ケンブリッジ・アナリティカの起こした問題で
フェイスブック株が急落
3月16日(金)の引け後、フェイスブック(ティッカーシンボル:FB)が「英国のデータ・マイニングならびにデータ解析企業、ケンブリッジ・アナリティカをフェイスブックから追放する」と発表しました。その理由は、ケンブリッジ・アナリティカが約束通りキャンペーン終了後に顧客データを消去してなかったことが発覚したからです。
これはフェイスブックの問題ではなく、フェイスブックの顧客であるケンブリッジ・アナリティカが起こした問題です。しかし、ちゃんと監視してなかったということでフェイスブックにユーザーや投資家の批判が集まりました。
その結果、フェイスブックの株は3月16日の引け値185.09ドルから、1週間で$159.39まで-13.9%の急落を演じました。
フェイスブック(FB)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます。
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フェイスブックが短期間にこれほど下げることは極めて珍しく、これは絶好の買い場だと思います。
ケンブリッジ・アナリティカは
ビッグデータを活用したコンサル会社
ケンブリッジ・アナリティカは、ケンブリッジ大学の計量心理学研究所のメンバーが立ち上げた、ビッグデータに基づくコンサルタント会社です。心理学的属性分析を得意としています。
そこでは、下の図のように個人のパーソナリティーを5つの属性に分類します。
冒険心(Openness)=知的好奇心に満ちているか?
念入りさ(Conscientiousness)=計画性、頑固さ、だらしなさ
社交性(Extraversion)=人懐っこさ、目立ちたがり屋
愛想の良さ(Agreeableness)=同情しやすい、協力しやすい、騙されやすい
神経質さ(Neuroticism)=怒り、不安、落ち込みを感じやすい
伝統的に、マーケッターは人種、年齢、住んでいる場所、所得、学歴などの大雑把な属性に基づきマーケティング・キャンペーンを展開してきました。
しかし、ケンブリッジ・アナリティカは「そういう伝統的な切り口でキャンペーンを張っても効果は薄い」と批判し、「いまはビッグデータをフル活用できるのだから、それを使って個々の個人の心理学的属性をしっかり割り出し、それに基づいて個人をターゲットにしたピンポイントの訴求を心がけた方が効果的だ」と主張しました。
たとえば、神経質(Neurotic)なフェイスブック・ユーザーには、わざと怒りや不安を煽るようなフェイク・ニュース(嘘のニュース)を流すことで、本人の意見形成に働きかけることができるということです。
これは、新製品のマーケティングにはパワフルなツールですが、ひとつ間違えば印象操作により選挙の投票行動に働きかけるなど、民主主義を根底から揺るがすような悪用に使われてしまうリスクがあります。
実際、ケンブリッジ・アナリティカは、英国のEU離脱の是非を問う国民投票(=いわゆるブレグジット)や米国の大統領選挙にも影響を及ぼした疑惑がかけられています。
ケンブリッジ・アナリティカに対する
フェイスブックの対応は?
フェイスブックは、2014年にケンブリッジ・アナリティカに対して、フェイスブック上でアンケート・キャンペーンを展開することを許可しました。しかし、その後、この案件に対し不安を抱き、キャンペーンを終了すると同時に「キャンペーンで得た個人情報を削除してください」とケンブリッジ・アナリティカにリクエストしました。
しかし、ケンブリッジ・アナリティカは、フェイスブックに「消去しました」と虚偽の報告をし、データを使い続けたのです。
先週、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは、フェイスブック上でこの件に関し謝罪するとともに、その後の対応について説明しました。また今後、英米の議会の公聴会にも出頭し説明を行う予定です。
現在のフェイスブックは
バリュエーション的に非常に割安
ここまでの説明で分かるように、今回の事件は、フェイスブックが個人情報を悪用したのではなく、フェイスブックの顧客が悪意に満ちた世論操作を行いました。しかし、ユーザーの個人情報の保護がおろそかであり、結果としてユーザーの信頼を裏切ってしまったという意味でフェイスブックにとって大きな失点だったと思います。
一部のユーザーや広告主は、これを機会にフェイスブックを離れてゆくことが予想されます。
しかし大部分のユーザーは、今後もフェイスブックを使い続けるでしょうし、広告主も心理学的属性分析によるマーケティング・キャンペーンの威力への認識を新たにし、逆にフェイスブックの活用を増やすところも出ると予想されます。
フェイスブックの業績は、下のチャートに見る通りピカピカです。

2018年のコンセンサスEPS予想は7ドル35セントであり、株価収益率(PER)は21.7倍です。去年から今年にかけてのEPS成長率は+36%なので、現在のバリュエーションはとても割安だと言えます。
【今週のまとめ】
悪影響は一過性のものであり
今はフェイスブック株を仕込む絶好のチャンス!
先週、フェイスブックは数年に一度あるかないかという急落を演じました。それはフェイスブックの顧客であるイギリスのコンサルティング会社の向こう見ずなマーケティング・キャンペーンが原因です。フェイスブックは既に個人情報の保護を強化し、法人顧客の監視を強めています。
今回の事件で、ある程度の風評被害は避けられないものの、悪影響は一過性のものだと思います。フェイスブックの業績は非の打ちどころの無い素晴らしい内容で、このような優良株を安く仕込めるチャンスは滅多にありません。
ここはガッツリとフェイスブック株を仕込むチャンスだと思います。
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