三菱重工業
1873(明治6)年3月、「三川商会」を「三菱商会」と改めた。「三菱」は、岩崎家の家紋の三階菱と土佐藩主の山内家の家紋の三つ柏を組み合わせて考案されたといわれるマークの呼称であって、その原型となる三角菱は「九十九商会」時代から保有船の船旗に用いられていたが、「三菱」を商号にも織り込んだことにより、名実共に岩崎弥太郎の事業であることを鮮明にした。この直後、彌太郎が米国留学中の弟、弥之助に宛てた手紙には、ライバル会社との激烈な競争の状況を記し、「過日、九十九の名号を廃し、三ツ川と致候へ共、是は我好まず、この度三菱商会と相改め候。三菱は三菱(三菱のマーク)なり」と結んでいる。このわずかな文章の行間にも彌太郎の事業取組みへの明確な意志と新たな決意をうかがい知ることができる。新社名のなかの「重工業」は「HeavyIndustries」の直訳で、小彌太社長の発案によるものであった。
関連ニュース
予告
三菱重工・IHI・川崎重工に「本業消失」危機、次の稼ぎ頭を渇望する3重工の苦悩
ダイヤモンド編集部,濵口翔太郎
三菱重工業、IHI、川崎重工業の名門「3重工」が本業消失の危機に直面している。新型コロナウイルス感染拡大の影響で旅客需要が急減し、民間航空機の関連ビジネスが大打撃を受けているのだ。世界的な脱炭素シフトを受け、火力に依存した発電設備事業の先行きも厳しい。抜本的な構造改革を余儀なくされる中、各社は次なる「稼ぎ頭」をどこに見いだしているのか――。3重工が繰り出す逆風下の成長戦略に迫る。

三菱電機、「不正のオンパレード」に陥った名門企業の根本的な問題
加谷珪一
鉄道車両向け空調装置で長年にわたって不正を行っていたことが発覚し、三菱電機の杉山武史社長が引責辞任を表明した。今回のケースではデータをねつ造するソフトウエアまで開発しており、組織ぐるみであることは明らかだ。同社は過去にもパワハラ問題や不正アクセス事件など不祥事を起こしており、組織的な問題を指摘する声は多い。問題が繰り返される根本原因とは何か。歴史も踏まえて考察したい。

日立・東芝・三菱電機がコロナ禍でも四半期増収となった各社の事情
ダイヤモンド・アナリティクスチーム,笠原里穂
コロナ禍からの企業業績の回復は、勝ち組と負け組の格差が拡大して「K字型」に引き裂かれていくという二極化の議論が強まっている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は、日立製作所や東芝など産業用装置・システム/業務用機器業界の5社について解説する。

#10
三菱重工・川崎重工・IHIの航空3重工、「ボーイングショック」からの一抜けは?
ダイヤモンド編集部,新井美江子
旅客需要の蒸発で米ボーイングが2020年12月期、巨額赤字を計上した。その余波を受けるのが三菱重工業、川崎重工業、IHIの「航空3重工」だ。機体の分担製造事業にしても航空機エンジンの分担製造事業にしても、日本の民間航空機関連ビジネスはボーイングなしには語れない。しかし、この3社は事業範囲がとてつもなく広い。ボーイングの浮沈のみでは測れない3社の将来業績について追った。

予告
戦慄の業績二極化「K字型決算」が来る!コロナが生んだ業界内“新序列“を解明
ダイヤモンド編集部
新型コロナウイルスの感染拡大に翻弄された2020年。多くの企業は大打撃を受け、戦慄の決算発表が近づいている。今回の決算を象徴するキーワードは「K字」だ。コロナ禍からの回復は一律ではなく、回復できる企業と落ち込む企業へと二極化するK字を描く。始まったK字経済の世界で生き残る企業はどこか。明暗を分けるポイントは何か。K字経済の最前線を追った。

ゼネコン業界「総本山」幹部に大林組社長が初就任、リニア談合事件も影響か
建山堀男
長年大阪を地盤としてきたゼネコン・大林組の蓮輪賢治社長が、同社として初めて、業界団体である日本建設業連合会(日建連)の建築本部長に就いた。大林組初の日建連会長が射程に入るのかどうか、リニア中央新幹線の談合事件が影響しそうだ。

#13
日産出身の日本電産社長が鳴らす警鐘「日本でEVシフトが進まない致命的理由」
ダイヤモンド編集部,浅島亮子
EV(電気自動車)シフトに出遅れる日本の自動車産業の中で、独り気を吐いているのが日本電産だ。EV向け「トラクションモーターシステム」で勝負を懸けており、時価総額は8兆円を超えている。昨年に日産自動車から電撃移籍した関潤・日本電産社長に強気な将来戦略について聞いた。

三菱重工初代会長、斯波孝四郎の「造船一筋人生」回顧談
ダイヤモンド編集部,深澤 献
斯波孝四郎は、1899年に東京帝国大学工科大学造船科を卒業して三菱合資に入り、長崎造船所に27年も勤務して所長も務めた人物。1934年、航空機分野が統合されて三菱重工業が発足した際、その初代会長に就任した三菱グループの長老の一人。第2次世界大戦中の1942年、船舶、船員、造船の3部門における国家管理を行う造船統制会がつくられ、斯波は初代会長に就任した。

世界初の完全自動無人運転、「ポートライナー」が40年前に開業した理由
枝久保達也
日本初の新交通システムである神戸新交通ポートアイランド線「ポートライナー」が開業して、2月5日で40周年を迎える。営業路線として世界初となる完全自動無人運転を実現した鉄道が生まれた理由とは。

#57
脱ガソリン車、水素、洋上風力…「グリーンバブル」は本物か?
ダイヤモンド編集部,浅島亮子
2021年は首都圏エリアで緊急事態宣言が発出されるという波乱の幕開けとなった。新型コロナウイルスの感染拡大により、世界の社会・経済・政治の秩序は激変した。地政学リスクの高まり、環境規制の厳格化、テクノロジーの破壊的革新――。「変数」が多く不透明な時代こそ、ビジネスマンにとって大胆な見立てと緻密な戦略は必須となる。その支えとなるべく、ダイヤモンド編集部の記者7人が「2021年の10大トピック」を解説する【記者座談会前編】。

#43
三菱重工・川崎重工・IHIの航空機事業が撃沈、「稼ぎ頭消失」の絶体絶命
ダイヤモンド編集部,新井美江子
新型コロナウイルスの感染拡大によって旅客需要が蒸発し、航空機関連事業という下支えを失った三菱重工業、川崎重工業、IHI。これら「3重工」は、創業100年を優に超えた今にして、何によって稼ぐべき会社なのか、自問自答する事態に陥っている。

#6
ビジネスに生きる『孫子』の言葉と活用例、上場企業の経営者52人が選ぶ
ダイヤモンド編集部
いにしえの戦争だけでなく現代の経営の現場でも応用できる『孫子』。大企業の経営者は、どう経営に生かしているのか。独自アンケートで、あらためて孫子の影響力の大きさが判明した。上場企業の経営者52人が選ぶ、現代のビジネスに生きる孫子の言葉と活用例とは?

浅利慶太と一流経営者の対談で耳にした「人生を変える名言」の数々
木俣正剛
かつて文春で連載していた、劇団四季の創設者・浅利慶太と一流の経営者たちの対談では、毎回忘れられない名言が飛び出していた。伊藤淳二、磯田一郎、平岩外四、坂倉芳明、飯田庸太郎、江戸英雄、川瀬源太郎――。一流だからこその視点が、そこにはあった。

#13
三菱重工のスペースジェット開発凍結は「コロナではなく財務」の問題だ
ダイヤモンド編集部,新井美江子
三菱重工業は10月30日、国産初のジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の開発を事実上、凍結すると発表した。確かに航空機業界はコロナ禍で事業環境がすこぶる悪いが、凍結の理由はそれだけではない。その重大決断の背景には、三菱重工の深刻な“財務的ダメージ”がある。

三菱自動車がアイミーブ生産終了でもEVの過酷競争を生き残る道
井元康一郎
三菱自動車は2009年に小型のバッテリー式電気自動車(BEV)「アイミーブ」を発売し、一貫生産を前提とする量産BEVの領域で「世界一番乗り」を果たしたメーカーだ。その「アイミーブ」も2020年度内にも生産終了。これからも三菱自は電動車の領域で戦い続け、存在感を発揮できるのだろうか。

#5
日立・三菱重工・東芝「原発3社」が脱炭素の追い風を喜べない内部事情
ダイヤモンド編集部,堀内 亮
政府が2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする方針を打ち出し、脱炭素社会の実現に向けた切り札である原子力発電に追い風が吹いている。それなのに、日立製作所、三菱重工業、東芝といった原発メーカーは全く喜んでいない。なぜなのか。

予告編
電力大大大再編!東電、関電…「大手10社体制」がついに終わる
ダイヤモンド編集部,堀内 亮
戦後に築かれた「電力大手10社体制」がついに終わる時がやって来る。菅義偉首相は2050年までに脱炭素社会を実現する方針を打ち出した。電力小売り全面自由化、新興勢力の誕生で苦境に追い込まれてきた大手電力はいよいよ、これまでとは全く違う姿を求められる局面に立つ。生き残りを懸けた業界大再編が始まった。

三菱スペースジェットは「失敗」か?ハーバード視点で見た期待と課題
佐藤智恵
三菱重工業は10月30日、子会社の三菱航空機で開発を進めていた三菱スペースジェット事業をいったん立ち止まると発表した。世界に数多くのスーパーエリートを輩出してきたハーバードでは、同じく日本企業として航空機事業に挑戦した「ホンダジェット」を教材として取り上げていた。ハーバードが注目してきたホンダジェットや三菱グループの事例をもとに、スペースジェットが抱える今後の課題と展望について解説する。

三菱グループに「落ちこぼれ企業」続出、最強エリート集団の大ピンチ
ダイヤモンド編集部,浅島亮子
国内最強のエリート集団、三菱グループが創業150周年の節目に緊急事態に陥っている。三菱「御三家」がそろって業績不振に陥ったことでグループの求心力は低下。三菱「財閥」は創業以来最大のピンチを迎えている。

#2
「三菱自動車を切り捨てない」三菱商事のキーマン、自動車部門CEO激白
ダイヤモンド編集部,浅島亮子
8月末、三菱自動車のトップに君臨していた益子修・元会長が死去した。出身母体の三菱商事と、アライアンスを組む日産自動車や仏ルノーとの“扇の要”の役割を果たしていた実力者の喪失は打撃だ。一方、三菱自の業績不振など自動車・モビリティグループが足を引っ張ったことで、三菱商事は2021年3月期に商社業界で利益首位の座を伊藤忠商事に明け渡す見通しだ。三菱商事は三菱自から出資を引き揚げることはないのか。一時は検討された三菱商事が日産へ資本参加する構想は消えてしまったのか。問題山積の自動車・モビリティグループを率いる三菱商事のキーマン、戸出巌・常務執行役員を直撃した。
