日本株市場が全体的に上昇し、割高感が漂う銘柄も増えてきている。そんな状況下でまだまだ狙える銘柄を探すには、どんな条件でスクリーニングすればいいのか?
現在発売中のダイヤモンド・ザイ2月号では、「今月の株スクリーニング5」と題し、フィスコの佐藤勝己さんに「5つのスクリーニング条件」を挙げてもらっている。そのスクリーニング条件で抽出された注目銘柄も、ランキングで紹介。本誌では5銘柄挙げているが、ここではそのうちの2銘柄をピックアップしよう。
割高ではなく、まだ上値を追っていける銘柄を探す方法とは?
米国の大統領選挙以降、12月1日の高値まで日経平均は15%強も上昇。主力大型株を中心に、幅広い銘柄が短期間で大きく上げたことで、短期的な過熱感が強まっている。今後の上値追いに安心感のある銘柄は少なくなってきた。
ただ、トランプ新大統領の政策次第では、一段の円安を伴ってのさらなる株価上昇の可能性も低くはない。こうした状況では、「出遅れ感の強い銘柄」に狙いを絞りたい。出遅れの起点をどこにするかという問題もあるため、PERやPBRが低く、水準訂正の余地が大きい銘柄に注目したい。仮に、相場全体が調整に転じたとしても、割安感が下値支持になると考えることもできる。
また、足元では自動車部品業界などを中心に、M&Aの動きなども活発化している。株価指標が割安な銘柄はM&Aの対象とされやすく、買収プレミアムがつき、株価上昇幅も大きいのが魅力だ。
これから上昇する株が見つかる!?
「5大スクリーニング条件」を公開!
ここからは、そんな出遅れ株を探すスクリーニング条件を紹介していこう。
【条件1】予想PERが10倍未満
PERは株価を1株益で割って算出する、最もポピュラーな割安度の指標。現在の市場全体の平均は16倍(※2016年12月時点。以下同)なので、それより割安な株を選出。
【条件2】PBRが1倍未満
PBRは株価を1株当たり純資産で割って算出、資産的な割安度を調べる。現在の市場全体の平均は1.3倍。1倍割れなら非常に割安だ。条件1と条件2に当てはまる銘柄は、株価が利益面でも資産面でも割安ということができる。
【条件3】配当利回りが3%以上
低金利が長期化する中で、配当利回りへの関心は高まりつつある。業績が好調なら、増配に伴う一段の利回り上昇が期待できる。
【条件4】「ネットキャッシュ÷時価総額」が30%以上
ネットキャッシュとは、現預金と短期保有の有価証券の合計から有利子負債を差し引いたもの。つまり、実質的な手元資金。ネットキャッシュを時価総額で割った数値が高い銘柄は買収の対象になりやすく、株価上昇が期待できる。また、増配や自社株買いなど株主還元の余地が大きい。
【条件5】前期、今期予想と連続で経常増益
業績が下降して株価が割安になっている銘柄はNG。業績が伸びている銘柄のほうがストレートに株価指標の割安感を評価できる。経常利益が連続で伸びている銘柄に絞ろう。
スクリーニング条件にあてはまり、今期予想増益率の高い2銘柄を紹介
ダイヤモンド・ザイ2月号では、ここで紹介したスクリーニング条件にあてはまり、なおかつ「条件5」の今期予想増益率が高い銘柄をランキング形式で5位まで紹介している。ここではそのうちの上位2銘柄を抜粋しよう。
1位は、今期予想増益率が抜群に高い、通信機器メーカーの「ナカヨ(6715)」だ。ビジネスホンなど高付加価値の電話機を製造する同社の予想増益率は53%となっている。
2位には、カーケア用品などを手掛ける「中央自動車工業(8117)」 が入った。同社は自動車用コーティングなどで顧客開拓が進んでおり、今期予想増益率も16%となっている。
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