上海株が下げ止まりません。3日の上海総合指数終値は前週末比40.821ポイント(1.11%)安の3622.905ポイントと、7月8日の3507.192ポイント以来約4週間ぶりの安値水準でした。
上海株は6月12日に約7年5カ月ぶりの高値を付けてから急落し、7月8日までの約1カ月で3割超も下落しました。この相場急落への対応として、中国政府は先進国では到底考えられない強引な株の買い支え策を連発しましたし、今も継続しています。例えば、7月31日には、米ヘッジファンド、シタデル・インベストメント・グループの子会社を含む24口座を停止したり、違法な先物取引を提供した疑いで7人を逮捕したことが発表されました・・・。しかし、結局、3日、「上海株はお里帰り」してしまいました。
英調査会社マークイットが3日発表した7月の財新中国製造業購買担当者景気指数(PMI)確報値は前月比1.6ポイント低下の47.8と、速報値からは0.4ポイント下方修正され、2013年7月以来、2年ぶりの低水準となりました。足元の中国株急落が企業マインドを冷やした影響が出たと指摘されています。なお、上海をはじめとした中国株については、これからも中国政策当局が形振り構わず対策を繰り出すはずなので、短期的には心配していません。
「官製相場」では小型株を買ってはいけない
中国及びギリシャ絡みの悪材料を日経平均株価は7月9日の1万9115.20円(1番底)及び、7月28日の2万70.62円(2番底)で織り込み済みとの認識です。
このネックラインが7月21日の2万850.00円です。このネックラインを上抜けて、9月~10月にかけ、上昇を加速させるというのがメインシナリオです。郵政グループ3社(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)の株式が今秋にも東証に上場される予定です。この郵政グループ3社上場までは相場は堅調さを維持する可能性が高いというのが、私の現在の相場観です。
仮にそういう相場になるなら、日銀マネー、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、3共済(地共連、国共連、私学共済)、ゆうちょ銀・かんぽ生命マネーなど、いわゆる「クジラ」が主たる買い主体となる、いわゆる「官製相場」の色彩が一段と強くなる公算です。
もしかしたら、新興市場や、東証1部や2部上場の時価総額が小さく、「クジラ」の買いが期待し難い小型株はダメダメで、日経平均株価やTOPIXへの寄与度の大きい値嵩株と、時価総額上位の銘柄群だけが上がる相場になるかも知れません。よって、当面はあなたの投資資金は、「クジラ」の買いが期待できる値嵩株や大型株にシフトしておくべきでしょう。
ブル型ETFと銀行・証券株を狙え
私は、郵政グループ3社上場までは全員参加型の上昇相場が実現するとみており、その際に狙うべきは、株価指数の値動き2倍の「ブル型・レバレッジ型ETF」、メガバンクをメインにした銀行と証券セクターだと思っています。
<主なブル型・レバレッジ型ETF>
*銘柄名をクリックすると詳細がご覧になれます(SBI証券のサイトに移動します)
・上場インデックスファンド日経レバレッジ指数(1358)
・ダイワ上場投信-日経平均レバレッジ・インデックス(1365)
・ダイワ上場投信-TOPIXレバレッジ(2倍)指数(1367)
・TOPIXブル2倍上場投信(1568)
・NEXT FUNDS日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(1570)
・日経平均ブル2倍上場投信(1579)
まず、上場企業の2015年4~6月期決算は、7月31日までに発表を終えた企業のうち7割が前年同期比で経常増益となりました。自動車や電機大手は北米需要の拡大と円安が追い風となり、一方、小売りなど内需企業は訪日客によるインバウンド消費が大きく寄与しました。この足元業績の好調さが、日経平均株価の下値を力強く支えるのみならず、力強く押し上げる要因となるはずです。
次に銀行株については、三菱UFJ FG(8306)、三井住友FG(8316)、みずほフィナンシャルG(8411)、りそなホールディングス(8308)、三井住友トラストHD(8309)の大手銀行5グループの15年4~6月期の連結最終利益は5グループの合計で前年同期比11.2%増の7995億円でした。5大銀すべてが増益でした。3メガ銀を中心に海外事業が収益を伸ばし、持ち合い株の削減に伴う株式の売却益が高収益に寄与しました。
この決算を受け、一部外資系証券は、「高進捗率の三井住友FG(35%)、三菱UFJ FG(29%)、りそな(31%)、あおぞら(29%)、静岡(43%)が想定以上。みずほ(25%)が想定線の水準。銀行セクター全体として好調なスタートをきったといえよう。」とポジティブに評価しているそうです。
大手証券会社2社の業績も好調
そして、証券株については、主要証券20社の15年4~6月期決算では、16社の純利益が前年同期比で増加しました。日経平均株価が6月に18年半ぶりの高値を付けるなど活況だったことで、株式売買手数料収入や、投資信託の残高に応じて得られる信託報酬が増加しました。また、信用取引残高が拡大したり、顧客が運用を一任するラップ口座が伸びました。
とりわけ、大手2社に関しては、投資信託などの残高も伸び、顧客預かり資産は両社とも過去最高を更新しました。
野村ホールディングス(8604)の2016年3月期第1四半期の収益合計(金融費用控除後)は前年同期比14.3%増の4240億円、金融費用以外の費用は同0.4%減の3180億円、税引前当期純利益は1060億円、当社株主に帰属する四半期純利益純利益(米国会計基準)は前年同四半期比246.1%増の687.42億円でした。
また、大和証券G本社(8601)の2016年3月期第1四半期の営業収益は同28.7%増の1913.89億円、純営業収益は同26.3%増の1546.63億円、営業利益は同72.1%増の590.88億円、経常利益は同59.0%増の631.13億、親会社株主に帰属する四半期純利益は同30.4%増の448.36億円でした。
以上みてきたように、日経平均株価を構成する主力の電機・自動車株の業績も、私の注目する銀行・証券セクターの業績も絶好調です。よって、安心して買えるし、中期で持てるはず。(笑)
なお、足元の日本株のもたつきは、TPP交渉が大筋妥結できなかったことが大きく影響しているとみています。しかし、菅官房長官は、「残された論点を各国が持ち帰った上で早期に閣僚会合を開く。(次回会合は)8月末までが各国共通の認識だ」と述べたと伝わっています。つまり、今月末には大筋合意できる可能性が十分残っており、市場もそれについては、情勢が大きく変化するような報道が出ない限りは、楽観視する公算が大きそうです。
【参考記事】
◎日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険のIPO(新規上場)で日経平均株価は下落する? イベント投資の達人が大型IPO前後の動きを分析!
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