益が減少。海外子会社の貸出収益は増加。 | ||
弱 | 【会社名(コード)】みずほフィナンシャルG(8411) | |||||||
-10.1% | -20.4% | - | 29.3% | 8.8倍 | 0.79倍 | 第1四半期は2ケタ減収減益。トレ-ディング利益の減少が響く。貸倒引当金の戻り利益も減少。 | ||
中 | 【会社名(コード)】三菱地所(8802) | |||||||
-10.4% | -3.8% | 20.7% | 17.9% | 58.7倍 | 2.65倍 | 増税前の駆け込み需要の反動でマンション販売が減少。通期で7%最終減益を見込む。 | ||
中 | 【会社名(コード)】東日本旅客鉄道(9020・) | |||||||
0.6% | -5.9% | 29.9% | 31.7% | 16.0倍 | 1.50倍 | 新幹線など運輸収入が増加も、費用の上昇で営業利益、経常利益がともに減少。通期も減益見込む。 | ||
中 | 【会社名(コード)】商船三井(9104) | |||||||
7.8% | -65.5% | 11.0% | 28.0% | 11.3倍 | 0.66倍 | 7月31日に通期純利益予想を前期比5%増から30%減に下方修正。運賃回復の遅れが響く。 | ||
中 | 【会社名(コード)】ANA HD(9202) | |||||||
10.0% | 黒字 転換 |
0.4% | -8.5% | 25.9倍 | 1.21倍 | 第1四半期は前年同期の赤字から34億円の黒字転換。羽田空港の国際線発着枠拡大で2ケタ増収。 | ||
中 | 【会社名(コード)】NTTドコモ(9437) | |||||||
-3.4% | -15.3% | 28.0% | 30.2% | 16.5倍 | 1.34倍 | 契約者の純増数は前年同期比5倍増も、割引サ-ビスの費用負担が響く。減益も進捗率は28%。 | ||
中 | 【会社名(コード)】ソフトバンク(9984) | |||||||
126.1% | -15.6% | - | 36.9% | - | 4.54倍 | 米USモバイルの買収交渉に暗雲。今期が営業減益なのは一時的利益がないからで実質増益。 |
しかも、今年は4月に消費税が引き上げられ、例年以上に第1四半期の売上高や利益が伸び悩んでもおかしくない状況だ。
にもかかわらず進捗率が高水準だったのは、「もともとの通期予想が控え目過ぎたからです。おそらく多数の企業が中間決算以降に予想を上方修正することになるでしょう」(窪田さん)
7月31日時点の主要113社(除く金融)の経常利益の増益率予想は、会社予想では4%増益で、市場予想ベースでは10.1%増益。好調な第1四半期の数字から、窪田さんの予想では、さらに16%前後への上方修正が見込めるという。
「第1四半期が予想以上に好調だったのはホンダ(7267)、ファナック(6954)、オムロン(6645)など。自動車、スマホ関連が好調でした。三井住友FG(8316)は、昨年アベノミクス効果で債券のトレーディング利益が膨らんだ反動で減益でしたが、本業で稼げるようになったことがプラス評価。第2四半期以降は自動車、スマホは引き続き好調、さらにITなどの設備投資関連、鉄鋼、建設などが業績を伸ばしそうです。反対に厳しかったのが、海運や建機などの中国関連株でした」(窪田さん)
ズバリ、狙うべき株は
前期より進捗率が高い上ブレ濃厚な株だ!
上ブレが特に濃厚なのは、そもそもの予想水準が低過ぎる株だ。ビジネス閑散期である第1四半期に通期の営業利益予想に対して25%以上もの進捗率を達成した銘柄は、上方修正の公算はきわめて大きい。
前期の第1四半期の進捗率との比較も重要だ。前期よりも進捗率が高ければ、今後業績が上ブレる可能性が高いからだ。
また第1四半期時点で上方修正した銘柄も「業績に強い自信がある銘柄。ただし、企業は上方修正発表後の下方修正だけは避けたい。そのため修正余地を残すのが普通」(窪田さん)。
たとえば、建設ラッシュで仮設材需要が急拡大しているジェコス(9991)は、中間決算の営業利益予想に対し第1四半期時点の進捗率は78%と高水準。
また、工業用ミシンを世界中で販売しているペガサスミシン(6262)も、第1四半期の営業利益の進捗率は通期比で37%と高いうえに、予想PERは約12倍と株価も割安だ。
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