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東京証券取引所が「低PBRの是正」や「投資単位の引き下げ」など積極的な“改革”を行う理由とは? 個人投資家が投資しやすい環境が整い、海外投資家からも高評価

2024年1月29日公開(2024年1月26日更新)
ザイ編集部
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積極的な「東証改革」が行われている背景や狙いについて、改革に携わるメンバーにインタビュー!

発売中のダイヤモンド・ザイ2024年3月号の巻頭特集は「インド株投信ファンドマネージャー&東証改革のメンバーにスペシャルインタビュー【未来の成長の道筋】を聞く!」。特集前半では、個人投資家の大注目を集めている「インド株」について、同市場の専門家であるファンドマネージャーのアジェイ・ティアギさんにインタビュー。後半では、上場企業に対して「PBR1倍割れの解消」や「投資単位の引き下げ」を促すなど、相場に大きな影響を与えている東証改革のメンバーに、その狙いを聞いている。

今回はこの特集から、東証改革のメンバー・長谷川高顕さんのインタビューを公開!
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株式市場でフォーカスされる「PBR1倍割れの解消」など、
東証改革がさらに前進し、世界に選ばれる市場に!

長谷川高顕さん長谷川高顕さん●東京証券取引所執行役員・金融リテラシーサポート担当。1990年に東京証券取引所に入所の東証プロパー。上場管理部長、証券取引等監視委員会(金融庁)、株式部長などを歴任。2023年より現職。

──2023年はTOPIXが27%上昇するなど、日本株が躍進しました。“東証改革”が評価され、期待が高まっています。

長谷川 2023年3月、東京証券取引所は上場企業に「資本コストや株価を意識した経営をしてほしい」と、お願いを出しました。ここから、日本の上場銘柄に多い、株価が純資産に対して低く評価されている”PBR1倍割れ”の解消が、株式市場でフォーカスされるようになりました。海外投資家からも日本株を前向きに評価する声が増えています。
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──2024年1月からは、要請に応じて具体策を示した企業名を公表し始めました。

長谷川 企業名の一覧とともに、他社の参考になりそうな好事例も公表します。積極的に取り組む企業の事例を示すことで、まだ対応していない企業における検討を後押ししていきたい、という狙いもあります。

──時間軸を少し戻して、2022年4月の市場再編のときは「改革が中途半端だ」という評価が大半でした。当時に比べると、最近の東証はアグレッシブになった印象を受けます。

長谷川 東証が現在のプライム、スタンダード、グロース3市場に再編してまもなくスタートした「市場区分に関するフォローアップ会議」の存在が大きい。さまざまなバックグラウンドを持つ有識者がメンバーで、改革をスピーディかつ具体的に進めるよう指摘されました。

 例えば、上場基準に未達のままプライム市場に上場している「経過措置」については、フォローアップ会議を受けて「2025年3月末まで」と期限が決まりました。

──2022年10月には、投資単位が100万円を超える企業名を公表しています。これがファーストリテイリング(9983)オリエンタルランド(4661)の株式分割を後押ししました。具体的に企業名を公表していくことは一定の効果がありそうです。

長谷川 投資単位の引き下げについては、個人投資家が投資しやすい環境を整備するためにも、以前から要請していました。新NISAがスタートするなど個人投資家が増えるなかで「買いたくても金額が高すぎて買えない」という声も増えてきた。そうした背景もあって、2022年10月に、改めて投資単位の引き下げについて要請しました。

──一方で、最適な投資単位を5万~50万円としていましたが、下限の5万円は消えました。

長谷川 2023年6月末には、NTT(9432)が投資家層を幅広い世代に広げるため、1株を25株に分割し、1万円台から投資できるようにしました。

 過去にライブドアが100分割などの大幅な株式分割を繰り返したように、投機を助長するようなことは控えてほしいですが、投資金額が低いことに問題はありません。むしろ、個人投資家は手軽に投資の世界に入ってきやすくなります。
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──JPXプライム150指数など、新しい指数も登場しました。

長谷川 TOPIXは日本の株式市場を表す代表的な指数として利用されていますが、2023年7月に算出開始したJPXプライム150指数は、企業の“稼ぐ力”にスポットを当てています。

 日本にもグローバルと比較して引けを取らない優秀な企業がたくさんある。経営の質を重視し、ROE(自己資本利益率)など収益性と、PBRなど市場評価の両軸から選定される150銘柄で構成しています。2024年1月から、この指数に連動するiFreeETF JPXプライム150(2017)も上場しましたし、関連の金融商品は増えてくると思います。

──ところで、2024年11月からは取引時間が30分延長され、15時30分までになります。昼休みをなくすなどの選択肢はなかったのでしょうか。

長谷川 これは、2020年に全銘柄の売買が停止してしまったシステム障害に端を発しています。再発防止を検討していく中で「システム障害があっても、取引時間が長ければ当日中に取引が再開できる」との意見もありました。場が閉まった後の金融機関の作業などを考慮して、現実的なところで15時30分までになりました。

 11時30分~12時30分の昼休みは、大口の立会外取引など、また別のニーズがあります。それこそアクシデントに見舞われたときは、復旧作業に充てることができます。

──最後に、個人投資家に一言あればお願いします。

長谷川 東証アローズは事前予約なしでも自由見学ができます。ニュースでよく見かけるガラス張りのマーケットセンターの見学や、株式投資シミュレーターの体験もできます。新NISAスタートに合わせて資産形成の講義も拡充しているので、ぜひ遊びに来てください。
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