世界投資へのパスポート
2018年10月9日公開(2018年10月9日更新)
バックナンバー 著者・コラム紹介
広瀬 隆雄

今週IPOする「ライベント」は、EV(電気自動車)に
欠かせない高品質リチウムの生産におけるリーダー的
企業! EVの成長ストーリーを買いたい人は要注目!

急速な成長が見込まれるEV(電気自動車)には
バッテリー用に多くのリチウムが必要

 去年世界では120万台のEV(電気自動車)が販売されました。10年後の2027年にはその16.3倍の年間1960万台、そして2040年には50.2倍の年間6020万台ものEVが販売されると見込まれています。その時点で、世界で売れる車の半分以上がEVになると言われています。

 EVはバッテリーを必要とします。そして、バッテリーには沢山のリチウムが必要になります。リチウムはあらゆる金属の中で最も軽く、エネルギー密度が高いです。そのような特性は、バッテリーの素材としてリチウムが適していることを示唆しています。

 このようなことからリチウムの市場は、2017年から2027年までに年率+15.3%で成長し、現在の4倍になると見込まれています。

世界で採れるリチウムは
「塩水のリチウム」と「岩石のリチウム」の2種類

 リチウムは自然界に存在する形状によって、2つに分けることが出来ます。ひとつは塩水のリチウム、もうひとつは岩石のリチウムです。

 塩水の形で存在するリチウムは南アメリカのアンデス山脈の奥深く、アルゼンチン、ボリビア、チリの3国にまたがる地域に分布しています。ここは「リチウム・トライアングル」と呼ばれています。世界のリチウムの実に50%がここに存在しています。

 そこでは、リチウムを含む塩水を先ず地下からポンプで汲み上げ、それを天日で乾燥させます。これは、ロー・コストで自然に優しい生産方式です。その反面、ゆっくり天日で乾かすので、とても時間がかかります。普通、リチウムの生産を決定してから出荷するまでに、4年もの歳月を要すると言われています。

一方、岩石の形で存在するリチウムは、オーストラリア、カナダ、中国に分布しています。

 こちらのリチウムは、岩石と混じり合った形で存在しています。したがって、リチウム鉱山は露天掘りの構造をしており、巨大な削岩機を使用します。大がかりな機械を使い岩石を切り出し、トラックで運び、それを粉砕し、リチウムだけを選り分けます。この作業はとても資本集約的です。また品質的にも低品質です。

品質の高い「塩水のリチウム」を生産できるのは
アルゼンチン、ボリビア、チリの3カ国だけ

 自動車メーカー各社がEVを開発するにあたり、カギを握るパフォーマンス尺度は「1回の充電でどれだけ走れるか?」です。走行距離を決定するのは、バッテリーの効率の優劣です。だから各メーカーとも、しのぎを削ってハイ・パフォーマンスのバッテリーの開発を行っています。

 岩石のリチウムは品質が悪く、ハイ・パフォーマンスのバッテリー開発に向きません。塩水のリチウムのみが、将来に渡ってパフォーマンスの向上が見込まれる原料になります。このため、実質的にはアルゼンチン、ボリビア、チリの3国だけがEV向けリチウムを提供できる国だと言えます。

ハイ・パフォーマンス・リチウムを生産できる企業の中でも
もっとも期待できるのが「ライベント」

 このハイ・パフォーマンス・リチウムを生産できる企業は、ライベント(ティッカーシンボル:LTHM)、アルベマール(ティッカーシンボル:ALB)、SQM(ティッカーシンボル:SQM)の3社のみです。その中でも、ライベントとアルベマールの2社が、特にハイ・パフォーマンス・リチウムで有利な位置につけています。

 アルベマールは、リチウム専業というわけではなくファイン・ケミカルや触媒などの事業も展開しているため、EVのストーリーを買うのならリチウムだけを扱うライベントに投資する方が良いと思います。

「ライベント」の業績は好調!
10月10日にはニューヨーク証券取引所に上場

 ライベントは、リチウムの業者の中では最もロー・コストです。ライベントの過去12カ月の売上高は4.18億ドルで、2016年から2018年第2四半期にかけて売上高は年率+36%で成長しました。

 ライベントの修正EBITDAマージンは42%で、収益性は問題ないと思います。

 ライベントの売上高の88%がパフォーマンス・リチウム・コンパウンドから成っており、付加価値の低い製品は殆ど生産していません。

 ライベントの売上高のうち、60%は長期契約となっています。また、新しくリチウムの生産キャパシティを増やす場合、まず顧客と長期供給契約を交わした後、開発に着手します。

 ライベントは、これまでFMCコーポレーション(ティッカーシンボル:FMC)の一部門でしたが、別会社としてスピンオフされます。そこで2018年10月10日頃にニューヨーク証券取引所に新規株式公開(IPO)されます。今回発行株数は2000万株、価格レンジは18~20ドル、ディール後の発行済み株式数は1.43億株になる見込みです。

【今週まとめ】
今後起こりうる「リチウム争奪戦」を踏まえ
「ライベント」の成長に期待!

 EVは今後急速に普及し、2040年までには世界で販売される車の50%がEVになるだろうと見られています。

 EVの性能のなかでも特に重視されるのが、「1回の充電でどれだけ遠くまで走れるか?」の走行距離であり、それを向上させるにはバッテリーの性能の改善が必須となります。バッテリーのパフォーマンスを上げるには、高品質のリチウムを使う必要があります。

 高品質のリチウムを提供できる企業の中でも、特にライベントはリーダー的企業です。今年10月10日頃にIPOするので、ぜひ注目したいところです。

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