日経平均株価は戻り歩調です。
6日前場の日経平均株価は一時1万8372.72円を付けました。9月29日の安値1万6901.49円から1471.23円(8.70%)上昇しました。これは、米利上げ先送り観測の強まりで米国株が堅調になったことに加え、日銀による追加金融緩和期待も高まり、多くの投資家がリスクオフからオンにスイッチを入れ直し、日本株を買い戻す動きが強まったためです。また、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する日米など12カ国が5日、閣僚会合後に共同記者会見して大筋合意に達したと発表したことも強烈な追い風になりました。
冴えない雇用統計が利上げを遠のけ
結果的にダウは大きく持ち直した
9月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が14.2万人増と、市場予想の20.3万人増を大きく下回り、7、8月の数字も下方修正されました。雇用回復の目安とされる20万人に2カ月連続で届きませんでした。
この発表を受け、当日の米国株式市場は乱高下しました。NYダウは一時は前日比258.35ドル安の1万6013.66ドルまで売り込まれましたが、結局、終値は200.36ドル高の1万6472.37ドルでした。雇用統計が大幅に下振れしたことで、米経済への懸念が広がり、取引時間の早い段階ではダウは大幅に下がりました。
しかし、この冴えない雇用統計で、FRBの12月利上げの確率は、発表前の44%から27%強へ下がりました。これが好感される格好で、エネルギーや素材株が買い直され、取引終盤にかけてダウは大きく持ち直したのです。
11月18~19日の金融政策決定会合で
「黒田バズーカ第3弾発射」もありうる
一方、日本では、GDPの構成項目である輸出や設備投資に関連が深い鉱工業生産が大幅に低下しているため、7~9月期のGDP伸び率が2期連続のマイナスになるとの見方が強まっています。2期連続のマイナス成長となれば、景気後退局面入り懸念が強まります。だから、政府・日銀による経済対策への期待が必然的に高まりました。
まずは、10月6日(火)・7日(水)での金融政策決定会合での「追加緩和」期待が市場で盛り上がっています。とりわけ今回は、安倍首相が7日に内閣改造を行う予定のため、この日程に合わせた、アベクロコンビによる、「黒田バズーカ第3弾発射」を期待する人が多いようです。
なお、その後の年内の政策決定会合は、10月30日(金)、11月18日(水)・19日(木)、12月17日(木)・18日(金)に予定されています。仮に、6日・7日に緩和がなかった場合でも、それぞれの会合前に追加緩和期待が盛り上がるパターンが続くでしょう。
ちなみに、7~9月期の実質GDP速報の発表は11月16日です。もしかしたら、「2期連続マイナス成長」を受け、政府の景気判断下方修正と補正予算策定、それを受け、日銀が11月18~19日の会合で「黒田バズーカ第3弾発射」というシナリオもありそうです。
「下げ止まったという確信に近い期待感」
が抱けるようになった
なお、日経平均株価は9月29日安値を起点にそれなりに戻しましたが、投資環境が劇的に改善したわけではありません。むしろ、内外共に、景気減速懸念が強まり投資環境が悪化しました。しかしながら、逆にこれで政策発動期待が高まりました。これが足元の株高の要因です。
「足元の経済は好調で利上げは秒読み」とみられていた米国では、利上げが先送りされました。7~9月期は回復するとみられていた日本も2期連続マイナス成長の見通しで、日銀は10月30日に公表する経済・物価情勢の展望で、消費者物価上昇率及び実質経済成長率の見通しを引き下げるとみられています。
東京株式市場では、6日前場までの相場上昇で、売り方・買い方の均衡点に戻ったことは事実です。このため、9月29日の1万6901.49円が当面の底値(1番底)になったとの前提で投資戦略が練れる状況になりました。
セオリー通りなら、目先ネックラインを形成後、2番底を付けにいくことでしょう。一方、200日移動平均線(6日前場現在1万9113.57円)を上回るまでは、安心して株を保有したまま寝れる状況ではないことも事実です。現時点では、中期的に強気スタンスに転換することは無理でも、買い場を探ることが可能な状況に変化したとの認識です。
どうやら、売り方が一方的に買い方に対して、殴る蹴るの暴行を続ける局面は終わったとみてよさそうです。ただし、買い方も、ここまでの相場下落で気力・体力が落ちていることも事実です。そう簡単に、買い方の気力・体力が回復することはないでしょう。それでも、9月下旬のように下値がみえなくなるような状況ではなく、「下げ止まったという確信に近い期待感」が抱けるようになったため、時間の経過と共に気力・体力が回復するはずです。
よって、コマンドは、「いのちだいじに」は解除して大丈夫です。「みんながんばれ」に変更ですね。「戻りは売り、節目を割れても売り」という局面から「高値は買う必要はないけど、押し目は買い」の局面に変化したとみています。
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