日経平均株価は9日に1万8438.67円まで上昇しました。9月29日の1万6901.49円から1537.18円(9.09%)の上昇です。
この背景は、米利上げ先送り観測の強まりで金融緩和状態が長期化するとの期待が高まったことです。このため、米国株のみならず、原油価格など商品価格が堅調になりました。
一方、国内では、冴えないマクロ指標が相次いでいるため、日銀による追加金融緩和期待も高まりました。さらに、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が大筋合意に達したことも強烈な追い風になりました。また8日、国慶節(建国記念日)に伴う7連休が明けて、上海株式市場は売買を再開しました。連休中の海外株が好調だったため、上海株も堅調だったことも日本株の上昇に寄与しました。
日本株が上にいくのか下にいくのかは五分五分
前回も当欄で指摘しましたが、世界的に、株式市場では、売り方が一方的に買い方に対して、殴る蹴るの暴行を続ける局面は終わったとみています。しかしながら、それまでの相場急落で、買い方の気力・体力も落ちて込んだままです。このため、そう簡単に、買い方の気力・体力が回復することはないでしょう。
ただし、時間の経過と共に買い方の気力・体力が回復するはずです。実際、私の周りの投資家も、「9月29日からの戻りは嬉しいけど、あまり上手く乗れていない。」「半信半疑で、腰を据えて買えていない。」「指数は戻っているけど、自分の持ってる銘柄は全く戻っていない。」「また近いうちに、ドスンとくるんじゃないの?」という声が大半です。
目先の日経平均株価に関しては、25日移動平均線(12日現在1万7972.66円)が下値の生命線です。これを割り込むと、下値不安が強まり、2番底形成の可能性が高まるでしょう。
一方、9月9日の1万8770.51円は上値の関門とみています。これを上抜けると、売り方の買い戻しが加速し、まずは200日移動平均線(同1万9129.00円)を目指すと考えます。現状、どちらに向かうかは五分五分とみています。正直わかりません。
ですが、上でも下でも、抜けたらその方向につくべきでしょう。特に、下抜けた場合は、空売りや先物ショート、プット買い等で、ヘッジするべきです。25日移動平均線割れが恒常化したら、再び、「売り方が一方的に買い方に対して、殴る蹴るの暴行を続ける局面」が到来する可能性が高まるからです。
黒田バズーカ第3弾までは様子見が続く可能性が高い
こんな状況ですから、日経平均株価が1万8000円大台を回復しても、なんか盛り上げりに欠ける相場が続いています。もちろん、9月29日までのような「総悲観」状態ではありません。あの「陰の極」からはムードは大幅に改善しています。
しかし、上値に置いてある売り物をバクバク食う動きは乏しく、買っているのは、涙目の売り方の買い戻しが大半という印象です。中長期スタンスの買いは、公的資金くらいしか見当たりません。そして、物色の柱になるようなテーマも見当たりません。イメージとしては、今日の値上がり率上位は、明日の値下がり率上位になるという感じで、人気銘柄の入れ替わりが激しく、とても、宵越しで人気株を持ちにくい相場なのです。これでは相場の救世主になるようなシンボル・ストックが生まれることはなさそうです。
現状のようなもたついた相場は、10月30日(金)の次回の日銀の政策決定会合まで続くかもしれないと覚悟しています。
ここで、黒田バズーカ第3弾が打ち出されるとの期待が相場を支える一方、本格化する主力企業の決算内容を見極めたいとのムードから、上値を積極的に買うことも期待しにくいと考えるからです。
それでも、国内要因とは別で、外部環境が劇的に変化すれば話は別です。日本は世界の景気敏感株で、高流動性を誇ります。外部環境の変化を受けて、外国人投資家が買いに動けば先高観が強まり、急騰するでしょう。一方、彼らが売りに動けば先安観が強まり、急落することでしょう。そして、その鍵は、米国経済と中国経済の先行きが握っています。
当面は人気銘柄の「飛び乗り飛び降り」で小銭を稼げ
今のような相場では、なかなか中長期スタンスで株式は買えません。相場水準がいかにも中途半端だからです。
よって、戦略は、ボクシングの「ヒットアンドアウェイ」ですね。とにかく、値幅を狙わず、コマメに利益確定を繰り返す。回転率を上げて、基本、持ち越しはしない。その日、その日の物色状況を見極め、短期資金が集まっている銘柄にだけ、資金を投入する。間違っても、今は人気がなく、商いが乏しく、株価が底値にあるような銘柄は弄るべきじゃないでしょう。
とにかく、人気銘柄の「飛び乗り飛び降り」で小銭を稼ぎ、「塵も積もれば山となる」を心掛けた戦略が、目先は有効と考えます。
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