2019年の日本株は、終わってみればいい相場でした。
日経平均株価は、2018年12月26日の1万8948.58円で底打ち、年初からこれを1回も割り込むことなく推移しました。その後、4月24日の2万2362.92円でいったんピークアウトし、調整入りしました。この調整は8月まで続き、8月6日の2万0110.76円でようやく底打ちしました。その後、8月中は冴えない動きでしたが、9月に入ると上昇ピッチが加速し、10月29日には遂に2万3000円大台を回復するにいたったのです。そして、12月17日は年初来高値の2万4091.12円をつけ、2万4000円大台をも回復する場面がありました。
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2019年年初から4月末まで日経平均株価が上昇したのは、
FRBのスタンスの転換が要因
2018年12月26日に底打ちした後、4月24日まで上昇した主因は、FRBのスタンスの転換です。
FRBは、2018年12月19日のFOMCで年4回目の利上げを決めました。しかし、利上げシナリオは、2019年の想定ペースを従来の3回から2回に引き下げられました。そして、2019年1月4日にパウエル議長は、世界的な株安を受けて「金融政策を柔軟に見直す」と講演で述べ、それまでの「タカ派的なスタンス」から「ハト派」に転換して、引き締めに動揺する市場の火消しを優先したのです。
これが奏功し、株式市場は安心感を強めました。その結果、日経平均株価の昨年12月26日を起点とした上昇は、4月24日まで続いたのです。
4月末から8月まで米中貿易摩擦により下落したものの、
米欧の金融緩和強化により力強く反転上昇!
その後、8月まで日経平均株価が調整した主因は、米中貿易摩擦(戦争)の激化による世界的な景気・経済・企業収益への悪影響に対する懸念が強まったことでした。
例えば、米国は5月10日に、2000億ドル分の中国製品の追加関税率を10%から25%に引き上げました。これに対して中国も報復措置を検討し、米中貿易戦争は互いの輸入品すべてに制裁関税を課す泥沼状態に陥る危険を、市場は織り込みにいったのです。
実際、国際通貨基金(IMF)は5月23日、米中の貿易戦争が激化すれば、世界の経済成長率が0.3ポイント下振れするとの試算を示しました。IMFは輸入関税の引き上げは、個人消費を下振れさせ、企業や投資家の心理を萎えさせ、結果、設備投資や株式投資は落ち込むと分析したのです。
このような状況下、「市場マインド悪化 ⇒ 株式市場下落 ⇒ 売りが売りを呼ぶ展開」という負のスパイラルに歯止めを掛けたのは、やはり金融政策でした。
まず、FRBは、米中貿易戦争の激化による米国景気の悪化を警戒し、7月に10年半ぶりの利下げを決断したのです。その後、FRBは3会合連続で政策金利を引き下げました。また、ECBは9月12日、3年半ぶりとなる政策金利の利下げや、昨年末に終了した量的金融緩和策の11月1日の再開を決定したのです。
この米欧の中央銀行の金融緩和強化が、再び投資家のマインドにポジティブに作用しました。つまり、FRBの利下げ再開で負のスパイラルに歯止めが掛かり、ECBの政策転換で市場マインドが強気転換して株式市場が力強く反転上昇したとみています。
その後、日米株式市場は順調に推移しています。買い方にとって地獄のような下げ相場になった昨年とはまったく逆の天国のような相場になりました。
2019年後半は、日経平均株価だけではなく
日経ジャスダック平均株価も堅調に推移
ちなみに、昨年の日経平均株価は10月2日に2万4448.07円で年初来高値をつけた後、12月26日の1万8948.58円まで急落しました。僅か3カ月弱で下落幅5499.27円、下落率22.49%を記録しました。
株価指数がここまで短期間で急落しても、現物のみで運用している投資家なら耐えられます。しかしながら、信用取引や先物・オプションなどを駆使してレバレッジを掛けている投資家で、市場のトレンドに曲がったポジションを抱え、かつ、早めの損切りをできなかった方は、簡単に死ねます。
例えば私の友人は、10月2日の運用資産2億8000万円が、その2週間後にはたった8000万円になったそうです。その彼は「タワマン2戸分、飛ばした」と言っていました。
一方、今年の同じ期間の日経平均株価は、10月2日の高値2万1795.01円、12月26日の安値2万3775.40円でした。上昇幅1980.39円、上昇率9.09%と、今年の10月~12月相場は非常に良好でした。
なお、この間の日経平均株価が強かったことよりも、短期売買を好む個人投資家にとっては、日経ジャスダック平均株価が非常に強い動きを続けたことが、ありがたかったと思います。足元でも日経ジャスダック平均株価は堅調で、12月27日まで4日連続で年初来高値を更新しています。一部報道では、「老舗で業績が安定していながら、PER(株価収益率)が相対的に低いこと」が、堅調なジャスダック銘柄の共通点だそうです。
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ちなみに、8月29日の日経ジャスダック平均株価は3279.84円でした。これが12月27日には3825.46円まで上昇しました。上昇幅545.62円、上昇率16.64%です。この間、日経ジャスダック平均株価は、綺麗な右肩上がりのチャートを形成しています。
また、急騰をしているわけではなく、ジリジリと緩やかに上昇しているため、例えば、25日移動平均線との低乖離率を維持しています。このため、過熱感をまったく感じさません。同時に、 25日移動平均線と75日移動平均線、200日移動平均線の3つが綺麗に右肩上がりに並ぶ「パーフェクトオーダー」状態となっています。つまり、短期・中期・長期の上昇トレンドが明確に発生しています。
このような状況下、私の知り合いのうち数人は、運用資金を年初から2倍、3倍、そして6倍などにしたようです。昨年とは本当に様変わりでした。
ところで、ジャスダック市場の12月27日時点の予想PERは21.06倍です。ジャスダック市場に上場している企業群の成長性を加味すると、特に割高感はないと考えます。このため、バリュエーション面からも、来年もジャスダック市場に個人マネーの流入が期待できるとみています。
2020年1月の日経平均株価は、
2019年後半と同じく堅調に推移すると予測
一方、来年2020年の日経平均株価についても、日本の正月休み中、米中貿易協議の「第1段階」の署名を巡る楽観が変化すれば話は別ですが、そうではない限り、1月の日経平均株価も2019年後半と同じく堅調に推移すると考えています。
また、日本に関しては、政府が12月5日、国や地方からの財政支出が13.2兆円、民間の支出を加えた事業規模が26兆円となる大型の経済対策を閣議決定しました。このため、景気腰折れリスクは大幅に低下しています。これは当然、米中が貿易問題で再び揉めたとしても、日経平均株価の下落余地を縮小させる効果が期待できるはずです。
以上のことから、正月休みは6日間と長いですが、当コラムの読者の皆様には、日本株の「1月のロケットスタート」を期待して、今年は敢えて「株を枕に年を越す」戦略をおすすめします。
年の瀬を迎え、当コラムをお読みいただいている皆さまにおかれましては、ご多忙のことと存じますが、くれぐれもご自愛のほどお祈り申し上げます。来年も皆さまに向けて、私なりの相場観や市場情報を発信し続けてまいりたいと考えております。本年もご愛読賜りまして、誠にありがとうございました。また、来年も、何卒よろしくお願い申し上げます。
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