【今回のまとめ】
1.先週の米国株式市場は散々だった
2.欲ブタになって建てたポジションで、みんな苦労している
3.FRBがクッションを除去しているのだから相場の「乗り心地」が悪くなって当然
4.消費さえ良ければ米国経済は安泰
5.ジョンソン&ジョンソン、Lブランズに妙味
散々だった先週の米国株式市場
先週の米国株式市場の週間パフォーマンスは、ダウ工業株価平均指数が-2.7%、S&P500指数が-3.1%、ナスダック総合指数が-4.5%と散々でした。
9月以降の下げ相場で、主要株価指数は年初来の上昇の大半を吐き出す格好になっています。ついにダウ工業株価平均指数は年初来パフォーマンスが-0.2%になりました。S&P500指数の年初来パフォーマンスは僅か+3.1%、ナスダック総合指数は+2.4%です。
市場参加者のセンチメントを示す指標のひとつ、プット・コール・ボリュームは先週の金曜日の時点で1.16と極端な悲観を示す水準になっています。過去の経験則ではプット・コール・ボリュームがこの水準に達すると市場は底打ちしました。
葛藤(かっとう)無く立てたポジションは、儲からない
私は日頃から「心の葛藤無く立てたポジションは、危ない」ということを主張しています。つまり(いま買い出動して、安全だろうか?)という心の迷い、ないしは恐怖というものは、そのポジションが勝利トレードとなるために欠かせない要素なのです。
人は逡巡(しゅんじゅん)しながら株を買う時、慎重にその是非を自問します。
これに対して相場が良い時は(もっとたくさん、買っておけば良かった)式の後悔から、深く考えもせず、大きなリスクを取りやすいです。つまり欲ブタになってしまうわけです。普段より大きめのポジションを(このくらい、いいだろう)という軽い気持ちで建てた時が、最も手痛い損を被る瞬間なのです。
一体、何が起きた? と今頃になって理由探しする投資家
市場参加者は、今頃になって「一体、何が原因でマーケットは下がったのだろうか?」ということを慌てて究明中です。
でも今回の下げの理由は、極めて明白です。
それは米国連邦準備制度委員会(FRB)が粛々と非伝統的緩和政策を縮小してきたことに求めることが出来ます。
ここでの非伝統的緩和政策とは政策金利の上げ下げ以外の方法による市場の誘導を指し、具体的には中央銀行が債券を買い入れることを指します。
この債券買入れプログラムの影響で、FRBの総資産はどんどん膨れ上がってきました。
しかしこのグラフの直近の様子を見ると、勾配がだんだんなだらかになっているのがわかります。これはテーパーリングといって債券の買い入れ額を徐々に減額し、最終的には新規買い入れ自体を止めてしまうことが原因です。
実は10月が、その最後の購入になるわけです。
つまりイエレン議長は口先では「当分の間、超緩和的な政策を維持する」と市場関係者が聞きたい、甘い言葉を囁き続けているわけですが、そのウラでFRBがやっていることを観察すれば、せっせと出口戦略(exit strategy)を実行に移し中だというわけです。
先の連邦公開市場委員会(FOMC)で、もうひとつ「はっ」と息を呑む発言がありました。それはイエレン議長が「膨れ上がってしまったFRBの総資産は、圧縮しなくてよい。必要であればすぐにフェデラルファンズ・レート引き上げに着手できる」と明言したことです。
普通、フェデラルファンズ・レートを引き上げ始めると債券価格は売られます。するとFRBが上で述べたように膨大な債券を在庫に抱えたままにしておくと、利上げすることで自分の首を絞めることになりかねないのです。だから普通に考えれば、先ず在庫になった債券を減らしておいて、その後で利上げに着手するというのが最も自然なやり方です。
もし在庫の債券をゆっくり処分しながらFRBのバランスシートを圧縮するという方法が採択されたのであれば、それはあたかもテーパーリングの延長のような感覚で市場参加者に受け止められることでしょう。つまり(まだまだ時間がある)という印象を与えるのです。
しかしイエレン議長は「データ次第では、FRBの総資産の圧縮を待たず、フェデラルファンズ・レートを引き上げる」と言っているわけですから、これは「出たとこ勝負」に他ならず、不確実性が高まったのです。
FRBがこのようなかたちでクッションを取り去ってしまった以上、相場の「乗り心地」がこれまでとは比較にならないほど凸凹したものになるのは当然です。
米国経済は問題ナシ
なお米国株の下げの原因として景況感の悪化を挙げる市場関係者が居ますが、私はその意見には反対です。
アメリカの景気が悪くなっている兆候は、ありません。
先々週発表された非農業部門雇用者数は強い数字でした。
失業率はFRBがノーマルな水準と考える、5.8%に限りなく近づいています。
また消費も大丈夫だと思います。下は既存店売上比較のグラフです。
消費が米国のGDPに占める割合は67%程度であり、ウクライナ問題や中国経済の減速など外部的要因がどうであれ、消費さえ良ければ米国経済は安泰なのです。
では、何を買うか?
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