2022年5~6月に新規上場したIPO株13銘柄の中で、アナリストが「買い」「強気」と診断したトリプルアイズとANYCOLORをチェック!
ダイヤモンド・ザイ9月号の連載「10倍株を探せ!【IPO株】研究所」では、IPO株の専門家であるダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さんが、2022年5~6月に新規上場した「IPO株」全13銘柄を「買い」「強気」「中立」「弱気」「売り」の5段階で評価している。今回はその中で小林さんが注目している2銘柄を詳しく紹介!
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5~6月に新規上場した「IPO株」は全部で13銘柄!
成長期待の高い銘柄も多いが、株価水準には注意が必要!
2022年6月は12社が新規上場。なお、5月のIPOは31日上場のトリプルアイズ(5026)1社のみだったため、今回は同社も併せて紹介する。
6月も上場中止は1社あったが(ウェルネス・コミュニケーションズ)、公募・売出規模が60億円台と同程度のサンウェルズ(9229)やM&A総合研究所(9552)は無事、上場に至った。
両社とも比較的大きい公募・売出規模だったにもかかわらず、需給面での懸念を跳ね返して初値は堅調。さらに、トリプルアイズの初値は公開価格の2.5倍、VTuber関連で脚光を浴びるANYCOLOR(5032)は公開価格の3.1倍と、大きく伸びた。
「これを見ると、IPO環境は改善してきた印象を受けます。6月上旬にかけての株式相場全体の上昇で、個人投資家の資金余力が回復したこと。また、下旬に米国の金融引き締め懸念がやや後退したことが、追い風となりました」(ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林さん)
大型株は依然として上値が重く、値動きが軽いIPO銘柄に投資家の物色が向かった側面もあるようだ。ただ、米国の景気と金融政策の先行きをはじめ、今後の不透明感はまだ晴れていない。「以前より環境が改善したのはたしかですが、引き続き状況は注視する必要があるでしょう」(小林さん)
なお、5~6月のIPO株の初値は二極化しており、先述のように好調の銘柄もあった一方、13社中5社が公開価格割れスタートを強いられた。特に、成長性のイメージのしやすさで明暗が分かれた形だ。「人気銘柄でも、株価が割高すぎないか注意を払ったほうがいいでしょう」(小林さん)
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2022年5・6月の【IPO株】13銘柄を徹底診断! |
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上場日 | 公開価格 | 初値 (騰落率) |
株価 (7/4) |
PER (PBR) |
今後1年の 高値予想 (安値予想) |
投資判断 |
5月31日 | ◆トリプルアイズ(5026・東G) | |||||
880円 | 2200円 (+150.0%) |
1132円 | 57.0倍 (12.68倍) |
2500円 (750円) |
買い | |
【分析コメント】システム開発とAIサービス。3月に上場中止後、公開価格を引き下げての再挑戦。ベンチャーキャピタル保有株が多かったが、IPO規模の軽量感や成長期待で初値は大幅高に。 | ||||||
6月8日 | ◆ANYCOLOR(5032・東G) | |||||
1530円 | 4810円 (+214.4%) |
5620円 | 44.3倍 (26.65倍) |
1万円 (4500円) |
強気 | |
【分析コメント】VTuberのマネジメント会社として初のIPOとあって、注目度は急上昇。公募・売出規模は比較的大きめだったが、それ以上に多額の買いを集め、好調な滑り出し。 | ||||||
20日 | ◆ヤマイチ・ユニハイムエステート(2984・東S) | |||||
950円 | 878円 (-7.6%) |
760円 | 4.2倍 (0.50倍) |
900円 (700円) |
中立 | |
【分析コメント】近畿圏を中心に不動産開発。20年に上場中止後、ユニハイムエステートを吸収合併して上場。配当利回りは約4%と高いが、今期の減益予想もあり、成長期待はいまひとつ。 | ||||||
23日 | ◆ホームポジション(2999・東S) | |||||
450円 | 465円 (+3.3%) |
462円 | 5.2倍 (0.75倍) |
530円 (410円) |
中立 | |
【分析コメント】静岡地盤で戸建分譲を展開。デザイン性が高く良質、かつ合理的な価格の住宅を供給。全国展開に意欲を示すが、まず関東でシェア拡大が進むか注視。物色人気には乗りづらい。 | ||||||
23日 | ◆坪田ラボ(4890・東G) | |||||
470円 | 794円 (+68.9%) |
727円 | 101.0倍 (24.56倍) |
1000円 (600円) |
中立 | |
【分析コメント】慶應大学発で近視・ドライアイ・老眼を中心に研究開発。近視進行抑制メガネはジンズHDと組み、26年度の発売を見込む。黒字の医療ベンチャーで人気化も、妥当な株価水準。 | ||||||
23日 | ◆ジャパンワランティサポート(7386・東G) | |||||
1640円 | 1480円 (-9.8%) |
1309円 | 8.4倍 (2.16倍) |
1500円 (1100円) |
中立 | |
【分析コメント】住宅設備機器の延長保証事業。故障・不具合の修理業務等を代行。ほかのIPO企業に比べ、地味と受け止められた。住宅点検・リペアサービスなどの新事業で、さらなる成長を図る。 | ||||||
24日 | ◆マイクロ波化学(9227・東G) | |||||
605円 | 550円 (-9.1%) |
716円 | 241.1倍 (17.35倍) |
1000円 (400円) |
中立 | |
【分析コメント】化学産業の製造プロセスを、熱と圧力から電気由来のマイクロ波に置き換える技術を持つ。CO2削減への貢献期待で株価上昇も、今期ようやく黒字化見通しの段階で、高PER。 | ||||||
27日 | ◆イーディーピー(7794・東G) | |||||
5000円 | 8200円 (+64.0%) |
8100円 | 42.4倍 (10.08倍) |
1万3000円 (5000円) |
中立 | |
【分析コメント】ダイヤモンドの人工合成技術を持ち、単結晶ダイヤモンドを製造販売。採掘での環境破壊懸念で人工ダイヤの需要増大。工業用でも用途が広がりそう。ただ、PERは高水準。 | ||||||
27日 | ◆サンウェルズ(9229・東G) | |||||
1940円 | 2300円 (+18.6%) |
2737円 | 49.1倍 (37.19倍) |
4000円 (2500円) |
強気 | |
【分析コメント】パーキンソン病専門の有料老人ホーム「PDハウス」などを運営。前期3月末時点の12施設に加え、今期8施設を開設予定で、さらなる全国展開を計画。事業拡大の余地は大きい。 | ||||||
28日 | ◆ヌーラボ(5033・東G) | |||||
1000円 | 955円 (-4.5%) |
795円 | 66.6倍 (12.07倍) |
1000円 (650円) |
中立 | |
【分析コメント】クラウド型のプロジェクト管理ツール「Backlog」が主力。用途は多岐にわたり、有料契約件数は順調に増加。ただ、積極的な成長投資で今期は減益予想。初値もやや低調だった。 | ||||||
28日 | ◆M&A総合研究所(9552・東G) | |||||
1330円 | 2510円 (+88.7%) |
1999円 | 42.0倍 (24.61倍) |
3500円 (1500円) |
強気 | |
【分析コメント】M&A仲介会社。DX・AI技術を活用し、自社開発システムにより完全成功報酬の料金体系や、業界平均を上回る成約速度を実現。中小企業のM&Aニーズは高く、業績が急拡大。 | ||||||
29日 | ◆マイクロアド(9553・東G) | |||||
1410円 | 1290円 (-8.5%) |
932円 | 64.0倍 (6.90倍) |
1500円 (800円) |
強気 | |
【分析コメント】サイバーエージェントの子会社で、広告配信プラットフォームなどを提供。特別損失計上の影響もあって今期ベースのPERは高水準だが、来期業績を見越した見直しに期待。 | ||||||
30日 | ◆AViC(9554・東G) | |||||
1020円 | 1266円 (+24.1%) |
1094円 | 30.7倍 (14.05倍) |
2000円 (850円) |
強気 | |
【分析コメント】ネット広告、SEOコンサルなどのデジタルマーケティング。類似企業が増えてやや目新しさに乏しいが、主力とする運用型広告の効果が評価されるなどで、業績は急成長。 | ||||||
※データは2022年7月4日時点。 |
アナリストが特に注目する「5~6月のIPO株」2銘柄を詳しく分析!
「トリプルアイズ」と「ANYCOLOR」をチェック!
ここからは、5月と6月のIPO株の中でも、小林さんが特に注目する2銘柄を見ていこう。
まずは、AIによる画像認識サービスを手掛けるトリプルアイズ(5026)だ。
トリプルアイズは、システム開発とAIエンジンによるサービス「AIZE」が主力。特に後者は、ヤマダデンキの顔認証決済サービスなどの実績で注目される。ほかにも、大手との取引は数多い。技術力と実装力が強みで「本当に使えるAIプロダクト」を提供。株価は初値後の調整で過熱感が薄れた。2023年8月期以降も、高採算のAIZE部門の拡大に期待が持てそうだ。
続いて紹介するのは、初のVTuber関連IPOのANYCOLOR(5032)だ。
ANYCOLORはVTuberグループ「にじさんじ」を運営。ファン増加でライブストリーミングやコンテンツ販売収益が拡大し、企業のプロモーション案件も伸長している。2023年4月期の業績も、高成長を継続するとの予想。株価に割安感があるとはいえないが、足元の成長率の高さや目新しい事業内容で、高PERでも許容されやすいだろう。
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【2024年11月1日時点】
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◆SMBC日興証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
19社 52社 |
24社 47社 |
26社 80社 |
10%:1人1票の平等抽選 最大5%:「ステージ別抽選」※1 |
345万 |
【ポイント】 大手証券の中でもIPOに力を入れており、例年、主幹事数・取り扱い銘柄数ともに全証券会社中でトップクラス! また、国内五大証券会社のひとつだけあり「日本郵政グループ3社」や「JR九州」「ソフトバンク」などの超大型IPOでは、主幹事証券の1社として名を連ねることも多い。10%分の同率抽選では、1人1単元しか申し込めないので資金量に関係なく誰でも同じ当選確率となっているのがメリット。さらに、2019年2月からは、預かり資産などによって当選確率が変わる「ステージ別抽選」がスタート。平等抽選に外れた人を対象にした追加抽選で、最高ランクの「プラチナ」だと1人25票が割り当てられて当選確率が大幅にアップする。 ※1 預かり資産残高などによって決まる「ステージ」ごとに、別途抽選票数が割り当てられる。 |
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◆SBI証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
21社 91社 |
13社 89社 |
21社 122社 |
60%:1単元1票の平等抽選 30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分 10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分 |
1245万 ※ |
【ポイント】 ネット証券にもかかわらず、主幹事数、取扱銘柄数ともに大手証券会社に引けをとらない実績を誇る。特に取扱銘柄数がダントツで、2023年は全96社中91社と約95%のIPO銘柄を取り扱った。つまり、SBI証券の口座さえ持っていれば、ほとんどのIPO銘柄に申し込めると考えていいだろう。個人投資家への配分の100%がネット投資家へ配分されるのも魅力。1単元1票の抽選なので、多くの単元を申し込むほど当選確率は高くなる。当選確率がアップする「IPOチャレンジポイント」が、資金量・取引量と関係なく、IPOに申し込み続ければ誰にでも貯められるのもメリットだ。また、スマートフォン専用サイトでIPOの申し込みや情報確認ができるのも便利。 ※SBIネオトレード証券、FOLIOの口座数を含んだSBIグループ全体の口座数。 |
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※ 主幹事数、取扱銘柄数はREITを除く。口座数は2023年12月末時点。 |