闇株新聞[2018年]

不自然なほど手厚く保護される「東芝(6502)」。命運を握るカギは「日米原子力協定」にあった!闇株新聞が切り込む「東芝」の闇

2017年1月26日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
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東芝(6502)が米原発建設を巡り最大7000億円規模の損失を出す見込みとなりました。経済のプロも愛読する刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』では2015年9月から、東芝の闇ついて取り上げてきました。問題がありすぎ焦点が絞りづらいのですが、最大の癌は原発事業にあります。どれだけ悪質な隠蔽をしても絶対に刑事事件化されない背景を探っていくと「日米原子力協定」の存在に辿り着きます。政府、官邸、経済産業省、捜査当局、東証が、不自然なまでに東芝を守るのはこのためだった!

このままでは債務超過は避けられない
早急な増資か半導体事業の売却が必要

 本紙では2015年9月7日の合計2248億円(その後2度にわたり2311億円まで増額)の「不適切会計」から、2016年3月期の最終巨額損失の実態、子会社ウエスティングハウス(以下WH)が買収したCB&Iストーン・アンド・ウエブスター(以下S&W)ののれん計上に伴う原爆級巨額損失の可能性などを解説してきました。

参考記事:
福島原発処理が21兆5000億円に増大!? 東京電力がやっぱりえらいことになっていた(2016年12月23日)
美濃加茂市長、まさかの「逆転有罪」で、東芝不正会計の刑事事件化が消えた理由(2016年12月2日)
巨額粉飾事件? 東芝が新たな利益水増しを発表。わずか58億円の自主的発表に違和感あり(2016年3月24日)
東芝に原発事業にも巨額隠し損失が発覚!それでも「名門企業だから刑事事件にならない」のか?(2015年12月10日)
ライブドアとどこが違う? 東芝の「不適切会計」粉飾決算がなぜ「不適切会計」になったのか?(2015年9月22日)

 ここまで不正に手を染め事実を隠蔽しても、歴代トップを含む東芝の刑事責任が追及されることはありません。それは東芝が、日本政府、官邸、経済産業省、捜査当局、東証などオール日本で手厚く保護されているからです。

 東芝の自己資本は現在、営業利益や円安による資産増加を勘案してもせいぜい5000億円程度しかなく、2017年3月期は完全に債務超過に陥ります。そうなれば財務制限条項に抵触し、1.4兆円を超える長短借入金の大半が期限の利益を喪失します(つまり繰上げ返済を求められる)。

 この期に及んでは、増資や虎の子の半導体事業の切り売りしかありません。3月末あるいは有価証券報告書提出期限の6月末までには、何がなんでも自己資本をプラスに持って行かなければならないからです。

 東証は東芝を「特設注意市場銘柄」に指定しており、このままだと増資ができないとか3月には監理ポストに割り当てられるといった懸念もあります。そうなればなったで東証がまたも「手厚い保護」を適用するのでしょうが、上場維持と増資の引受先が現れるかどうかは別問題です。

S&W買収は時間稼ぎのためだった
今度こそ東芝の存続が危うくなる!

 あとでわかったことですが、WHは以前からS&Wとの間に原子力発電所建設の工事遅れなどを巡る複数の係争を抱えていました。そこで東芝とWHは係争相手のS&Wを買収してしまうという「奇策」に出たわけです。しかし、それで将来の損失が消えるわけではありません。補償は外部に支払うものだからです。

 冷静に考えると東芝とWHがS&Wを買収した2015年12月とは、東芝が2016年3月期決算におけるWHの減損を頑として認めず抵抗していた時期です。その時点でS&W関連の損失が加わっていれば、さらに大きな減損が避けられなかったはずです。つまり東芝は2016年3月期で大幅な債務超過に陥っていたことになります。

 そこでS&Wをそっと買収して「資産精査期間の1年間」だけ時間稼ぎをしたのです。別の言い方をすれば「隠した」わけです。それでもこれまで同様に事件化されることはないのでしょうが、今度こそ東芝の存続は危うくなります。

官民が東芝を不自然に保護するのは
「日米原子力協定」に理由があった

 そもそも東芝が2005年に「すでに死に体」となっていたWHを高値で買収したところから始まり、不正経理に手を染めてまでその減損を避けたこと、それをオール日本で手厚く保護して刑事事件化を避けたこと、キャノンが東芝メディカルを高値で買い取って2016年3月の債務超過転落を回避させたこと、今回のS&W巨額損失も結局は2016年3月期の債務超過転落を避けるためだったこと、さらに2017年3月期の債務超過転落も(たぶん)過保護で回避させること…etc. これらにはすべて「同じ背景」があります。

 さらに東日本大震災後も、あれだけ日本政府が原発再稼働に必死であることにも「同じ背景」があります。その「同じ背景」とは1958年に締結され、1988年に更新され、失効する2018年7月に当然のように再更新される「日米原子力協定」です。

 「日米原子力協定」とは、簡単に言うと米国が日本の原子力政策を完全にコントロールするための協定であり、日本は米国から「とっくに事業としては成り立たなくなっている」原子力会社を引き受け存続させてパテントを支払い、米国から核燃料を大量に買い付け、さらにそれを軍事転用しないように見張られているわけです。

 東芝の命運は、この日米原子力協定を抜きに考えても無意味です。

日本を代表する電機メーカーにいよいよ「上場廃止」や「解体」の危機がチラついてきました。本紙では今後も東芝の闇を追い続け、動きがあればすぐ皆さんにお伝えしていく予定です。刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』ではさらに濃厚な情報を、独自の視点・切り口で解説しています。今、世界で何が起こっているのか、その裏側にはどんな闇が潜んでいるのか? 日々のニュースを理解するうえでのセカンドオピニオンとして、活用していただければ幸甚です。 

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