決算発表シーズンの始まった米国市場は、
スタートから悪材料が重なって軟調に
先週から米国は決算発表シーズンを迎えています。
のっけから遺伝子解析用装置メーカー、イルミナ(ティッカーシンボル:ILMN)が業績を下方修正したことに加え、決算シーズンのトップバッターであるアルコア(ティッカーシンボル:AA)の決算も予想を下回ったことなど、悪材料が重なった結果、米国市場は軟調でした。
週間ベースでは、ダウ工業株価平均指数が-0.55%、S&P500指数が-0.95%、ナスダック総合指数が-1.46%でした。
米国長期債が売られていることで
銀行株に注目が集まる
一方、米国の長期債は引き続き売られています。10年債の利回りは、1.80%に乗せました。
こうした長期金利の上昇で、銀行株に注目が集まっています。その理由は、普通、銀行の収益性を決定するのは長期金利から短期金利を引き算した差、つまり「純金利マージン」だからです。
現在のように長期金利が上昇し始めている局面では、「銀行の純金利マージンが拡大するのでは?」という期待が高まるというわけです。
JPモルガン・チェースの業績は良好
なかでも債券部は前年比+48%と絶好調!
ちょうどそのようなタイミングの中、先週金曜日に、銀行セクターの先頭を切って、JPモルガン・チェース(ティッカーシンボル:JPM)が第3四半期の決算を発表しました。良い内容でした。
EPSは予想1.39ドルに対して1.58ドル、売上高は予想236.9億ドルに対して247億ドル、売上高成長率は前年比+8.3%でした。
マリアン・レイクCFOは「わが行の現在の業績は、エンジン全開の状態だ」と決算カンファレンスコールで自信を見せていました。
とりわけ債券部は前年比+48%と絶好調でした。6月末の英国の国民投票で、EU離脱派が番狂わせを起こして勝ったことにより市場が大荒れになったわけですが、そのようなボラティリティー(=マーケットのブレ)が高い状況では、投資銀行のトレーディング部門は利益を伸ばしやすいのです。
加えて、10月14日から米国のマネー・マーケット・ファンド(以下、MMF)のルールが変更になり、「突発的な下げ局面では、MMFの解約をストップできる」ことになりました。MMFは、短期の公社債などを組み込んだ投資信託です。このルール変更に伴い、機関投資家がポートフォリオの入れ替えを行う必要が出たのですが、その際、JPモルガン・チェースが沢山注文を受けました。
これらはいずれも一過性の材料であり、今後も同行の債券部が今回のような高水準の利益を出せる保証はありません。しかし、JPモルガン・チェースが好調な理由はそれだけではないのです。
投資銀行フィーは、債券ならびに株式引受フィーの上昇を受け、+14%でした。JPモルガン・チェースは、グローバルの投資銀行フィーのランキングで1位の座を維持、2位以下との差を広げつつあります。
次にリテール・バンキングに目を転ずると、同行のコンシュマー・バンキング事業は米銀の中で最も急速に成長しており、マーケットシェアを高めています。
唯一のマイナス要素としては、クレジットカードの焦げ付き比率が上昇していることが目をひきました。これに関し同行は、「最近、新しいITシステムを完成させた。それを駆使し、マーケットシェアを積極的に取りに行く戦略を採っていることが原因だ」としています。言い換えれば、焦げ付き比率の上昇は、意図してやっている事なのです。
ウエルズファーゴは、決済内容は良かったものの
架空口座開設問題が大きなマイナス要因に
ウエルズファーゴ(ティッカーシンボル:WFC)も先週、決算発表しています。
第3四半期の決算そのものは、EPSが予想1.01ドルに対し1.03ドル、売上高が予想220.6億ドルに対し223億ドルと、まずまずでした。
しかし同行は、支店における強引な営業姿勢が、210万もの架空口座開設につながった事件が大問題に発展しています。この責任を取り、先週、ジョン・スタンプ会長兼CEOが辞任しました。
その後を受け、新しくCEOに着任したティム・スローンが先週の決算カンファレンスコールを仕切ったのですが、投資家の中には、「しょせんティム・スローンも問題を起こした現経営陣の一角であり、大胆な粛清はできないだろう」という懐疑派も多いです。
決算カンファレンスコールでは、支店における数値目標の全廃など、善後策がいろいろ示されました。
しかしアナリストからは「数値目標を全廃すると、売上高や行員の生産性に悪影響が出るのでは?」という声が上がり、いらいらしたティム・スローンCEOがブチ切れる場面もありました。
このやりとりからも、失われてしまった投資家の信頼を取り戻すのは容易ではないことがうかがえました。
【今週のまとめ】
注目が集まる銀行株の中では、
勢いに乗るJPモルガンチェースが狙い目!
銀行株の世界では、長年、ウエルズファーゴの評価が最も高く、時価総額もそれを反映して世界一の座に君臨し続けてきました。しかし、今回の架空口座スキャンダルで同行の経営陣に対する信頼は失われ、時価総額でもJPモルガン・チェースに抜かれました。
投資対象としては今後集団訴訟が起こされるリスクのあるウエルズファーゴより、勢いに乗っているJPモルガン・チェースの方が良いと思います。
【※米国株を買うならこちらの記事もチェック!】
⇒米国株投資で注意が必要な「為替」と「税金」とは?「特定口座(源泉徴収あり)」か「NISA口座」で投資をして、口座内に「米ドル」を残さないのがポイント!
※証券や銀行の口座開設、クレジットカードの入会などを申し込む際には必ず各社のサイトをご確認ください。なお、当サイトはアフィリエイト広告を採用しており、掲載各社のサービスに申し込むとアフィリエイトプログラムによる収益を得る場合があります。 |
【2024年12月2日時点】
「米国株」取扱数が多いおすすめ証券会社 |
◆マネックス証券 ⇒詳細情報ページへ | |
米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
約4900銘柄 | <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)※買付時の為替手数料が無料/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル) |
【マネックス証券のおすすめポイント】 外国株の取扱銘柄数はトップクラス! また、米国株の買付時の為替手数料が0円(売却時は1ドルあたり25銭)となるキャンペーンが長期継続しており、実質的な取引コストを抑えることができる。さらに、外国株取引口座に初回入金した日から20日間は、米国株取引手数料(税込)が最大3万円がキャッシュバックされる。米国ETFの中で「米国ETF買い放題プログラム」対象21銘柄は、実質手数料無料(キャッシュバック)で取引が可能。米国株の積立サービス「米国株定期買付サービス(毎月買付)」は25ドルから。コツコツ投資したい人に便利なサービス。米国株は、時間外取引に加え、店頭取引サービスもあり日本時間の日中でも売買できる。また、NISA口座なら、日本株の売買手数料が無料なのに加え、外国株の購入手数料も全額キャッシュバックされて実質無料! 企業分析機能も充実しており、一定の条件をクリアすれば、銘柄分析ツール「銘柄スカウター米国株」「銘柄スカウター中国株」が無料で利用できる。 |
|
【関連記事】 ◆【マネックス証券の特徴とおすすめポイントを解説】「単元未満株」の売買手数料の安さ&取扱銘柄の多さに加え、「米国株・中国株」の充実度も業界最強レベル! |
|
◆SBI証券 ⇒詳細情報ページへ | |
米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
約5300銘柄 | <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル) |
【SBI証券のおすすめポイント】 ネット証券最大手のひとつだけあって、米国から中国、韓国、アセアン各国まで、外国株式のラインナップの広さはダントツ! 米国株は手数料が最低0米ドルから取引可能で、一部米国ETFは手数料無料で取引できる。また、2023年12月1日から米ドルの為替レートを「0円」に引き下げたので、取引コストがその分割安になった。さらにNISA口座なら米国株式の買付手数料が無料なので、取引コストを一切かけずにトレードできる。米国株を積立購入したい人には「米国株式・ETF定期買付サービス」が便利。また、米国株の信用取引も可能。さらに、リアルタイムの米国株価、48種類の米国指数および板情報を無料で閲覧できる点もメリットだ。米国企業情報のレポート「One Pager」、銘柄検索に使える「米国株式決算スケジュールページ」や「米国テーマ・キーワード検索」、上場予定銘柄を紹介する「IPOスピードキャッチ!(米国・中国)」など情報サービスも多彩。「SBI 証券 米国株アプリ」は「米国市場ランキング」「ビジュアル決算」「銘柄ニュース」などの機能が充実している。 |
|
【関連記事】 ◆【SBI証券の特徴とおすすめポイントを解説!】株式投資の売買手数料の安さは業界トップクラス! IPOや米国株、夜間取引など、商品・サービスも充実 ◆「株初心者&株主優待初心者が口座開設するなら、おすすめのネット証券はどこですか?」桐谷さんのおすすめは松井、SBI、東海東京の3社! |
|
◆楽天証券 ⇒詳細情報ページへ | |
米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
約4750銘柄 | <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル) |
【楽天証券おすすめポイント】 米国、中国(香港)、アセアン各国(シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア)と幅広い銘柄がそろっており、米国株の信用取引も利用可能! 指定の米国ETF15銘柄については買付手数料が無料で取引ができるのもお得。さらに、2023年12月からは米ドル⇔円の為替取引が完全無料! NISA口座なら米国株の売買手数料が0円(無料)なのもメリットだ。米国株の注文受付時間が土日、米国休場を含む日本時間の朝8時~翌朝6時と長いので、注文が出しやすいのもメリット。米国株式と米国株価指数のリアルタイム株価、さらに米国決算速報を無料で提供。ロイター配信の米国株個別銘柄ニュースが、すぐに日本語に自動翻訳されて配信されるのもメリット。米国株の積立投資も可能で、積立額は1回3000円からとお手軽。楽天ポイントを使っての買付もできる。銘柄探しには、財務指標やテクニカル分析などの複数条件から対象銘柄を検索できる「米国株スーパースクリーナー」が役に立つ。 |
|
【関連記事】 ◆【楽天証券おすすめのポイントは?】トレードツール「MARKETSPEED」がおすすめ!投資信託や米国や中国株などの海外株式も充実! ◆【楽天証券の株アプリ/iSPEEDを徹底研究!】ログインなしでも利用可能。個別銘柄情報が見やすい! |
|
◆DMM.com証券(DMM株) ⇒詳細情報ページへ | |
米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
約2400銘柄 | 無料 |
【DMM.com証券おすすめポイント】 米国株の売買手数料が完全無料なので、取引コストに関しては割安! ただし、配当金が円に両替される際の為替スプレッドが1ドルあたり1円と高いので、配当狙いで長期保有する人は注意が必要だ。他社と違う点としては、外貨建ての口座がなく、売却時の代金や配当が自動的に米ドルから円に交換されること。米ドルで持っておきたい人には向かないが、すべて円で取引されるため初心者にとってはわかりやすいシステムと言えるだろう。また、米国株式と国内株式が同じ無料取引ツールで一元管理できるのもわかりやすい。米国株の情報として、米国株式コラムページを設置。ダウ・ジョーンズ社が発行する「バロンズ拾い読み」も掲載されている。 |
|
【関連記事】 ◆DMM.com証券「DMM株」は、売買手数料が安い!大手ネット証券との売買コスト比較から申込み方法、お得なキャンペーン情報まで「DMM株」を徹底解説! ◆【証券会社比較】DMM.com証券(DMM株)の「現物手数料」「信用取引コスト」から「取扱商品」、さらには「最新のキャンペーン情報」までまとめて紹介! |
|
【米国株の売買手数料がなんと0円!】 |
※ 本記事の情報は定期的に見直しを行っていますが、更新の関係で最新の情報と異なる場合があります。最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。 |