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トランプ大統領がイラン攻撃を見合わせる意向を示したことが
原油先物安+長期金利の低下につながり、米国株高の要因に
今週は、米国市場の動向から見ていきましょう。8月3日のNYダウは3日続伸し、終値で前週末比693.38ドル(1.32%)高の5万3178.41ドルと最高値を更新しました。また、ナスダック総合株価指数も3日続伸し、終値で同540.04ポイント(2.12%)高の2万5913.90ポイントでした。そしてSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)も3日続伸し、同119.28ポイント(1.05%)高の1万1430.35ポイントで終えました。
NYダウチャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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米国のトランプ大統領が8月1日、協議の進展を条件にイランへの追加攻撃を見合わせる意向を示したことで、イラン情勢が悪化するとの警戒感が後退しました。これを受け、3日のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物の期近9月物は、前週末比4.33ドル(5.1%)安の1バレル80.34ドルで取引を終えました。
原油(WTI原油先物)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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原油先物相場が下落し、過度のインフレ懸念が後退したことで、8月3日のNY債券市場で長期債相場が反発。米国10年債利回りは、前週末比0.05ポイント低い4.68%で取引を終えました。つまり「原油先物安+長期金利の低下(債券高)」が、3日の主な株高材料となりました。
AI特化ヘッジファンドが公開ポートフォリオの大部分を
売却したことで、半導体株の需給が劇的に改善!
しかし、8月3日のナスダック総合株価指数やSOX指数が堅調だったにもかかわらず、8月4日午前6時時点で、日経平均先物9月物の終値は前日比360円(0.56%)安の6万3470円と冴えませんでした。そして4日の日経平均株価は上昇したものの、終値で前日比202.63円(0.32%)高の6万3957.53円に留まりました。
日経平均株価チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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そこで今回は「なぜ米国の半導体関連の株価が底打ちしたのか?」と「なぜ日経平均株価の動きが米国株に比べて相対的に鈍いのか?」について説明しておきたいと思います。
まず、米国の半導体関連の株価が底打ちしたの主な要因は、大手ブローカーからのマージンコール(追加証拠金要求)に対応するため、元OpenAI研究者のレオポルド・アッシェンブレナー氏が運営するAI特化ヘッジファンドのシチュエーショナル・アウェアネス(Situational Awareness)が、7月30日に公開株ポートフォリオの大部分をヘッジファンドのCitadel(シタデル)にディスカウントで売却したと報じられたからです。つまり、シチュエーショナル・アウェアネスの大規模なポジションが整理されたことで、需給が劇的に改善し、半導体関連の株価が底打ちしたのです。
シチュエーショナル・アウェアネスは、約4倍のレバレッジをかけてサンディスク(SNDK)、SKハイニックスなどのAIインフラ・メモリ関連株をロング(買い)していたと言われています。しかしながら、7月にこれらロング銘柄が急落し、マージンコール(追加証拠金要求)で苦しむことになりました。
なお、シチュエーショナル・アウェアネスのロングポジションを引き受けたCitadelは、米国の大手オルタナティブ投資運用会社で、史上最も収益を上げたヘッジファンドの一つとして知られています。
日米協調介入による「急激な円高」の流れが、
日経平均株価が米国株に比べて出遅れている要因に!
次に、日経平均株価の動きが米国株に比べて相対的に鈍い理由は、日米協調介入をきっかけにした「急激な円高」の進行です。なぜならば、日本の株式市場(特に日経平均株価)は輸出企業の比重が高いため、円高が直接的な逆風になるからです。
具体的には、自動車、電機・精密機器、機械などの企業が海外で稼いだドルなどの外貨を円に換算する際、円高だと円建ての売上・利益が目減りします。そして、企業が想定している為替レートより円高が進むと、業績見通しの下方修正リスクが高まり、株価が売られやすくなります。
さらに、日本株の売買の多くを占める海外投資家にとって、円高は「ドル建てで見た日本株の価値」を相対的に押し上げる(割高に見える)ため、売りが入りやすくなるのです。
振り返ってみると、7月下旬の円相場は1ドル=164円近くまで下落し、約40年ぶりの円安水準を更新しました。これに危機感を抱いた日米当局は、対応に動きました。なぜならば、過度な円安による輸入物価の上昇や日本経済への悪影響への懸念が強まったからです。
時系列でみると、7月30日に日本政府と日銀による大規模な円買い・ドル売り介入が実施され、米ドル/円相場はそれまでの162円台後半から一気に157円台後半へ急騰しました。翌31日も介入が続き、日米協調介入が実行されました。米国側(財務省・NY連銀)も円買い(ユーロ売りなどで円を買う動き)に参加したのです。円買い介入で日米が協調するのは、円買いに限れば1998年以来、約28年ぶりのことです。そして8月3日に米ドル/円相場はさらに上昇し、一時1ドル=155円台前半をつけました。
米ドル/円チャート/1時間足・5日(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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日本の財務省は8月3日、この協調介入に関して「7月31日金曜日(米国東部時間)に、日本財務省は米国財務省と連携して日本円を購入しました。この共同行動は、2025年9月に発出された米日財務相共同声明に基づいて実施され、最近数か月間の日本円の過度な変動性と無秩序な動きに対抗するものでした。日本財務省は引き続き注意を払い、米国財務省の担当者と密接な連絡を維持します。私たちはさらなる共同介入を実施することに躊躇しません。日本は今後、連邦準備制度の外国および国際通貨当局(FIMA)レポ施設を利用する予定です。」とXに投稿しました。
なお、FIMAレポ施設(Foreign and International Monetary Authorities Repo Facility)とは、米国の連邦準備制度(FRB)が外国の中央銀行や国際通貨当局に対して、保有する米国債を一時的に担保にして米ドルを貸し出す仕組みです。日本が「今後利用する予定」と表明したのは、為替介入などでドルが必要になった際に、米国債を市場で直接売却せずにドル流動性を確保するための手段として備える、という意味合いです。
以上のことから、日米当局は今回、断固たる意志をもって協調介入を行いましたし、今後も必要に応じて躊躇なく行う見通しです。よって、当分の間、円相場が円安基調に回帰する可能性は低いと考えます。当然、これは外需系企業の株価および日経平均株価の上値圧迫要因です。
ただし、円高は「輸出・企業収益を通じて景気を冷やす力が強い」一方で、「輸入コスト低下で家計や内需を支える」面もある、二面性のある現象です。よって、足元の日本株の上値の重さは「円高自体」ではなく、「円高ピッチの速さ」が景気下押しリスクとして意識された結果と見ています。
つまり、今後、円高ピッチが鈍れば、徐々に円高メリットのある内需株を中心に買い直されていく可能性が高いでしょう。よって、当面は、円高がメリットになる内需系の大型バリュー株を狙うことをおすすめします。
今後の日経平均株価の動向は、サポートラインとして機能する
5日移動平均線を割り込むかどうかが分かれ目に!
日経平均株価については現在、5日移動平均線(4日時点で6万3075.21円)がサポートライン(下値支持線)として機能しています。同線を終値で割り込まない限り、底堅く推移できるはずです。
日経平均株価チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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5日移動平均線を割り込まず推移できるケースでは、まずは75日移動平均線(同6万5023.16円)、次に25日移動平均線(同6万6435.92円)を目指すリバウンドが期待できます。
ただし、終値で5日移動平均線を割り込み、かつ25日移動平均線と75日移動平均線が「デッドクロス」するケースでは、日経平均株価の急落リスクが一段と高まると見ています。その場合には、現金比率を高めるなどの対応をしたうえで「バーゲンハンティング」のチャンスを虎視眈々と狙う戦略をおすすめします。
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