まず、各IPO銘柄の株価推移をプロットしたのが、次のグラフ3だ。それぞれ初値からの騰落率をプロットしている。
しかし、このグラフでは市場全体の影響が含まれるため、IPO銘柄そのものの値動きを判断するには不適当だ。そこで、各IPO銘柄の騰落率から日経平均株価の騰落率を引くことで、市場の影響を差し引いたグラフ4を作成した。
バブル最終期にかかっているNTTドコモを除くと、総じて値動きは良くない。上場後70営業日後には、NTTドコモ以外はすべて10~18%程度下落している。
「興味深いのは、近年の大型IPOである日本航空と第一生命の値動きがそっくりなことです。どちらも上場後、40営業日程度は上昇していますが、それ以降は急落しています。これは先ほど説明したように、FTSE⇒MSCI⇒TOPIXの順に買っていかなければならず、さらにそれに合わせて先回り買いする投資家たちが出たりするので、なかなか株価が落ちないのです。そして、上場日翌月末にTOPIXに組み入れられた後は需要が下がり、値崩れするということでしょう」
日経平均に影響はあるものの不確定要素は多いので、
狙い目は上昇する日本郵政グループ3社
以上の結果から、夕凪さんが導き出したのは次の2つのアノマリーだ。
【アノマリー・その1】
大型IPOの上場前の換金需要はそれほど市場に影響を与えないので、恐れることはない。警戒すべきは上場直後からTOPIX組み入れまでで、その間、換金需要により日経平均株価は下落する。
【アノマリー・その2】
近年の大型IPO銘柄は、上場後TOPIX組み入れまでは堅調だが、その後は急落する。
さらに、「これらのアノマリーを踏まえ、夕凪さんであればどのように狙っていくのか?」を聞くと、次のような答えが返ってきた。
●全体相場について
「日本郵政グループ3社の上場前に日経平均株価が下げるかもしれませんが、どうせ戻るので追従する必要はありません。重要なのは上場後の下げに対する警戒です。大型株の買いポジションを落としたり、空売りでヘッジしたりするといいでしょう。とはいえ、相場全体の値動きは、日本郵政グループ上場だけでなく他に多くの要因が絡んでいるので、そこまで狙いに行かなくてもいいと思います」
●日本郵政グループ3社について
「上場日翌月末にあるTOPIXのリバランスまでは、値持ちすることを期待して買い増しスタンスで。逆張りが得意なら押し目で買い、順張りが得意なら新高値をつけたタイミングで買うといいでしょう。特に、上場日の夜にMSCIとFTSEへの採用が発表されたら、よりこの傾向が強く出るはずです。そして、TOPIXリバランス以降はいさぎよく手放すこと。松井証券の「プレミアム空売り」などの一般信用で空売り可能なら、それを試すのもアリです。個人的には、全体相場で狙っていくよりも、こちらの個別で狙っていくほうが勝てる可能性は高いと思います」
これら夕凪さんの分析は、あくまでも過去のデータを検証した結果出てきた傾向であって、不確定な要素も多い。しかし、投資判断を助けるひとつのアノマリーとしては、十分に参考になるだろう。
「今回の分析は、検証データ数が6銘柄とけっして十分な数ではありません。また、NTTと第一生命以外は秋のIPOであり、アノマリー的に株価が急落しやすい10月、11月を通過しているため、日経平均株価に季節性の影響が出た可能性もあります。それでも、MSCIやTOPIXといったインデックス組み入れのタイミングなどと合わせて考え、分析することで、それなりに説得力のある内容になったと思います」
日本郵政グループ3社の株式上場は、売り出し規模1兆~2兆円の大型IPOという、めったにない大イベントだ。新規公開株はもちろん、この相場変動の可能性をチャンスととらえ、今回のアノマリーを参考に狙ってみるのも面白いのではないだろうか。
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夕凪さん
(公式サイト:http://www.geocities.jp/yuunagi_dan/)
株式投資歴17年の個人投資家で、イベント投資の達人。これまでに「日経平均の入れ替えを狙う」「公募増資を狙う」「TOBを狙う」「四季報発売の時期を狙う」といった独自の投資法を開発し、資産を増やしている。現在、日本証券新聞で定期コラム「夕凪所長のイベント投資100%」を執筆。主な著作は『スタバ株は1月に買え!:10万円で始めるイベント投資入門』(東洋経済新報社)。
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【丸三証券のIPOの特長】 取扱銘柄はホームページ画面上で通知される。丸三証券配分予定単元数の10%を一律にコンピュータ抽選する。当選しなかった場合は、「ステージ抽選」の対象となる。ステージ抽選では、取引実績に応じてステージを設ける当選確率優遇サービスにより抽選が行われる。なお、ステージ抽選による配分は原則1人年間4回まで。 |
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【安藤証券のIPOの特長】 同社に配分される株数のうち、個人向け配分予定数量の10%以上が抽選となる。原則、1人の申込み数量の上限は5単元(ネット取引は1単元)、当選数量の上限は2単元(ネット取引は1単元)。抽選は、ネット取引以外の顧客の抽選申込み状況によって調整される。当選しなかった場合、ネット取引者以外による第二次抽選による配分が行われる。 |
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【むさし証券のIPOの特長】 ブックビルディングに参加するには、「トレジャーネット」の取引口座が必要となる。個人客への配分予定数量の10%以上が抽選となる。原則、1人の当選数量は最低単元株数となるが、最低単元株数の取得金額見込額などにより、配分数量の単元株数を変更されることがある。 |
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【内藤証券のIPOの特長】 出金余力の確認ができた有効申込株数に応じて、厳正かつ公正な抽選を行われる。 |
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※ 2015年9月10日時点で、岡三オンライン証券は取扱証券会社として公表されていないが、主幹事証券会社である岡三証券のグループ会社のため、取り扱いが予想される。 | ||||||
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【2024年11月1日時点】
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◆SMBC日興証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
19社 52社 |
24社 47社 |
26社 80社 |
10%:1人1票の平等抽選 最大5%:「ステージ別抽選」※1 |
345万 |
【ポイント】 大手証券の中でもIPOに力を入れており、例年、主幹事数・取り扱い銘柄数ともに全証券会社中でトップクラス! また、国内五大証券会社のひとつだけあり「日本郵政グループ3社」や「JR九州」「ソフトバンク」などの超大型IPOでは、主幹事証券の1社として名を連ねることも多い。10%分の同率抽選では、1人1単元しか申し込めないので資金量に関係なく誰でも同じ当選確率となっているのがメリット。さらに、2019年2月からは、預かり資産などによって当選確率が変わる「ステージ別抽選」がスタート。平等抽選に外れた人を対象にした追加抽選で、最高ランクの「プラチナ」だと1人25票が割り当てられて当選確率が大幅にアップする。 ※1 預かり資産残高などによって決まる「ステージ」ごとに、別途抽選票数が割り当てられる。 |
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【関連記事】 ◆【SMBC日興証券のおすすめポイントは?】信用取引完全無料、NISAや積立投資にも便利な株が小分けで買える「キンカブ」がおすすめ! ◆「日経テレコン」「会社四季報」が閲覧できる証券会社を解説! 利用料0円ながら、紙媒体では読めない独自記事や先行情報を掲載し、記事の検索機能も充実 |
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◆SBI証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
21社 91社 |
13社 89社 |
21社 122社 |
60%:1単元1票の平等抽選 30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分 10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分 |
1245万 ※ |
【ポイント】 ネット証券にもかかわらず、主幹事数、取扱銘柄数ともに大手証券会社に引けをとらない実績を誇る。特に取扱銘柄数がダントツで、2023年は全96社中91社と約95%のIPO銘柄を取り扱った。つまり、SBI証券の口座さえ持っていれば、ほとんどのIPO銘柄に申し込めると考えていいだろう。個人投資家への配分の100%がネット投資家へ配分されるのも魅力。1単元1票の抽選なので、多くの単元を申し込むほど当選確率は高くなる。当選確率がアップする「IPOチャレンジポイント」が、資金量・取引量と関係なく、IPOに申し込み続ければ誰にでも貯められるのもメリットだ。また、スマートフォン専用サイトでIPOの申し込みや情報確認ができるのも便利。 ※SBIネオトレード証券、FOLIOの口座数を含んだSBIグループ全体の口座数。 |
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※ 主幹事数、取扱銘柄数はREITを除く。口座数は2023年12月末時点。 |