外部環境が悪化し、日経平均株価が冴えません。背景は、米株安、ドル安・円高です。3月27日のNYダウは、8日続落、前週末比45.74ドル安の2万550.98ドルでした。
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また、NY円相場は、前週末比70銭円高・ドル安の1ドル=110円60~70銭でした。一時110円11銭と、昨年11月18日以来およそ4カ月半ぶりの円高・ドル安水準に上昇する場面がありました。
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米株安・ドル安の主因は、トランプ政権の政策運営に対する不透明感を嫌気し、投資家が米株とドルを売っているからです。
オバマケア代替法案の撤回により、
他の重要政策の実現性も危ぶまれる
共和党内での調整が難航したため、トランプ政権は3月24日、最優先課題としていた医療保険制度改革法(オバマケア)の代替法案の下院採決を見送り、法案そのものの撤回を決めました。これで、政権の威信が低下し、信任に傷が付きました。確かに、撤回決定後、トランプ大統領は税制改革に取り組む意向を示していますが、残念ながら、他の重要政策の実現性にも疑問符が付き始めていることは事実です。
ただし、市場の一部では、オバマケア代替法案の撤回で、税制改革やインフラ投資の議論が進むのではないかと、好意的に受け止める向きもあります。ただまあ、27日の米国金融市場の反応をみる限り、警戒感の方が強いですね。
日経平均株価は海外投資家の
執拗な売りによって下落
日経平均株価については、円高を嫌気した海外勢の売りが下落の需給的な要因でしょう。3月第3週(13~17日)の投資部門別株式売買動向では、海外投資家の売り越し額は4069億円と、5週連続の売り越しです。また、これは、昨年9月第2週以来およそ半年ぶりの高水準でした。
一方、3月第3週(13~17日)の日経平均先物とTOPIX先物の投資部門別売買動向では、海外投資家は1675億円の売り越しで、2週連続の売り越しです。これだけ執拗に売られると、日経平均株価は下がりこそすれ、上がることはないでしょう。
なお、3月28日前場の日経平均株価は、前日比208.80円高の1万9189.39円と堅調でした。しかしこれは、28日が3月期決算期末の配当権利付き売買最終日という特殊なカレンダー要因が大きく寄与したと考えられます。
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また、一部報道によれば、「国内年金を中心に、機関投資家による“配当再投資”がTOPIX、日経平均株価、JPX日経インデックス400、最小分散投資指数などを含むMSCI指数すべてを合計すれば、6000億円と過去最大規模に膨らむ」とされています。これが3月28日の日経平均株価を一時的に押し上げたのでしょう。
もちろん、再投資は3月28日の1日だけで終わらず、月末まで数日かけて買う投資家もいるので、この影響は数日残るでしょう。
当面の日経平均株価はボックス相場を継続か
日経平均ボラティリティー・インデックスには要注意!
今後の日経平均株価ですが、円高が是正され、海外勢の日本株売りが止まらない限り、上値は重そうです。そうならない限り、3月2日の1万9668.01円は当面の高値になる見通しです。
一方、強烈な下落トレンドが発生し、買い方にとって地獄のような相場になるかといえば、その可能性は非常に低いとみています。その主因は、好調な企業業績です。
例えば、大和証券は、金融を除く主要企業198社(大和200)の経常利益は、16年度は4%増益で過去最高益を更新、17年度の売上高は5%増収、経常利益は13%増益を予想しています。特に、製造業の16年4-12月期の営業利益の増要因は、円高による減益要因を、コスト削減効果や数量・構成の変化で相殺がみられたということです。
このように、円高にもかかわらず、わが国主力企業が企業努力で逆風を克服していることを考えれば、多少の円高で日経平均株価の先行きについて、過度の悲観に振れる必要はないと考えます。
以上のことから、当面の日経平均株価は「ボックス相場」を継続する見通しです。下値メドは26週移動平均線(3月28日前場現在1万8675.05円)、第1上値メドは13週移動平均線(同1万9323.80円)、第2上値メドは3月2日の19668.01円です。
ところで、3月27日の日経平均ボラティリティー・インデックスは、前週末比1.88(10.52%)高の19.75でした。
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これが今後、継続的に20超の状態になると、前述の「ボックス想定」が外れ、やや強めの下落トレンドが発生する可能性が高まります。その場合は、下振れを警戒するべきでしょう。逆に、20以下で安定的に推移している間は、「ボックス相場」が続く見通しです。
なお、「ボックス相場」の中でも、日経平均株価が25日移動平均線(同1万9356.92円)を下回っている間は、大型株の需給は総じて悪く、買いではなかなか儲け難い状況が続くとみています。ただし、3月22日に日経平均株価は414.50円安、27日は276.94円安でした。このような大幅安の日については、翌日以降の大型株のテクニカルリバウンド狙いは入るでしょう。
今は中小型株を中心に
小刻みの売買で利益を積み重ねる時期
そのような日経平均株価の大きな変動がない期間は、中小型株が物色の中心になる見通しです。
ただ、中小型株もあまりよい状態ではありません。実は東証マザーズ指数も3月28日前場終値は前日比10.68ポイント高の1041.38ポイントと、25日移動平均線(同1057.09ポイント)を下回っています。
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東証マザーズ指数は3月13日の1097.78ポイントでピークアウトし調整入りしています。このため、新興市場を中心とした中小型株投資も、買い方にとって儲け易い状況ではありません。
このため、強いグリップ力で値幅を狙うのではなく、小刻みの利食い、損切りを繰り返し、「小すくい商い」で当座をしのぐべきだと思います。そして、東証マザーズ指数が25日移動平均線を超えてきたら、中小型株投資の醍醐味である、強いグリップ力を発揮して値幅取りを狙いましょう。
今の日本市場は投資家の腕の差が出る相場
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いずれにせよ、大型株も、中小型株も共に非常に儲け難い相場です。なぜなら、株価指数が25日移動平均線を下回っている状況は、ここ最近買った投資家が平均的に評価損を抱えており、投資マインドも需給が非常に悪いため、買い方は儲け難いのです。
とはいうものの、前述の好調な企業業績を主因に相場全体の急落リスクが低いため、「休むも相場」というほど悪い投資環境でもありません。つまり、上手く立ち回れば、そこそこの利益を積み上げることは可能だと思います。その意味では、投資家の腕の差が出る相場といえそうです。
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