早いもので2014年ももう終わり。1月5日からは、新しく2015年のマーケットがスタートする。2014年の株式市場を思い返しながら、すでに新しい年に向けた投資戦略に思いをはせている投資家も多いだろう。
そこで今回は、2014年の相場の総決算として東証一部、東証二部、マザーズ、JASDAQに上場している約3400銘柄のデータを集計し、次のようなランキングを作成した。
・年間上昇率トップ30
・年間下落率トップ30
・年間高安剥離率トップ30
・年間売買代金トップ30
・年間出来高トップ30
・年間IPO初値上昇率トップ20
これらのランキングを見ながら、フィスコの村瀬智一さんに2014年の1年間を振り返ってもらいつつ、2015年の狙いどころを解説してもらった。
年間上昇率1位のアドテック プラズマ テクノロジーは
現在調整中だが2015年に再び値上がりする可能性も!
まずは、2014年に最も値上がりした銘柄を見る「年間上昇率トップ30」。2013年の大納会である12月30日の終値と2014年12月19日の終値から、年間の上昇率が高かった銘柄の上位30位までランキングしている。
■年間上昇率トップ30 | |||||
順位 | 株価 | 上昇率 | 関連 記事 |
最新 チャート |
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2013年 12/30 |
2014年 12/19 |
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1位 | アドテック プラズマテクノロジー(東M・6668) | ||||
170円 | 1444円 | +749.4% | ― | ||
2位 | 日本通信(東J・9424) | ||||
101円 | 586円 | +480.8% | ― | ||
3位 | 朝日ラバー(東J・5162) | ||||
334円 | 1753円 | +424.9% | ― | ||
4位 | アサカ理研(東J・5724) | ||||
492円 | 2570円 | +422.4% | ― | ||
5位 | ラオックス(東2・8202) | ||||
48円 | 246円 | +412.5% | ― | ||
6位 | ディップ(東1・2379) | ||||
1065円 | 4760円 | +347.2% | ― | ||
7位 | イデアインターナショナル(東J・3140) | ||||
460円 | 1774円 | +336.9% | ― | ||
8位 | アオイ電子(東2・6832) | ||||
1386円 | 5960円 | +330.0% | ― | ||
9位 | 神戸物産(東1・3038) | ||||
2299円 | 9730円 | +323.2% | ― | ||
10位 | 日本ギア工業(東2・6356) | ||||
324円 | 1350円 | +316.7% | ― | ||
11位 | 高橋カーテンウォール工業(東J・1994) | ||||
200円 | 807円 | +303.5% | ― | ||
12位 | アルデプロ(東2・8925) | ||||
40円 | 158円 | +297.0% | ― | ||
13位 | ディジタルメディアプロフェッショナル(東M・3652) | ||||
590円 | 2290円 | +288.1% | ― | ||
14位 | アクセルマーク(東M・3624) | ||||
781円 | 3000円 | +284.1% | ― | ||
15位 | 北越工業(東1・6364) | ||||
324円 | 1197円 | +269.7% | ― | ||
16位 | 菊池製作所(東J・3444) | ||||
493円 | 1800円 | +264.9% | ― | ||
17位 | ゲンキー(東1・2772) | ||||
2134円 | 7350円 | +244.4% | ― | ||
18位 | ミクシィ(東M・2121) | ||||
1540円 | 5240円 | +240.3% | ― | ||
19位 | フィンテック グローバル(東M・8789) | ||||
56円 | 187円 | +233.9% | ― | ||
20位 | デジタルデザイン(東J・4764) | ||||
419円 | 1380円 | +229.4% | ― | ||
21位 | ペッパーフードサービス(東M・3053) | ||||
980円 | 3220円 | +228.6% | ― | ||
22位 | SDエンターテイメント(東J・4650) | ||||
381円 | 1251円 | +228.3% | ― | ||
23位 | 図研エルミック(東2・4770) | ||||
217円 | 710円 | +227.2% | ― | ||
24位 | 山一電機(東1・6941) | ||||
240円 | 760円 | +216.7% | ― | ||
25位 | 大和小田急建設(東1・1834) | ||||
266円 | 827円 | +210.9% | ― | ||
26位 | 大泉製作所(東M・6618) | ||||
223円 | 688円 | +208.5% | ― | ||
27位 | ビーピー・カストロール(東1・5015) | ||||
443円 | 1314円 | +196.5% | ― | ||
28位 | 本多通信工業(東2・6826) | ||||
491円 | 1420円 | +189.2% | ― | ||
29位 | ケー・エフ・シー(東2・3420) | ||||
780円 | 2245円 | +187.8% | ― | ||
30位 | UBIC(東M・2158) | ||||
264円 | 749円 | +183.5% | ― | ||
※ランキングは2014年12月19日時点のデータで作成。東証1部:東1、東証2部:東2、東証マザーズ:東M、JASDAQ:東J |
上昇率でトップとなったのはアドテック プラズマ テクノロジー(6668)で、株価は1年間で8.5倍も高騰。この銘柄は、後で出てくる「年間高安剥離率トップ30」でも2058%という驚異的な数字で1位となり、見事2冠を達成している。
「この会社はリニア関連の銘柄ですが、元々が100円台で完全に個人投資家のオモチャにされた感じの銘柄ですね。一時3475円まで行った株価はその後調整し、現在は1400円台まで下がりました。ただ、リニア関連の技術では実績のある会社なので、来年になってリニア関連がまた動き出したら、再度上がってくる可能性はありますね」
2位の日本通信(9424)は、自社で通信網を持たず、他の事業者の回線を借りることで通信事業を行う「仮想移動体通信事業者(MVNO)」と呼ばれる企業で、格安SIMカードの販売などが評価された。このランキングだけでなく、「年間高安剥離率トップ30」でも4位にランクインしている。
「SIMロック解除が義務化されるといったニュースを材料に、今年前半大きく上げた銘柄です。ここまで上がった要因のひとつは、IRがとにかくうまかったこと。少し株価が下がると、良いタイミングでニュースリリースを出して株価を押し上げました。ただ、格安SIMカードは今多くの企業が参入してきているので、収益化するのはなかなか難しいと思います。2015年以降は厳しいかもしれませんね」
また、円安などにより急激に増加した訪日外国人による格安SIMカードの需要拡大も、日本通信の株価を押し上げる要因のひとつとなっている。同様に訪日外国人、中でも中国人環境客の増加が大きなプラス要因となったのが、5位のラオックス(8202)だ。
「2009年に中国資本の傘下に入ったときは、もう危ないのではないかと言われており、株価も2013年末の時点ではわずか48円でした。それが2014年に入って、中国人観光客相手の商売で完全に巻き返しましたね。中国の場合、来日する前の段階で割引券などを配るので、みんなそれを持って買いものに来るそうです」
訪日外国人の増加というテーマは来年以降も盛り上がりが期待できるので、意識しておくといいだろう。
ランキングではトップ10入りを逃したものの、今年の株式市場を語る上で外せないのが18位のミクシィ(2121)だ。スマホ向けのゲーム「モンスターストライク」の大ヒットが株価上昇の要因となった。
「今年のマーケットの前半戦を主導したのがミクシィです。ここが動いたら相場全体のムードが良くなる、投資家のセンチメントを表している銘柄でした。昔のソフトバンクみたいな感じですね。もったいなかったのは、『モンスターストライク』のダウンロード数のリリースが多すぎました。はじめは『1000万ダウンロード達成!』などに投資家も好反応を見せていましたが、何度も繰り返される打ちにだんだん慣れてしまいました」
2014年のミクシィのようなゲーム関連銘柄は、次々と物色される対象が変わっていくのが特徴だ。これまでも、任天堂(7974)からディー・エヌ・エ—(2432)、グリー(3632)、ガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)と物色されたあと、2013年から2014年にかけてミクシィが来て、コロプラ(3668)へと移ってきた。しかし、そうして人気を集めてきたゲーム関連銘柄も「そろそろ“終わった感”がある」と村瀬さんは分析する。
「最近のゲーム会社では、人材確保のために従業員の給与がドンドン高騰しており、ヒット作がでないと一気に赤字になる可能性が高くなってきました。もともとヒット作が出るかどうかというギャンブル性の高さがありましたが、今は人件費の問題で不安要素が大きくなっています。2015年は、大きく業績を落とすゲーム関連銘柄がいくつか出てくる可能性が高い」
次ページでは、2014年の最安値と最高値の比率をくらべた「年間高安剥離率」を見ていこう。
次のページ>> 年間高安剥離率ランキングには、IPO銘柄が数多く入る
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