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2017年の日本株に影響を与える「5大ポイント」は?欧米や新興国の政治・経済に不透明感が続くなかで、海外投資家が評価を高める日本株の買いどきとは?

2017年1月2日公開(2022年3月29日更新)
ザイ編集部
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2016年に引き続き、2017年は欧州を中心に政治的イベントが多い。そのたびに株価は大きく上下動する見通しだが、他の先進国に比べ日本株の評価が高まりつつある今、急落したタイミングこそ安値圏で買える絶好のチャンスだ。

ダイヤモンド・ザイには、日本株の総力特集「2017年『株』全予測&儲け方」を掲載。今回はその中から、「なぜ、今日本株が注目されているか」「今後の日本株を大きく動かすプラス材料・マイナス材料とは」などのテーマをプロが解説する記事を抜粋して紹介。この先の日本株に大きく影響しそうなポイントは5つあるという。ここでは、その具体的な内容を明らかにしていこう!

日本株の評価が高まっている3つの理由とは?

歴代4位の長期政権となった安倍政権。海外の機関投資家から「政治が安定している」と判断され、日本株は買われている。

 米国の大統領選挙以降、日本株の株価上昇率は世界トップクラスに。なぜ、急に買われ始めたかといえば、「円安の進行」に加えて、「政治の安定性」「株主還元の積極化」という3つのポイントが評価されたからだ。

 2016年年初に「1ドル=120円」だったドル・円が、一時は100円を割り込み、日本株は輸出株を中心に大きく売られた。しかし、11月に入り、110円台まで円安が進み、企業業績の見通しに明るさが見えてきた。

「110円以上の円安が続けば、日本の上場企業全体では、今期業績の上ブレ、さらに来期の増益が期待できる」(ニッセイ基礎研究所・井出真吾さん)

 また、海外の機関投資家は日本株と欧州株を比較したうえで資産の配分を決めるが、欧州での政治リスクを嫌い、政治が安定している日本株を買っているのだ。欧州各国の政権が不安定化する中、安倍政権は12月5日時点で歴代4位の長期政権となり、高い支持率を維持している。

日本株の「ROE」の改善が好材料視されている!

 さらに、海外投資家が評価するのが日本企業の株主還元策だ。

「日本株の『ROE』(株主資本利益率)が改善傾向にあります。これは、日本企業が業績が伸び悩む中でも、配当や自社株買いなどの株主還元を積極化したためで、海外の機関投資家は、この変化を好感しています」(ドイチェ・アセット・マネジメント ショーン・テイラーさん)

 海外投資家の動向に詳しい豊島逸夫事務所の豊島逸夫さんは、現在の日本株の急騰はヘッジファンドの買いによるもので、2017年年初に売られるが、その後、欧米の年金基金などが日本株を買ってくると見ている。

「米国最大手のカリフォルニア州職員退職年金基金が、債券の投資比率を減らし、株式への投資比率の引き上げを検討しています。投資配分の見直しで、日本株への資金流入も。年金は慎重なので、トランプ氏の経済政策を見極めたうえで、来年3月以降に本格的に動き始める」(豊島逸夫さん)

 急落局面は日本株の買い増しチャンスになりそうだ。

2016年前半に急騰した東証マザーズ指数は今後どうなる?

 さらに、海外発のリスクで下がる時に注目なのが、日本の新興株市場だ。構成比率が最も高かった「そーせいグループ(4565)」の急騰などで、東証マザーズ指数は2016年前半に大きく上昇した。しかし、同社の急落と東証1部への市場変更もあり、2016年6月以降、東証マザーズ指数は下落トレンドが続いている。

「大型株の下落局面では、中小型株が物色される」(東京IPO・松尾範久さん)ため、日経平均が調整するタイミングで、東証マザーズ指数は高値をつける期待がある。欧州の政治的混乱などで、円が買われるような局面では、為替の影響を受けにくい、新興株に注目しよう。

 さて、ここからは2017年の日本株市場を大きく揺るがしそうな、5大注目ポイントを紹介していく。欧州や新興国に不透明感がある中、日本には明るい材料も多い。しかし、そのポイントの中には、日本株にプラス効果があるものばかりではなく、マイナス効果があるものも。順に見ていこう。

ポイント(1) 日米金利差の拡大〈プラス効果〉

 「トランプ政権の財政出動や、減税、規制緩和を受けて、景気が過熱して、インフレ懸念が台頭する」(マネックス証券・広木隆さん)との見通しから、2017年は2回と見られていた米国の利上げが、4回になる可能性が出てきた。

 しかし、これは日本株にとってプラスだ。日銀が金融緩和政策を維持すると見られるなか、日米の金利差の拡大によって、円安ドル高が進むと、輸出株の業績が上向き、日本株は大きく上昇するのだ。

ポイント(2) TPPの消滅〈マイナス効果〉

 トランプ氏が離脱を明言しているTPP。TPPは、日本や米国、豪州などの12カ国で関税をなくす経済連携協定。日本より悪影響が大きいのが新興国だ。

「先進国に安価な製品を輸出する新興国にとって、TPP消滅は大きなマイナス。さらに、国際情勢下での米国の立場が弱まれば、安全性の高い日本円への資金流入で、円高となり、日本株が売られることになります」(第一生命経済研究所の嶌峰義清さん)。

ポイント(3) 雇用改善&賃金上昇〈プラス効果〉

 「国内景気が上向く可能性が出てきている」と、ウィズダムツリー・ジャパンのCEOイェスパー・コール氏は指摘する。

「労働者賃金が上昇し、正規雇用者数も改善しています。さらに、先進国の中で、唯一日本だけが労働参加率が上昇。雇用環境の改善によって、国内消費が上向き、いよいよ脱デフレとなる期待が高まっています」

 デフレの終焉は、株にもプラス材料なので、要チェックだ。

ポイント(4) 新興国の通貨安〈マイナス効果〉

 日・米・欧などの先進国各国の株価が上昇するなか、軟調な展開が続いているのが新興国株だ。

「米国の金利上昇とドル高傾向が続くと、資金流出懸念で新興国には大きなマイナス」(楽天経済研究所・土信田雅之さん)で、通貨安と景気減速が心配されている。97年のアジア通貨危機も、米ドル高、米金利上昇時に起こったのだ。さらに、ドル高が進むようであれば、新興国経済に大きな打撃となるので要注意だ。

ポイント(5) 世界経済の上方修正〈プラス効果〉

 OECDが発表した最新の経済成長率見通しで、米国やユーロ圏、日本、中国の2017年の実質成長率が上方修正された。

「米国の大規模なインフラ投資などで、2017年の世界経済の成長率が押し上げられる見通しです。さらに、先進国各国で、財政が拡大する期待もある」(楽天証券・香川睦さん)。

 2017年は、世界各国の経済政策が金融緩和政策から財政出動へシフトしそうだ。

 以上、2017年に注目すべき5つのポイントを紹介してきた。何が日本株にプラスに働き、何がマイナスに働くかがクリアになったのではないだろうか。前述のように、急落の局面は強い日本株を仕込む好機なので、タイミングを見逃さないようにしておこう。

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