「まず、過去の大型IPO6銘柄の上場日前後における日経平均株価の推移をまとめたのが、下のグラフ1です。各銘柄の上場日の終値を基準として、その前後60営業日の日経平均株価の騰落率を示しています」
NTTが上場したときは、上場日の前後で日経平均株価が右肩上がりで上昇しているのが非常に目立つが、これはIPOが1987年2月とバブル経済真っ只中という特殊な状況に行われたことも大きいだろう。しかし、その他の銘柄は値動きが入り組んでいて、ここからアノマリーを見つけ出すのは難しい。
「このグラフでは全体の傾向がわかりにくいので、それぞれの日経平均株価の推移を平均化したのが、次のグラフ2です。6銘柄の上場時のデータを平均化したものと、化け物のような値動きをしたNTTを除いた5銘柄の上場時のデータを平均化したものの2つをプロットしています。今の時代にも通用する『大型IPOのアノマリー』を検証するには、NTTを除外したデータで考えたほうがいいのではないかと思います」
「たった5~6銘柄の平均なので荒っぽいまとめではありますが、ある程度の傾向が見て取れます。まず、上場前は60営業日前から40営業日前まで下げていますが、上場日にはある程度戻しています。これは、『IPOにより資金が吸収され、株価の下げるのではないか?』という恐れから下げたものの、実際の影響が大したものではなく買い戻されたのではないかと推測できます」
より重要なのは、株式上場後の値動きだと夕凪さんは分析する。
「上場直後から約40営業日後にかけて、一度戻した日経平均株価が再び下げていきますが、こちらのほうはインデックス組み入れにともなう本当の需給の下げではないかと思われます」
主要インデックスのうち、日経平均株価(日経225)には株式上場後、数年経たないと採用されないが、TOPIXへは上場日翌月末には組み入れられる。このTOPIXへの組入れが、約40営業日後だったのだろう。さらに、主に海外のファンドがベンチマークとしているMSCIとFTSEの構成銘柄にも早々に採用される可能性が高い、と夕凪さんは言う。
「MSCIは『アーリー・インクルージョン』、FTSEは『ファスト・エントリー』というルールを適用します。どちらも、市場に影響力がある銘柄は定期採用日を待たず、株式上場後、早期に採用をして指数に組み込むというスペシャルルールです。2014年10月に株式上場したリクルート(吸収価格2138億円)の場合は、上場日を入れて10営業日目にMSCIへ、5営業日目にFTSEへ組み込まれました」
とはいえ、実際にMSCIとFTSEに採用されるかどうかは、通常なら上場日当日の夜に発表されるが、場合によっては組み入れが見送られる可能性もある、と夕凪さんは言う。。
「今回の日本郵政グループ3社の場合、当面の間は政府が過半数の株を握ったままとなるので、MSCIとFTSEも『今回は組み入れなし』などなんらかのスペシャル対応をする可能性もあります。上場日にどんな発表がされるのか、要注目ですね」
これでもしMSCIとFTSEで採用が発表されたら、相場の需給が悪化させる圧力がより高まる可能性は高い。
大型IPO銘柄そのものの値動きを見ると、
近年上場した2銘柄の株価推移が酷似
では、次に大型IPO銘柄自体が上場後の初値をつけた後、どのように株価が推移したのかを検証しよう。ここからは、検証データの中からNTTを除いている。NTTの値動きは特殊ケースなので、今回の比較対象としては適切ではないと考えたからだ。
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【内藤証券のIPOの特長】 出金余力の確認ができた有効申込株数に応じて、厳正かつ公正な抽選を行われる。 |
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※ 2015年9月10日時点で、岡三オンライン証券は取扱証券会社として公表されていないが、主幹事証券会社である岡三証券のグループ会社のため、取り扱いが予想される。 | ||||||
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【2024年11月1日時点】
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◆SMBC日興証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
19社 52社 |
24社 47社 |
26社 80社 |
10%:1人1票の平等抽選 最大5%:「ステージ別抽選」※1 |
345万 |
【ポイント】 大手証券の中でもIPOに力を入れており、例年、主幹事数・取り扱い銘柄数ともに全証券会社中でトップクラス! また、国内五大証券会社のひとつだけあり「日本郵政グループ3社」や「JR九州」「ソフトバンク」などの超大型IPOでは、主幹事証券の1社として名を連ねることも多い。10%分の同率抽選では、1人1単元しか申し込めないので資金量に関係なく誰でも同じ当選確率となっているのがメリット。さらに、2019年2月からは、預かり資産などによって当選確率が変わる「ステージ別抽選」がスタート。平等抽選に外れた人を対象にした追加抽選で、最高ランクの「プラチナ」だと1人25票が割り当てられて当選確率が大幅にアップする。 ※1 預かり資産残高などによって決まる「ステージ」ごとに、別途抽選票数が割り当てられる。 |
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【関連記事】 ◆【SMBC日興証券のおすすめポイントは?】信用取引完全無料、NISAや積立投資にも便利な株が小分けで買える「キンカブ」がおすすめ! ◆「日経テレコン」「会社四季報」が閲覧できる証券会社を解説! 利用料0円ながら、紙媒体では読めない独自記事や先行情報を掲載し、記事の検索機能も充実 |
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◆SBI証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
21社 91社 |
13社 89社 |
21社 122社 |
60%:1単元1票の平等抽選 30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分 10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分 |
1245万 ※ |
【ポイント】 ネット証券にもかかわらず、主幹事数、取扱銘柄数ともに大手証券会社に引けをとらない実績を誇る。特に取扱銘柄数がダントツで、2023年は全96社中91社と約95%のIPO銘柄を取り扱った。つまり、SBI証券の口座さえ持っていれば、ほとんどのIPO銘柄に申し込めると考えていいだろう。個人投資家への配分の100%がネット投資家へ配分されるのも魅力。1単元1票の抽選なので、多くの単元を申し込むほど当選確率は高くなる。当選確率がアップする「IPOチャレンジポイント」が、資金量・取引量と関係なく、IPOに申し込み続ければ誰にでも貯められるのもメリットだ。また、スマートフォン専用サイトでIPOの申し込みや情報確認ができるのも便利。 ※SBIネオトレード証券、FOLIOの口座数を含んだSBIグループ全体の口座数。 |
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※ 主幹事数、取扱銘柄数はREITを除く。口座数は2023年12月末時点。 |