IPO株の銘柄分析&予想

2023年6月の「IPO株」18銘柄の“投資判断”を公開!注目はアナリストが“強気”と判断したAIベンチャーの「ABEJA」、エシカル消費関連の「クラダシ」の2銘柄!

2023年7月24日公開(2024年1月18日更新)
ザイ・オンライン編集部
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2023年6月に新規上場した「IPO株」18銘柄のうち、アナリストが「強気」と診断した「ABEJA」と「クラダシ」に注目!

ダイヤモンド・ザイ9月号の連載「10倍株を探せ!【IPO株】研究所」では、IPO株の専門家であるダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さんが、2023年6月に新規上場した「IPO株」全18銘柄を「買い」「強気」「中立」「弱気」「売り」の5段階で評価している。

今回は、その中でも小林さんが特に注目している2銘柄をピックアップしているので、投資の参考にしてほしい!
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2023年6月に新規上場した「IPO株」は全部で18銘柄!
初値が公開価格の2倍超になる銘柄が続出するも、過熱感は強め

 2023年6月は18社が新規上場とIPOラッシュ。6月最初のIPOは13日上場のABEJA(5574)だったが、これは5月の休止を挟み、約1カ月半ぶりのIPOとなった。AI・DXベンチャーとして注目度が高かったABEJAは、初値が公開価格比3.2倍と、期待以上の滑り出しに。翌週21~23日はさらに買いが勢いづき、軒並み初値が高騰した。

 「6月にかけての相場上昇で個人投資家の資金余力が増し、新興株へ物色の矛先が向き始めたところに、ABEJAの好発進が刺激となったとみられます」(ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さん)
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 最終週の26~30日になると、上場集中で銘柄の選別姿勢が強まり、公開価格割れスタートとなる銘柄も散見された。それでも、公開価格に対する初値の騰落率は平均+111.5%と、全体的に非常に好調だった。

 ただ、初値が高騰すると、その後の買いは難しくなる。実際、初値後の株価は大きく下落している銘柄が多く、安易に手を出すと痛い目に遭いかねない。「PERなどの指標と成長性を吟味して、株価の上昇が期待できるか見極めるべき」というのが、小林さんのアドバイスだ。
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2023年6月の【IPO株】18銘柄を徹底診断!

上場日 公開価格 初値
(騰落率)
株価
(7/6)
PER
(PBR)
今後1年の
高値予想
(安値予想)
投資判断
13日  ABEJA(5574・東G)
1550円 4980円
(+221.3%)
7040円 185.1倍
(27.76倍)
1万円
(5000円)
強気
【分析コメント】AIシステムを活用し、企業のDXを支援。グーグルなどが出資。株価は公開価格を大きく上回る水準だが、AIベンチャーは総じて高PER。まだ伸びる余地がある。
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14日  Globee(5575・東G)
1150円 2666円
(+131.8%)
3155円 92.7倍
(75.07倍)
3600円
(2000円)
中立
【分析コメント】英語学習プラットフォーム「abceed」を運営。豊富な教材とAI活用が特徴。23年5月期は大幅増益だが、PERは相応だ。利益率の改善傾向が続くか注視。
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21日  オービーシステム(5576・東S)
1710円 3010円
(+76.0%)
2434円 13.9倍
(1.45倍)
3000円
(2000円)
中立
【分析コメント】金融・産業流通などで強いシステム開発。日立製作所グループ向けが売上の7割を占める。今期は緩やかな増収・営業増益を見込んでおり、PERは妥当な水準。
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21日  シーユーシー(9158・東G)
1920円 4430円
(+130.7%)
3510円 49.0倍
(8.50倍)
4000円
(2500円)
中立
【分析コメント】医療機関の経営支援や居宅訪問看護・在宅ホスピス。コロナ特需の剥落以外は順調に成長。ただ初値が高騰、親会社のエムスリー並みのPERは過大感がある。
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22日  リアルゲイト(5532・東G)
1790円 3810円
(+112.8%)
2007円 18.4倍
(5.46倍)
2500円
(1700円)
中立
【分析コメント】都心一等地の築古ビルに改良を行い、スモールオフィス・シェアオフィスなどとして再生する。業績堅調だが、ビジネスモデルに対比して株価は割安感が乏しい。
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22日  アイデミー(5577・東G)
1050円 5560円
(+429.5%)
3225円 55.4倍
(16.77倍)
5000円
(2500円)
強気
【分析コメント】オンラインのAI・DX人材育成サービスが柱。初値は今年最大の上昇率を記録した。DX需要の拡大やIT人材不足を背景に、それに応える成長が期待できそう。
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23日  ARアドバンストテクノロジ(5578・東G)
1260円 3950円
(+213.5%)
3330円 38.8倍
(8.62倍)
5000円
(3000円)
中立
【分析コメント】DX支援。クラウドを活用したシステム開発、データ・AI活用の支援などカバーする範囲が広い。初値が高騰しただけに、業績成長も加速してほしいところ。
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26日  QLSホールディングス(7075・名N)
650円 800円
(+23.1%)
753円 6.9倍
(2.17倍)
1000円
(700円)
中立
【分析コメント】関東・関西を中心に保育園「クオリスキッズ」を運営。介護福祉や人材派遣の事業も。政策期待もあり出足は堅調だったが、地方市場のため徐々に買いが鈍った。
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26日  ブリッジコンサルティンググループ(9225・東G)
1300円 4110円
(+216.2%)
5540円 144.6倍
(15.21倍)
7000円
(2000円)
弱気
【分析コメント】公認会計士データベースを活用した経営管理コンサル。プロシェアリングという時流に乗るビジネスだが、株価上昇は需給要因が大きい。PERも過熱感が強い。
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27日  クオリプス(4894・東G)
1560円 1680円
(+7.7%)
2382円
(5.23倍)
3000円
(1500円)
中立
【分析コメント】大阪大学発ベンチャー。iPS細胞を使った心筋細胞シートを開発、25年の承認を目指す。メディアで取り上げられることも多く、期待は高い。ただ、足元は赤字先行。
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上場日 公開価格 初値
(騰落率)
株価
(7/6)
PER
(PBR)
今後1年の
高値予想
(安値予想)
投資判断
27日  エリッツホールディングス(5533・東S)
1580円 2000円
(+26.6%)
3340円 19.8倍
(3.04倍)
4600円
(1800円)
弱気
【分析コメント】京都・滋賀で不動産仲介・管理や居住者サポートを行う。大阪や奈良など近隣にも拡大中。公募・売出規模が小さく、需給主導で株価上昇。PER水準は過熱感大。
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27日  GSI(5579・札証)
1350円 1242円
(-8.0%)
1177円 8.9倍
(1.56倍)
1500円
(1000円)
中立
【分析コメント】企業のシステムを常駐開発支援、運用保守。多様な業種の顧客にサービスを提供する。今期は人件費の増加などで減益予想。地方市場とあって、取引もやや低調に。
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28日  ノイルイミューン・バイオテック(4893・東G)
740円 695円
(-6.1%)
649円
(7.38倍)
800円
(550円)
中立
【分析コメント】CAR-T細胞を用いたがん免疫療法を開発。2023年3月に上場延期、公開株を減らしての再挑戦だが、それが不人気イメージにつながった面も。初期治験の結果に注目。
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28日  プロディライト(5580・東G)
1440円 3005円
(+108.7%)
1735円 26.8倍
(8.83倍)
2500円
(1500円)
中立
【分析コメント】場所や端末を問わず固定電話の番号と機能が使える、クラウド電話システムを提供。継続収益が中心。ターゲットを従来の中堅企業から拡大、成長が続くか注視。
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29日  W TOKYO(9159・東G)
3000円 7000円
(+133.3%)
5020円 30.7倍
(13.42倍)
7500円
(4500円)
中立
【分析コメント】「東京ガールズコレクション」(TGC)を運営。顧客のプロモーション支援やタイアップ企画も。TGCはリアル開催&ライブ配信で急拡大、今後の推移に注目。
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30日  クラダシ(5884・東G)
520円 800円
(+53.8%)
635円
(13.30倍)
900円
(600円)
強気
【分析コメント】フードロス削減に特化したEC。公益性の高い企業に対する国際認証「B Corp」を取得。赤字拡大警戒などで上場後は売られたが、話題性があり売上は高成長。
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30日  ジーデップ・アドバンス(5885・東S)
4510円 1万680円
(+136.8%)
1万4000円 49.8倍
(12.61倍)
2万円
(1万円)
中立
【分析コメント】AIの研究開発用に、サーバーなどの機器とソフトを提供する。インテル、エヌビディアなどの認定パートナー。AIブームで人気化、荒い値動きとなる可能性も。
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30日  ノバレーゼ(9160・東S)
600円 590円
(-1.7%)
555円 7.5倍
(2.01倍)
700円
(500円)
中立
【分析コメント】貸切型の婚礼施設(ゲストハウス)運営が中心。2016年に上場廃止し、ファンド傘下で経営刷新。再上場で人気が高まりづらいが、株価は下げ過ぎの感もある。
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※データは2023年7月6日時点。

アナリストが18銘柄の中で特に注目する2銘柄を紹介!
成長性&社会性の高さで期待の「ABEJA」「クラダシ」に注目!

 ここからは、6月のIPO株の中で、小林さんが特に注目する2銘柄を深掘りしていこう。

 一つ目の銘柄は、13日に上場したABEJA(5574)だ。

 ABEJAはAIベンチャー。AIを活用したプラットフォームを顧客企業に提供し、DXを支援する。グーグルなどが出資、エヌビディアと技術提携。大企業を含め300社以上の支援実績を持つ。継続顧客からの売上が9割超、かつ大口顧客の単価が大幅上昇で、成長期待を持ちやすい。2023年8月期に黒字転換を果たし、今後さらなる利益拡大が見込める。

 二つ目の銘柄は、30日に上場したクラダシ(5884)だ。

 クラダシは、企業から廃棄予定の食品を格安で仕入れ、ECで販売する。パートナー企業は1300社超。エシカル消費(環境・社会に配慮した消費)への関心が高まり、会員やパートナー企業は順調に拡大中だ。ブランディングや認知度向上の施策も奏功し、売上の成長率は高い。2023年6月期は広告宣伝費の増加で赤字拡大だが、2024年6月期には黒字化するとの市場予想も。
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2023 2022 2021
19社
52社
24社
47社
26社
80社
10%:1人1票の平等抽選
最大5%:「ステージ別抽選」
※1
345万
【ポイント】
大手証券の中でもIPOに力を入れており、例年、主幹事数・取り扱い銘柄数ともに全証券会社中でトップクラス! また、国内五大証券会社のひとつだけあり「日本郵政グループ3社」や「JR九州」「ソフトバンク」などの超大型IPOでは、主幹事証券の1社として名を連ねることも多い。10%分の同率抽選では、1人1単元しか申し込めないので資金量に関係なく誰でも同じ当選確率となっているのがメリット。さらに、2019年2月からは、預かり資産などによって当選確率が変わる「ステージ別抽選」がスタート。平等抽選に外れた人を対象にした追加抽選で、最高ランクの「プラチナ」だと1人25票が割り当てられて当選確率が大幅にアップする。
※1 預かり資産残高などによって決まる「ステージ」ごとに、別途抽選票数が割り当てられる。
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主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2023 2022 2021
21社
91社
13社
89社
21社
122社
60%:1単元1票の平等抽選
30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分
10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分
1245万
【ポイント】
ネット証券にもかかわらず、主幹事数、取扱銘柄数ともに大手証券会社に引けをとらない実績を誇る。特に取扱銘柄数がダントツで、2023年は全96社中91社と約95%のIPO銘柄を取り扱った。つまり、SBI証券の口座さえ持っていれば、ほとんどのIPO銘柄に申し込めると考えていいだろう。個人投資家への配分の100%がネット投資家へ配分されるのも魅力。1単元1票の抽選なので、多くの単元を申し込むほど当選確率は高くなる当選確率がアップする「IPOチャレンジポイント」が、資金量・取引量と関係なく、IPOに申し込み続ければ誰にでも貯められるのもメリットだ。また、スマートフォン専用サイトでIPOの申し込みや情報確認ができるのも便利。
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