世界投資へのパスポート
【第421回】 2016年6月6日 広瀬 隆雄

悪い雇用統計で今夏の利上げシナリオは消えた。
9月まで利上げナシなら、いま何をすべきか?
いま買うべき米国株の銘柄も紹介!

非農業部門雇用者数は、わずか+3万8000人
利上げ観測は9月に後退した

 先週金曜日に発表された5月の雇用統計は「あっ!」と驚くような悪い数字でした。

 これにより6月15日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ確率は、ほぼゼロになりました。

 その次の7月27日のFOMCでの利上げも、ちょっと考えにくいです。

いちばん自然なシナリオは、夏休み明けの9月21日のFOMCで利上げするという線です。

 5月の非農業部門雇用者数は、予想+15万8000人を大幅に下回る+3万8000人でした。これは2010年9月以来、最低です。

 若者が成人し、労働市場へ入って来るというような自然増を考慮に入れれば、アメリカの失業率が増えないようにするためには、最低限、毎月、10万人の雇用の増加が必要だと言われています。

 今回の+3万8000人は、あきらかにそれを下回りました。

 さらに3月と4月の数字も、合計すると6万人近く下方修正されました。

 セクター別ではヘルスケアが+4万6000人新規の雇用を創出しました。しかし、その他のセクターは、横ばいか、減少でした。

 このところ米国の住宅市場がしっかりした展開になっていたので、当然、建設業でも雇用が増えていると期待されたのですが、そこで雇用がぜんぜん増えていなかったのは意外でした。

市場参加者は6月の利上げはほぼないと予想
9月の利上げも五分五分と予想している

 失業率は、予想4.9%に対し、4.7%でした。

 この数字は、一見すると良いように見えますが、実際には求職をあきらめた人の増加が改善の原因です。だから素直に喜ぶことは出来ません。

 5月の平均時給は5セントの上昇でした。

 また4月の平均時給も、これまでの8セントが9セントに上方修正されました。言い換えれば、今回の雇用統計では、平均時給のみがしっかりした数字だったということです。

 この雇用統計を受けて市場参加者はどう反応したのでしょうか?

 米国の政策金利はフェデラルファンズ・レートと呼ばれるものです。フェデラルファンズ・レートは先物が上場されています。その取引価格を見れば、市場参加者が利上げ時期をいつ頃と予想しているか? をうかがい知ることが出来ます。

 そこでフェデラルファンズ・レートの先物価格から逆算される、利上げ確率をしらべてみましょう。

 次の連邦公開市場委員会(FOMC)は6月15日です。現行の政策金利は0.50%ですので、それが0.75%になる確率が問題になるわけです。先週金曜日(6月3日=黄色)の時点で0.75%となるシナリオにはわずか3.8%の確率しか与えられていません。

 つまり6月15日のFOMCでの利上げは、まず無いと考えて良いのです。

 その次のFOMCは7月27日です。こちらの確率は31.3%(30.2+1.1)です。

 7月27日のFOMCでは記者会見が予定されていません。したがってその日は利上げしないと考えるのが順当だと思います。

 さらにその次のFOMCは9月21日になります。ここでの利上げ確率は47.6%(39.5+6.1)です。

 つまり、ここで初めて「五分五分」の確率に近づくというわけです。

9月まで利上げナシなら、いま何をすべき?
悪い雇用統計に敏感に反応した金鉱株に注目する理由

 このように市場は「9月まで利上げは無い」ことを織り込んでいます。言い換えれば、次の利上げまで、3カ月の猶予があるというわけです。

 すると投資戦略としては今、何をすべきでしょうか?

 相場の格言に「相場は相場に聞け」というのがありますが、金曜日の悪い雇用統計を見て、一番敏感に反応したセクターを素直に買ってゆけば良いと言う考え方が出来ると思います。

 金曜日、最も華々しく値を飛ばしたのは、金鉱株です。

 つまり、ここは金鉱株に飛び乗れば良いのです。

 とりわけニューモント・マイニング(ティッカーシンボル:NEM)は、これまでの高値35.75ドルにあと0.35のところまで肉薄しています。そこを抜ければ、値動きが軽くなることが予想されるので注目です。